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WEB Re-ClaM 第48回:クラシックミステリ原書刊行状況(2022/6)
更新しようとは思いつつも、なかなか時間が取れず、気がつくと7月も後半になってしまっておりますが、先月分の情報を掲載いたします。
Cornell Woolrich / Deadline at Dawn (1944, American Mystery Classics)
サスペンスの古典的名作『暁の死線』の原作、日本ではアイリッシュ名義で刊行されていますが、こちらではなぜかウールリッチ名義での刊行。元々アイリッシュ名義なのだから、そちらに揃えればいいと思いますが……(この叢書、カーとディクスンでも似たような例あり)
★John Dickson Carr / The Seat of the Scornful (1941, British Library Crime Classics)
『嘲るものの座』(ハヤカワ・ミステリ)あるいは『猫と鼠の殺人』(創元推理文庫)の題で翻訳されている作品。正直なところ、未読だしまったく印象がないのですが、エドワーズのお墨付きで出し直されるなら、何か面白いところがあるのかもしれない……と気になりはじめています。
★Alice Campbell / Juggernaut (1928, Dean Street Press) 含む10作一括
日本未紹介の情報がない作家なのですが、編者のカーティス・エヴァンズのブログによると、「1887生、1955没のアメリカの作家」「1928年発表の Juggernaut でデビュー」「倒叙、スリラーを中心に19作を著す」「いくつかの作品は映画化もされ、生前は大いに人気を博した」「しかし、没後急速に忘れられた」とのことです。
今回エヴァンズは Dean Street Pressと組んで、Juggernaut の他、以下の9作を復刊しました。残りの9作についても追って復刊していくそうです。
Water Weed / Spiderweb / The Click of the Gate / The Murder of Caroline Bundy / Desire to Kill / Keep Away from Water! / Death Framed in Silver / Flying Blind / A Door Closed Softly
★Samuel Hopkins Adams / Average Jones (1911, Library of Congress Crime Classics)
「クイーンの定員」に収められた作品集で、広告アドバイザーのアヴェレージ・ジョーンズが探偵役として活躍する短編を収録しています。新聞や雑誌の最も華やかなりし時代を象徴するような、ユーモラスな探偵小説だそうです。Re-ClaMでもご寄稿いただいている林克郎さんによるレビューも、以下で読むことができます。
Marjorie Bremner / Murder Most Familiar (1953, Moonstone Press)
1950年代に二作の探偵小説を発表して消えた作家のデビュー作。 A Catalogue of A Crime で絶賛されていたそうですが、あの本も基準がよくわからないところがあるのでねえ。カントリーハウス物としてはなかなか面白そうですが……
今回面白そうな作家でいうと、やはりアリス・キャンベルでしょうか。一冊ぐらいは読んでみてもいいかな。サミュエル・ホプキンス・アダムズは『密室殺人傑作選』(原書房)でも一作取られていた作家なので、興味があります。カーはまず翻訳を読んでみないと……ということで以上です。