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2021年に買った洋書の話

一月第二週も後半に入って「昨年のまとめ」も何もないのだが、備忘の意味も込めて2021年に買った洋書について情報をまとめておく。

・1月:
年明け早々、クリッペン&ランドリュの新刊で、ジョン・ディクスン・カーのラジオドラマ Cabin B-13 を集成した The Island of Coffins を購入。とはいえこれは前年の買い忘れで、ハードカバー版がなくなる前に確保できてよかった。他、ジョン・ロードがセシル・ウェイの名義で発表した四作がディーン・ストリート・プレスから復刊されたので購入している。また、グラディス・ミッチェルの Death at the OperaCome Away, DeathWhen Last I Died (いずれもミッチェルのファンサイト The Stone House で高評価を得ている作品)をkindleで購入。この時の自分はミッチェルを研究する気があったものと思われる。

・2月:
クリッペン&ランドリュの新刊で、F・W・クロフツの The 9.50 Up Express and Other Stories を購入。この本は Re-ClaM 第7号と同発した Re-ClaM eX Vol.3 の資料として使用した。他、1945年から46年にかけて8作ものミステリを発表した詩人作家 R・T・キャンベルの作品のうち、ドーバーから再発されている4作をamazonで、スコットランドのリトルプレスから再発された2冊を版元直販で一気に購入。なぜか浩瀚な伝記まで購入している。お世話になったので、Baskerville Books(リトルプレスと併設のネット古書店で、盛林堂書房と盛林堂ミステリアス文庫みたいな関係)で本を買おうと思ったのだが、未だに果たせていない。

・3月:
ムーンストーン・プレスの新刊で、ブルース・グレイムの Seven Clues in Search of a CrimeHouse with Crooked Walls を購入。同社のグレイム本はやっと一冊目に復刊された The Undetective を読むことができた。60年代のトリッキーな犯罪小説で、Re-ClaM 第8号でレビューを掲載予定。また、森英俊さんから Murder by the Press を辞める時に処分し損ねたというペンギンのペーパーバックを四箱分いただく。これらのうち自分もいらない本を洗面所の隅に積んであるんですけど、どうしましょうかね。

・4月:
クリッペン&ランドリュの新刊で、Q・パトリックの Hunt in the Dark を購入。未収録の中編を集めた本。貴重な本ではあるが、「こうしてまとまってしまうと逆にやりにくくなりますね~」と翻訳道楽の米丸さんとはお話している。雑誌初出ということで収録作を翻訳しようかという話もあったりなかったり。他、海外マニア兄貴の影響で、ヘレン・ノウランド Madame Baltimore を購入。結局読んでないですが……

・5月:
フレデリック・アーヴィング・アンダースン The Book of Murder (初版)を購入。ブログに書いた前年の洋書購入本まとめをご覧になった方は、私がアンダースンの短編集 The Notorious Sophie Lang の初版や クリッペン&ランドリュから出た未収録作品集 The Purple Flame を買っていることをご存じかと思うが、いずれこの入手困難な二短編集+αをまとめて本にしたいと考えている。企画を使ってくださる商業出版社募集中。

・6月:
購入なし。ここでバネを溜めたことが吉と出るか凶と出るか。

・7月:
ヤフオクにてクラシック洋書の放出祭りが始まる。この時期は注目している人が少なくて競り合う相手がほとんどいなかったので、希少書をバカみたいな値段で落札していた。ベルトン・コッブの初期作、マックス・ダルマン、ブルース・グレイムの初期作など、相場から言えば4桁半ば、下手すると諭吉1枚でも買えない本(しかも送料別)が1000円以下、下手するとワンコインでゲットできるのだから「狂う」でしょう。13冊を送料込み計1万円ほどで落札している。なお、今はジャケありのものが増えて単価も上がったし、中国の収集家が強力なライヴァルとして入ってきているので、入札する気になれないし入札しても勝てないことが多い。それでもなお、欧米のネット古書店の相場よりは安いんだけどね。

・8月:
今年もブライアン・フリン祭りの季節がやってきた。去年も書いた気がするが、前回・前々回の20冊が丸ごと積読になっているので、ただただ重い。版元のディーン・ストリート・プレスとスティーヴ・バージ兄貴の心意気を汲んで紙で買うと決めた自分を憎んでいる。人を憎んで積みを憎まず……他、海外マニア兄貴の影響でリビー・ブロック Bedeviled を購入。例によって読んでいない。

・9月:
古本道の大先輩である猟奇の鉄人さんから、E・C・R・ロラック/キャロル・カーナックの蔵書(8割がた揃っている)を一括でお譲りいただく。何とか役立てる道を探したいところ。アンソロジー Bodies from the Library 4 も出ているが、読む読むといってまだクリスチアナ・ブランドの短い長編を読み終わっていない体たらく。これもなんとかせねば。

・10月:
ヤフオクでジョン・ロード Shot at Dawn と The Robthorne Mystery を落札。ペーパーバックやジャケ欠本は競ってくる人が少なくて気楽。こちらは読めればいいので。いずれも某サイトでは傑作の位置づけで、特に後者は小林晋さんからも「面白い」とのお墨付きあり(Re-ClaM 第7号参照)。せっかくなので、前者を今読んでます。また、鉄人蔵書のうち欠けていたキャロル・カーナック The Striped Suitcase をまあまあの値段で落札。欧米の水準からすればとてつもなく安いから……(もはや悲しい言い訳)。月末には神保町の洋書まつりに参戦。ここでもまた欠本のロラック Case in the Clinic をゲットする豪運を見せる(欧米の水準云々)。20年ほど前に復刊されたにもかかわらず、恐らくは部数が強烈に少なかったために入手困難になってしまった Printer’s Error も安く買えて、ホクホクで帰宅したのであった。

・11月:
洋書まつり後は一応自粛期間のつもりだったが、新刊でナイスな本が出ていたのでフラフラと。ヴァージニア・カウルズ Looking for Trouble はミステリではなく、第二次大戦期に特派員として活躍した女性記者の体験記でノンフィクション相当。翻訳検討中のある作品で、似たような立場のキャラクターが登場するから……と自分に理由をつけて購入。

・12月
以前から目をつけていたグラディス・ミッチェルの The Worsted Viper をebay経由で購入。先に購入した Printer’s Error とまったく同じ理由で高騰している本。二冊併せて諭吉一枚だと思えば(狂気)。森英俊さんもいい作品だとインタビューで言っていたし。
年が押し詰まって31日、コミケ出展帰りの某氏と、打ち上げと忘年会を兼ねて軽く飲んだが、その最中にマイルズ・バートン The Three Corpse Trick をヤフオクで落札。これが年内最後の洋書購入になりました。

■まとめ
正味の話、洋書については数年分買ってしまったといっても過言ではない。クリッペン&ランドリュやディーン・ストリート・プレスの新刊を紙で買うようになったのもあるが、金銭感覚を崩壊せしめたヤフオク祭り(でも「幸運の女神には前髪しかない」っていうじゃないですかぁ……)、あしながおじさんたちからのありがたい援助という名の洋書雪崩など、怒涛の増え幅には戦慄を禁じ得ない。今年の夏に不要本を1000冊くらい処分したが、さらに処分しないといけないかもしれんな。
それとはまた別の話として、せっかく買った・貰った本は読まなければしょうがないということで、月一~二冊くらいのペースで原書を読んでいこうと考え中。感想は書くならnoteになると思いますが、もしよければご笑覧いただければ幸いです。

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