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WEB Re-ClaM 第69回:クラシックミステリ原書刊行状況(2024/6-7)

ぼんやりしているとあっという間に月日は流れてしまいます。次のRe-ClaMの締切まで早くもあと二ヶ月という……早く準備を進めなければ。
次のRe-ClaMといえば、現在「読者アンケート(翻訳ミステリ中短編編)」を実施中です。回答者の方には限定の未訳短編をお送り予定! 奮ってご参加ください。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSe7spnUSO0YPHfkaP5EtHN0zuIr9dRLjjd1870uHE_JBT84Lw/viewform

2024/6刊:

S. S. Van Dine / The Canary Murder Case (1927, American Mystery Classics)

Ed. by Martin Edwards / Lessons in Crime (2024, British Library Crime Classics)

Cecil M. Wills / Midsummer Murder (1956, Galileo Publishers)

James Ronald / Cross Marks the Spot (1933, Moonstone Press)

James Ronald / Death Croons the Blues (1934, Moonstone Press)

ジェイムズ・ロナルドは予定通りのスケジュールで出ていて早くも7冊に到達。8月刊行予定の2冊を加えて9冊でおそらく完結となるでしょう。まだ1冊も読めていないのだけど、どこかで感想を書きたいものです。
セシル・M・ウィルズ Midsummer Murder は地味ながら注目の作品で、イギリスの渋いミステリを復刊しているガリレオ・パブリッシャーらしい一作。この流れで入手困難作も出してくれんかな。
エドワーズのアンソロジーは安定のラインナップ。大学・学校をテーマとした短編を集めた作品集で、ホームズものの「プライアリー・スクール」から始まってイネスやクリスピンも収録されています。個人的には巻末に収録されたジャクリーヌ・ウィルソン「字の読めない男の子」(The Boy Why Couldn't Read)に注目。「イギリス・ミステリ傑作選」『木苺狩り』に収録された名品で、「学校」を舞台にしたアンソロジーを作るとなったら私も選ぶと思います。こういうところでエドワーズと「センスが通じる」と嬉しくなります。

2024/7刊:

Ed. by Otto Penzler / Golden Age Whodunits (2024, American Mystery Classics)

Christianna Brand / Tour de Force (1956, British Library Crime Classics)

Clifford Witting / A Bullet for Rhino (1950, Galileo Publishers)

『緑は危険』『ジェゼベルの死』『自宅にて急逝』『疑惑の霧』『はなれわざ』と続けざまに刊行されたブリティッシュ・ライブラリーのクリスチアナ・ブランドは一旦ここで締めでしょうか。ブランド作品は Mysterious Press で2011年に復刊されるも版元都合で電子版諸共絶版の憂き目となり高騰していましたが、今回の改めての復刊で息を吹き返しました。この流れで、Crippen & Landru で刊行予定という作品集も出してくれんかな……。

おまけで、ペンズラー編のアンソロジー Golden Age Whodunits の目次を転記しておきます。

・Stephen Vincent Benet, The Amateur of Crime
・Anthony Boucher, Black Murder「闇の殺人」
・Fredric Brown, Crisis, 1999「一九九九年の危機」
・Mignon G. Eberhart, The Flowering Face
・F. Scott Fitzgerald, The Dance「舞踏会」
・C. Daly King, The Episode of the Tangible Illusion「現われる幽霊」
・Ring Lardner, Haircut「散髪」
・Stuart Palmer, Fingerprints Don't Lie「指紋は嘘をつかない」
・Melville Davisson Post, The Witness in the Metal Box「缶の中の証人」
・Ellery Queen, Man Bites Dog「人間が犬を噛む」
・Clayton Rawson, The Clue of the Tattoed Man「いれずみ男の謎」
・Helen Reilly, The Phonograph Murder「蓄音機殺人事件」
・Mary Robert Rinehart, The Lipstick「棒口紅」
・Vincent Starrett, Too Many Sleuths
・T. S. Stribling, A Passage to Benares「ベナレスへの道」

流石に既訳が多いですが、フィッツジェラルドやラードナーなど日本のマニアの視点からは入らないだろう短編もあって面白いですね。「ベナレスへの道」ってフーダニットだっけ……(オチしか覚えてない)

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