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金子みすゞの詩「お菓子」

彼女の独特な感性と優しさが感じられる作品です。この詩は、子供らしい純粋な心と、自分の欲望との葛藤を描いています。


金子みすゞ(本名テル)

1903年(明治36年)大津郡仙崎村(現在の山口県長門市仙崎)生まれ
彼女が童謡を描き始めたのは20歳の頃から
4つの雑誌に投稿した作品が、そのすべてに掲載される鮮烈なデビューを飾った
『童話』の選者であった西條八十に「若き童謡詩人の中の巨星」と賞賛される
大正末期から昭和初期にかけて、26歳の若さでこの世を去るまでに512編もの詩を綴った

[詩]

いたずらに一つかくした
弟のお菓子。
たべるもんかと思ってて、
たべてしまった、
一つのお菓子。

母さんが二つッていったら、
どうしよう。

おいてみて
とってみてまたおいてみて、
それでも弟が来ないから、
たべてしまった、
二つめのお菓子。

にがいお菓子、
かなしいお菓子

詩の概要と解説

1.いたずら心と後悔の描写

詩の冒頭では、兄弟間のいたずら心が描かれています。弟のお菓子を一つ隠したものの、結局自分で食べてしまう。この行為には、子供らしい衝動性と無邪気さが見られます。

2.自責の念と葛藤

「母さんが二つッていったら、どうしよう」という箇所から、自分の行動に対する後悔や罪悪感が伝わります。お菓子を食べてしまったことに対する恐れや不安が、子供の視点から繊細に表現されています。

3.二つ目のお菓子の誘惑

弟が来ない間に、二つ目のお菓子を食べてしまう。この部分では、自己制御が効かない子供の心理が描かれています。再び後悔しながらも、誘惑に負けてしまう心情がリアルに伝わります。

4.「にがいお菓子」「かなしいお菓子」

最後に登場するこのフレーズは、食べてしまった後の罪悪感や悲しみを象徴しています。甘いお菓子であるはずなのに、心の中で苦く感じられるという感情が巧みに表現されています。

まとめ

この詩は、金子みすゞの得意とする、日常の小さな出来事を通じて深い人間性を描く手法が光っています。読者にとっても、自分の幼い頃の経験を思い出させるような、心温まる作品となっています。


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