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WEB Re-ClaM 第45回:クラシックミステリ原書刊行状況(2022/3)

ということで新年度となりました。三寒四温もいいところで私の体もミシミシ言っております。幸いにして私は花粉症の気はないんですけど、そちらも激しくなっているとのことですので、皆さんはどうかお気を付けください。

★Roger Scarlett / Cat's Paw (1931, American Mystery Classics)

日本では『エンジェル家の殺人』が有名な作家コンビロジャー・スカーレットの第三作『猫の手』の原書版です。テキスト自体は数年前に再発されていましたが、この叢書から出るとは興味深い。人気のあるカー、クイーン、ガードナーを軸に展開していますがそこに留まらず、忘れられた作家も加えつつ、1930年代~40年代のアメリカミステリの全体像を描き出そうとしている試みで面白いですね(日本ではなぜか忘れられていませんでしたが)。

★Max Dalman / Death on May Morning (1938, Black Heath Classic Crime)

★Max Dalman / Third Alibi (1942, Black Heath Classic Crime)

★Max Dalman / Death Before Day (1942, Black Heath Classic Crime)

「マックス・ダルマンが復刊とは?」とごく少数のマニア界隈を瞠目させた企画です。ダルマンは、初期の「オカルト不可能犯罪ミステリ」(わくわくしませんか?)がROMの特集、またMK氏のレビューで紹介され知られるようになった作家です。もちろん入手困難で、本国でも完全に忘れられた作家でした。1951年に亡くなっているので英国では著作権保護が終了していますが、まさか復刊されるとは…… Black Heath Classic Crime は£1でクラシックミステリの電書を刊行している謎の叢書。ホームページもなく、全容の把握は困難ですが、こういう本を出してくれるからチェックを怠ることはできません。

★Bernard J. Farmer / Death of a Bookseller (1956, British Library Crime Classics)

ブリティッシュ・ライブラリー・クライム・クラシックスの記念すべき第百巻がこちら。百冊積み上げたという業績そのものがすごいですが、クラシックミステリ山ではまだ三合目というのが恐ろしいところですね。
百巻目に何を持ってくるのか、と注目していたのですが、バークリーでもカーでもブランドでもなく、まったく知らない作家のまったく知らない作品でした(エドワーズはよくこういうことをする)。でも、わざわざ「百番目の」と惹句をつけているということは、よほどの自信作なのでしょう。もう買ってありますので、近日中に読みたいと思っています。

ということで、3月分でした。Re-ClaM第8号の刊行も迫り、そろそろ目次をアップしていこうと考えております。お楽しみに。

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