WEB Re-ClaM 第44回:クラシックミステリ原書刊行状況(2022/2)
忙しさにかまけて更新をすっかり怠っておりました。春が近づくと危ないですね。
★Helen McCloy / Who's Calling? (1942, Agora Books)
『あなたは誰?』の題で邦訳されている作品の原書です。ウィリング博士ものの電子版が気楽に手に取れるようになるのはいいですね。
Jonathan Latimer / Headed for a Hearse (1935, American Mystery Classics)
『処刑六日前』の題で邦訳されている作品。本格ミステリと軽ハードボイルドのミックス具合が気持ちいいシリーズですね。このシリーズとしては電子版はありませんが、同じくオットー・ペンズラーが関わっている Mysterious Press / Open Road で電子版を購入可能です。
★E. C. R. Lorac / Post After Post-Mortem (1936, British Library Crime Classics)
These Names Make Clues (1937) に続いて、入手困難なことで知られるロラックの初期作品が、ブリティッシュ・ライブラリーから復刊されました。この時期の作品は、ネット古本屋で数万円、あるいはどこを見ても在庫なしという場合が多いので、実にありがたい。更なる続刊を希望します。
★Helen Traubel / The Metropolitan Opera Murders (1951, Library of Congress Crime Classics)
議会図書館叢書の新刊は聞いたことのない作家ですが、この人、高名なオペラ作家の方だとか。自分そっくりのソプラノ歌手を主人公に、自分の経験を活かしながら書いた作品とのことですが、さて。ただ物珍しさで選ばれるようなシリーズではないので、もうひと味何かがありそう。
★Bruce Graeme / And a Bottle of Rum (1949, Moonstone Press)
セオドア・ターヒューンシリーズは全七巻出て無事完結。インターネットのの一部には「もう一冊ある」という情報もありますが、果たしてどこまでが本当なのか。グレイムは好みの作家なので、どこかで機会を見て読んでいきたいシリーズです。
今月もなかなか面白い本が出そろいました。皆さんの読書ライフのお役に立てば幸いです。