Vol.1 フェイブルマンズ
スティーブン・スピルバーグ監督の自伝的映画!
主人公のサミー・フェイブルマンは、
映画で観た列車と自動車の激突シーンに強く心を奪われ、
自分のおもちゃでそのシーンを何度も再現するようになる。
やがて8ミリカメラを手に入れ、友人や家族を撮影し始めるサミー。
物語ではフェイブルマン家に起こる様々な問題などが描かれ、
サミーの成長や家族の変化とともに時は流れてゆく。
感受性豊かな母親の影響を受けたサミーは自身の感性に従い、
映画を撮影するという素晴らしさと生きる喜びを知る感動のストーリー。
「フェイブルマンズ」とは?
こちら、前情報を何も入れずに観たわけですが…
「フェイブルマン」はファミリーネーム(苗字)のことでした!
原題が「The Fablemans」で複数形なので…
日本語のニュアンスで言うと「フェイブルマン家の人々」と訳すのが
しっくりくるかと思います。
「フェイブルマン」はユダヤ系の苗字のようで、
スピルバーグ監督もユダヤ系アメリカ人であることから、
このあたりは自身の情報に基づいていると言えますね。
天才はいかにして天才になったのか
自伝的映画とはいえ、
監督がどこまで作品の中に事実を盛り込んだのかは定かではないのですが、
あるシーンは切なく、
あるシーンは悲しく、
人生はそんな簡単にはうまくいかないし、
よくできたハッピーエンドも用意されていないんだなぁ…と。
そんな印象を受けた作品でした。
どこにでもあるような家族の問題に直面し、
不当な人種差別発言に胸を痛め、
なかなか思うように実力を発揮できず、
低空飛行のままくすぶり続ける、
どこにでもいるような普通の青年サミー。
映画では、そんなサミーの成長してゆく姿がゆっくりと描かれています。
特に印象的だったのは、母親のセンシティブな事情。
ファインダー越しに母親の「事情」を知ってしまったサミーの表情を見て、
なんでか、私は涙が止まりませんでした。
サミー役のガブリエル・ラベルがこれまたものすごくいい演技をするのですよ!!
しっかりしているようでいて、ちょっと情けないような、
思春期独特の不安定な感じ…。
アクションシーンなどはありませんが、
主要な登場人物の心理面をないがしろにせず、
ちゃんと分かりやすく描写した、ていねいな作品だなと思いました。
天才はいきなり天才になったわけではない。
というのが、全体を通してよく分かる内容になっています。
第95回アカデミー賞で作品賞含む主要7部門ノミネート!
映画芸術科学アカデミー会員はぜったい大好きな内容のはず…。
賞レースの行方に期待です☆