WEB Re-ClaM 第40回:クラシックミステリ原書刊行状況(2021/10)
うっかりしていたら11月も10日を過ぎているではありませんか。文フリまでも残り二週間ほど。新刊の情報も出揃ってきて、楽しみですね。
Rupert Latimer / Murder After Christmas (1944, British Library Crime Classics)
ブリティッシュ・ライブラリー・クライム・クラシックスの新刊で、例年通りクリスマスを舞台にした作品。エドワーズの序文を見た限り、ミステリの著作は本作を含めて二作という寡作な作家だそう。第二次世界大戦終盤の空気を写し取りながらもユーモアを忘れぬ作風が評価されたようです。
Stuart Palmer / Hildegarde Withers: Final Riddles? (2021, Crippen & Landru)
注文先月からできるようになったもののまだ届いてはいない本。ヒルデガード・ウィザーズものの短編やホームズ・パスティーシュなどを含む作品集のようです。日本でも翻訳は多数ありますが単独の短編集はまだなく、選集の刊行が待ち望まれる作家ですが、各社いかがでしょうか。
Gwen Bristow & Bruce Manning / The Invisible Host (1931, Dean Street Press)
クリスティー『そして誰もいなくなった』に霊感を与えた……かもしれないと言われる作品。「クローズドサークルに閉じ込められた男女のグループが、次々に殺される」「「ホスト」を名乗る見えざる殺人者は、実はグループの中に隠れ潜んでいる」という辺りは確かに似ているかも。かなり出来のいいスリラー小説なので、日本でもより広く読まれたらいいのですが。
Bruce Graeme / Ten Trails to Tyburn (1944, Moonstone Press)
ブルース・グレイムの古本屋探偵セオドア・ターヒューンシリーズ第五作。町の名物おじさん「隠者ピーター」が亡くなり、その庵から彼に似つかわしくない宝飾品が見つかる。時同じくしてターヒューンが手に入れた「タイバーンへの十の道筋」と題する五つの短編が、隠者の死の秘密を探り出す手がかりになっていく……という話らしいです。このシリーズも残り三冊。最後まで出そうで何よりです。早く読みなよ。
The Invisible Host についてはfacebookでレビューを書きましたが、こちらにも転載しようかな。私家本での翻訳刊行に向けて作業中という話も聞いているので、興味のある人は情報を探してみてください。