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WEB Re-ClaM 第43回:クラシックミステリ原書刊行状況(2022/1)
今月は少し出遅れてしまいすいません。前回で旧年の本は出し尽くしたつもりだったのですが、いくつか見落としがあったことに気がつきましたので、今回追加させてもらいました。
★Helen McCloy / Cue for Murder (1942, Agora Books)
Agora Books のマクロイは順調。公式サイトでは更に二冊の刊行が予告されています。マクロイが出るのはいいのですが、「注目されざる女性作家シリーズ」のリソースがマクロイ(とヘンリエッタ・ハミルトン)に割かれていて、新作家の紹介が少なくなってしまっているのは残念。
John Dickson Carr / The Eight of Sword (1934, American Mystery Classics)
前回見落としがありましたので追加。フェル博士ものの初期作『剣の八』の原書です。最近SRの会ブログ(およびSRの会の機関誌 SRマンスリー)にて「カー作品の事件現場の風景」をイラスト化する企画「Carr Graphic」が進行中であることはご存じのとおり。今回は偶然『剣の八』が重複するラッキーチャンスでしたのでご紹介させていただきます。素晴らしいイラストを、以下ブログ記事にてぜひご覧ください。
Vincent Starrett / Murder on "B" Deck (1929, American Mystery Classics)
スターレット作品には一昨年解説を書いた『笑う仏』(論創社)以来興味を持ち続けています。昨年のこの時期、彼の作品が電子版で一挙に復刊して、「あと一年早かったら解説の中でも紹介できたのに~」と悔しくなったのが思いだされます。今回ペンズラーは電子版オンリーで出した本を書籍化したご様子。そろそろネタ切れか?
★Anthony Berkeley / Jumping Jenny (1933 ,British Library Crime Classics)
大英図書館叢書は『ジャンピング・ジェニイ』の原書。文庫まで出ている日本の読者的には、まあそこまでではありませんが、英米の読者にとってはHouse of Stratus が会社を畳んで以降初の復刊になるわけで、嬉しかったのではないでしょうか(小並感)。
★Peter Cheyney / This Man Is Dangerous (1936, Dean Street Press)
大規模復刊なら俺に任せろのDean Street Pressがまたやってくれました。イギリス人でありながら、アメリカ人ばりに隠語卑語をマシンガンのように射出するギャングスター小説を書いたピーター・チェイニーの主要作24作を一挙刊行です。レミー・コーションものほぼ全作、スリム・キャラハンもの全作、ダークもの初期~中期と、この作家の全容が一気に明らかになったのではないかと思います。50年代風の煽情的な表紙イラストもクール。
★Bruce Graeme / A Case of Books (1946, Moonstone Press)
ブルース・グレイムのターヒューンシリーズは安定の第六作。今回は、稀少なインクナーブラ(揺籃期本)をめぐる殺人の謎と、古本屋探偵と犯人の駆け引きを描くスリラー小説……らしいです。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。