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WEB Re-ClaM 第38回:クラシックミステリ原書刊行状況(2021/8)
お疲れ様です。作業が何一つ進んでいないのに、時間ばかりが前に進んでいくような気がして諸行無常な気分になる今日この頃です。手を動かすべし。それにしても、今月はなかなか大漁でした。
★Henrietta Hamilton / The Man Who Wasn't There (2021, Agora Books)
過去三作におけるハミルトンの人気に対応して刊行された「未発表作品」だそうです(だからか値段も他より少し高い)。他にも更に三作ほど、サリーとジョージが登場する作品が未発表のまま眠っているらしいですよ。
★Ed. by Martin Edwards / Murder by the Book (2021, British Library Crime Classics)
ブレイク、Pマクドナルド、シモンズ、ブランドなど変わらずクオリティの高い作品を集めています。「ビブリオミステリ」というテーマに日本人受けがいいのか、既訳作がかなり多いのがポイントでしょうか。
★John Dickson Carr / Till Death Do Us Part (1944, British Library Crime Classics)
ジョン・ディクスン・カーの中期の良作『死が二人をわかつまで』の原書です。30年代のいわゆる超有名作だけではなくここまで再発が進むとは、やはりカーの人気は絶大ですね。
★Octavus Roy Cohen / Jim Hanvey, Detective (1923, Library of Congress Crime Classics)
『名探偵登場2』(ハヤカワ・ミステリ)で「株式委任状」が紹介されている《クイーンの定員》の一つで、最初期の私立探偵小説短編集の一冊。ユーモア小説の流れでも紹介されており、ちょっと気になるシリーズです。
★Bruce Graeme / A Case for Solomon (1943, Moonstone Press)
好評のセオドア・ターヒューンシリーズ第三作。今度は、一度殺されたはずの男がもう一度殺される、それどころか前の事件の裁判も判決も服役すらももう終わった怪事件に、古本屋探偵が挑む。なお、今月以降毎月一冊のペースでシリーズを完全紹介することが決まった由。
D. Erskine Muir / In Muffled Night (1933, Moonstone Press)
本邦どころか英米でもほとんど知られていない、犯罪実話を元にした作品を三作書いた歴史・伝記作家の第一作がこちら。実力のほどは不明ですが、序文を書いているジョン・ノリス兄貴のことなら信じてもいいかも……なお、発売前は電子版もありましたがなぜか消えてしまいました。
ということで六作紹介しました。ところが九月はブライアン・フリン第三シーズンは来る(三門は予約済み)、『シシリーは消えた』の原書が再発する、年に一度の大アンソロジー、Bodies from the Library 4が出るなどなど更に豪華なラインナップ。お楽しみに。