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WEB Re-ClaM 第37回:クラシックミステリ原書刊行状況(2021/7)
新刊情報の更新です。7月は、表稼業が年間でも比較的忙しい月なのですが、今年もその辺りはあまり変わらず。とりあえず『ジャスミンの毒』校了にこぎ着けるところまででした。夏休みも取れそうな今月中に、家に缶詰になって色々進めなければなりませんがいかに。
★Ed. by Otto Penzler / Golden Age Detective Stories (American Mystery Classics, 2021)
オットー・ペンズラー編の「アメリカ短編ミステリアンソロジー」です。既訳作品が多いのは残念(わがまま)ですが、作家のラインナップはこれ以上はないというものですし、納得のクオリティでしょう。ハメットやチャンドラーなどがなく、ジャンルを本格に寄せているのは、あるいは別のアンソロジーを既に考えているということなのかもしれません。
・シャーロット・アームストロング「敵」『あなたならどうしますか?』
・アントニイ・バウチャー「ストリッパー」「ミステリマガジン1980/7」
・ミニヨン・G・エバーハート "POSTICHE"(未訳)
・E・S・ガードナー「緋の接吻」『ガードナー傑作集』
・H・F・ハード "The Enchanted Garden"(未訳)
・ベイナード・ケンドリック「5-4=殺人犯人」「日本版EQMM1958/7」
・ロックリッジ夫妻 "There's Death for Remembrance"(未訳)
・スチュアート・パーマー「猿神殺人事件」「ミステリマガジン1980/1」
・エラリー・クイーン「アフリカ旅商人の冒険」『エラリー・クイーンの冒険』
・パトリック・クェンティン「ポピーにまつわる謎」『いぬはミステリー』
・クレイトン・ロースン「この世の外から」『密室大集合』
・クレイグ・ライス「さよなら、グッドバイ!」『マローン殺し』
・メアリ・ロバーツ・ラインハート「鍵のかかったドア」『ヒルダ・アダムスの事件簿』
・コーネル・ウールリッチ「913号室の謎/自殺室」『自殺室』
海外の読者の間ではケンドリック「5-4=殺人犯人」の評価が高いです。読んだことのない作品なので、少し気になりますね。
★Margot Bennett / The Widow of Bath (British Library Crime Classics, 1952)
ブリティッシュ・ライブラリーの今月の新刊は『飛ばなかった男』で有名なマーゴット・ベネットの未訳作。イギリスの海辺の観光地で安ホテルに燻っていたヒューは、元恋人に誘われて彼女が最近結婚した男が開くパーティに参加するが、そこで男が殺されて……という話らしく、なんとジュリアン・シモンズが絶賛したというのが惹句になっています。さて面白いのかどうか。
と、今月はこのくらい。少なめですが、ペンズラーアンソロジーが濃厚なので良しとしましょう。それではまた。