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WEB Re-ClaM 第39回:クラシックミステリ原書刊行状況(2021/9)
なぜかグッドな原書が9月10月に集まるような気がする今日この頃です。
★E. C. R. Lorac / These Names Make Clues (1937, British Library Crime Classics)
E・C・R・ロラックの入手困難タイトルが復刊されました。マクドナルド警部が作家たちのパーティーに呼ばれ、余興の宝探しに一緒に参加することになるがそこで殺人が……というのがあらすじ。ジョン・ロードを思わせる人物が、いかにもジョン・ロード風の機械トリックで殺されるというブラックな笑いも込みで愉しめる作品。
★Anthony Berkeley / The Wintringham Mystery (1927, Collins)
アントニイ・バークリーの……といっても見慣れぬタイトルですが、日本では『シシリーは消えた』の題で紹介されている作品です。英米では初刊以来初めて、84年ぶりの復刊となります。トニー・メダウォーの序文も情報たっぷりで嬉しく(新聞懸賞にクリスティーも参加していた、とか)で、バークリーファンはマストバイですよ。
★Ed. by Tony Medawar / Bodies from the Library 4 (2021, Collins)
年に一度のお楽しみ。単行本未収録どころか、未発表、初活字化の作品を多く収録した特大アンソロジーの第四弾です。今回の目玉は400ページの本の1/3を占める、クリスチアナ・ブランドが1945年に雑誌 Woman に連載した短い長編 Shadowed Sunlight。単行本化の機会に恵まれず埋もれていた作品ですが、最盛期の作品だけに読むのが楽しみです。なお、本書の内容については別途記事を作成予定です。
★Brian Flynn / Cold Evil (1938, Dean Street Press)
こちらも年に一度のブライアン・フリン祭り。今回は第21作から第30作までの10作を復刊しています。タイトルは以下の通り。
The Ebony Stag, Black Edged, The Case of the Faithful Heart, The Case of the Painted Ladies, They Never Came Back, Such Bright Disguise, Glittering Prizes, Reverse the Charges, The Grim Maiden
毎回言っていますが……こんなに一気に出されても読める訳ないだろ! でも買いますけどね。Dean Street Press様の金づるとして生きていきます。
★Bruce Graeme / Work for the Hangman (1944, Moonstone Press)
A Case for Solomon に続く、セオドア・ターヒューンシリーズ第四作です。ターヒューンが蔵書整理をした、事故死した故人の甥っ子の周囲でかつて起こった不可思議な事件を軸に、アリバイ崩しをしていく話らしいです。紙本を注文したのですが、理由不明ながらまだ届いておりません。
Eric Harding / Pray for the Dawn (1946, Ramble House)
最近ではeBayで20万円近い金額で取引されたオカルトミステリが、まさかの復刊です。大変に希少な、それゆえにかカルト的人気を誇る作品で、半年ほど前に刊行予定が出た際には業界を震撼させました。怪しげなアフリカの呪術を通奏低音に、『そして誰もいなくなった』調のデスゲームが展開されます。果たして真実は奈辺に?
amazonの取り扱いがありませんが、こちらの通販サイトで購入できます。
書籍の詳細はこちらをご覧ください。
来月もどうぞお楽しみに。