嘉義雞肉飯 青春18×2 君へと続く道
「こんにちは、仁一です。ごはん、食べた?」
時は巻き戻せない。
だけど、失われた青春は、今からでも取り戻すことができる。
仁一は、青春時代を謳歌することができなかった。
10代の頃、兄弟の世話に追われ、自分の時間を犠牲にしてきた。
20代に入ると、大学卒業後すぐに仕事に就き、激務と残業に追われる日々が続いた。
太陽を見ることすらなく、友人たちがバックパッカーとして海外を自由に旅する姿を羨ましく思いながらも、それは遠い夢のように感じられた。
ついに、今、自由を手に入れた!
娘たち「睿痢五」と「背釃五」と共に、青春を取り戻すための旅を計画した。
行き先は台湾の嘉義と台南。
2024年4月、台湾を訪れることを決めた際、偶然にも日台合作映画『青春18×2 君へと続く道』が台南を舞台にしていることを知り、ただの観光ではなく、映画の名シーンを実際に体験する旅の内容に決めた。
ただし、この旅には一つの秘密があった。
娘たちは、この映画のことを一切知らされておらず、彼女たちはただの「青春旅」だと思い込んでいる。
実は映画のシーンをリアルに体験するサプライズが仕掛けられていたのだ。
旅のサプライズ計画
台湾鉄道のシーン
映画では、主人公ジミーとアミが台南から沙崙線に乗って台北へ向かうシーンが描かれている。
台南新幹線駅に到着すると、何気なく娘たちを沙崙線に乗せ、映画と同じ真ん中の長い席に座らせた。背後には映画に登場する丸角の窓があり、その風景はまさに映画のワンシーンそのものだった。娘たちが気づかないうちに、仁一はその瞬間を写真に収めた。
台南の夜の繁華街のシーン
映画の中では、ジミーとアミがスクーターで夜の台南の繁華街を駆け抜けるシーンがある。街には無数の提灯が吊るされ、幻想的な風景が広がっている。
嘉義の街でバスに乗りながら、提灯が並ぶ道を指差して「台湾の道路の中央には提灯が多いね」と娘たちに話しかけた。映画に出てくる似たようなシーンが何度も繰り返されるので、そのことを頭に留めておく。
市場のシーン
映画では、主人公たちが市場を巡り、地元の人々と触れ合う場面が描かれている。
嘉義市の市場に連れて行き、地元の人々と会話を楽しみながら、野菜や雑貨を見せ、台湾の生活を感じさせた。映画の中に入り込んだような感覚が広がり、娘たちはその時間を存分に楽しんだ。
ローカル食堂のシーン
映画では、アミの歓迎会が行われ、アルバイト先のKTV《カラオケ》のスタッフ全員が円卓を囲み、地元の人々と温かい食事を楽しむシーンがある。
嘉義のローカル食堂「阿樓師火雞肉飯」に連れて行き、偶然相席になった台南から来た家族と共に食事を楽しんだ。
台南の家族は親切に台湾の食べ方を教えてくれ、その場の賑やかさと温かさはまるで映画のようだった。ちょうど清明節(春のお彼岸)の時期で、台湾語が飛び交う店内は人々の活気で溢れていた。
さらに、相席した家族がアボカドミルクシェーキを奢ってくれるという
サプライズ
もあった!
祈りのシーン
映画では、ジミーとアミが「台湾首廟天壇」で|筊杯《ジャオペイ 》ポエ占いを行う運命的なシーンが描かれている。
台南の「赤崁樓」に連れて行き、筊杯ポエ占いを体験させた。その後、映画の舞台となった「台湾首廟天壇」にも足を運び、映画の中に入り込んだような特別な時間を過ごした。
「全美戲院」のシーン
映画のクライマックスでは、ジミーとアミが台南にあるレトロな映画館「全美戲院」で映画を観る場面が描かれている。
旅の最後の日、娘たちをその「全美戲院」に連れて行き、実際の映画『青春18×2 君へと続く道』を観せた。
この映画館は昭和時代の風情を残し、映画看板も全て手書きで描かれていた。昭和時代を愛する娘たちは、その場所に特別な興味を持っていた。
映画が始まると、スクリーンに映し出された風景がこれまで自分たちが訪れた場所と似たよう場所であることに娘たちは気づき、「全美戲院」のシーンが出てきた時に驚いた表情で仁一を見つめた。
「最初から知ってたの?」
と尋ねる娘たちに、仁一は静かに頷いた。
映画は悲しいエンディングだった…。
長女だけがボロボロ泣いていた。
映画に入り込んでいたのかもしれない。
映画が終わり、映画館を出ると、地元の台湾人が声をかけてきた。
「わざわざ日本からこの映画を見に来たんですか?」
と尋ねられ、仁一は笑顔で答えた。
「はい、そうです。」
「岩井俊二監督のファンなんですか?」
「監督の名前すら知りません。」
「じゃあ、台湾の俳優許光漢のファンですか?」
「全然知らないです。」
「では、なぜこの映画を?」
とさらに問われ、仁一は静かに答えた。
「失った青春を取り戻すためです。」
青春の思い出が蘇り、行き当たりばったりの出来事や、随所に散りばめられた心躍るサプライズが、若い頃の気持ちを取り戻させてくれた。
お別れのシーン
主人公のアミは日本に戻る日、アルバイト先KTV《カラオケ》のスタッフ全員が「保安駅」で見送りして行った。
私たちも「保安駅」から電車に乗り、空港へ向かい、台湾の旅を終えた。
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嘉義で味わった名物グルメといえば、雞肉飯(ジーロウファン)!嘉義の雞肉飯は、柔らかくて風味豊かな「ターキー」を使っているのが特徴です。
ただ、日本ではターキーが手に入りにくいため、鶏肉で代用しました。
嘉義風 雞肉飯(ジーロウファン)
材料(2人分):
茹で鶏もも肉
鶏もも肉 一枚(約400g)
ねぎ 10cm
生姜 10g
お酒 大さじ1
塩 水の1%
胡椒 3振り
水 500cc
嘉義風雞肉飯ソース
醤油 小さじ2
米酒 小さじ1
砂糖 小さじ2
塩 少々
白胡椒 少々
鶏の茹で汁 50cc
フライドオニオン 小さじ1
温かいご飯 2人前
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作り方
鶏肉を茹でる
1. 鍋に水500ccを入れ、ねぎ、生姜、お酒、塩を加えて火にかける。
2. 沸騰したら鶏もも肉を入れ、沸騰しない程度の弱火で15-20分ほど茹でる。
3. 茹で上がった鶏肉を取り出し、氷水に入れて冷ます。
4. 鶏肉が冷めたら、手で裂く。
※茹で汁はソースに使うので取っておく。
ソースを作る
1. 小鍋に醤油、米酒、砂糖、塩、白胡椒、鶏の茹で汁、フライドオニオンを入れる。
2. 沸騰させたら火を止めて、ソースの完成。
盛り付け
1. 温かいご飯にソースをかけ、裂いた鶏肉をのせます。
2. さらにその上からもう一度ソースをかけます。