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ロックピボットに働く力の作用~通常のピボットとの違いについて~

ミニ四駆では、コーナー走行時に可動するバンパーを大別すると、スライドダンパーとピボットがあります(可動するバンパーとしては他にアンカー等もありますが、趣旨が違うので本件からは除きます)が、どちらも基本的には、コーナー進入時にコースフェンスにふれた時のショックを吸収、マシンの走行安定性を高めてコースアウトを防ぐもの(ピボットはツッコミ時の車幅を狭める事で更に完走率を高める意味合いを含む)です。

どちらも本来、ギミック的には常時稼働するもので一長一短があり、セッティングによっても変わりますので一概にどちらが善し悪しも速いとも言えません。

公式レースでは、年を追う事にデジタルやロッキング等多様なコースがデビューし、それらに対応する為に両者色々なセッティングやバリエーションが誕生してきました。
しかし、一セクションをクリアする為に全体の速度を多少犠牲にする、または一セクションを犠牲に全体の速度を保持する等の駆け引きとさじ加減は非常に難しく、ギミックとしての精度も練度も多岐に求められてきました。

そんな中で誕生したものの一つが「ロックピボット」で、その名の通りピボットの派生系なのですが、既存のピボットとの特異点に”常時稼働するものでは無い”事が上げられます。

スラダンの構造と役割を考える」でも触れましたが、ロックピボットは前方または斜め前方の力には稼働し、真横からの力には稼働しないのが特徴で、通常コーナーではリジッドと同様であり、ピボットという後方への稼働域の幅広さを持つ構造の為に、デジタルコーナー等をスムーズに速く抜けたり、ツッコミ時に本来効果の他に車幅を狭める事で完走率向上にも寄与します。

では何故、ロックピボットは普通のピボットと違い、常時稼働せず動きを制限出来るのか?

コレは”力の作用”をうまく利用しています。
まず、保持するゴム等の引く力の作用が分かりやすいのは、例えば「腕」です。
脇を締めて肘から先を持ち上げます。

作用点である手に重りを持ち、斜め上、真横、斜め下にした時、一番楽なのは斜め上と思います。
つまり、力点である引き付ける筋力が軽く済む訳です。コレがゴムやバネが行う引く力で、効率的な場所と向きです。

実際に可動部バンパーを想像する時、上記のようなペン立ての形が例に分かりやすいと思います。
このペン立ては、ペン先に掛かる重力が、ペンとペン立ての接点を支点に、地面に対して作用して、バランスを取りながら立ち続けます。
このペン立ての写真はバンパー作成上非常に重要ですので、よく見て下さい。

例えばこのペン立てを、先の腕の動きとバンパー可動部とを重ね合わせてみると、地面と接地してる作用点が「肘」(可動部支柱)、支点が「筋力」(バネやゴム等)、力点が「手」(ローラー)の位置となります。

仮に地面とペン立ての接地面が、可動部支柱のように可動するよう繋がっていたとして、ペンと台の接合部をゴムやバネで筋力と同じ向きに引いていた時、横から押したとしてもほぼ動かず、上からゴムやバネが引く力を越えた力が掛かれば、地面方向に倒れていきます。

ロックピボットとは、この関係性を利用して、支点となる可動部支柱より前方にローラーを位置し、横からの力を前斜めに受ける事で力の向きを稼働側と逆に働かせて小さい力(バネ等)で保持・固定して、前からの力は支点を軸に大きく稼働したバンパーを小さい力(バネ等)で引き戻す、そんな力の作用が働いているのです。
ちなみに作成上のヒントは”ローラー幅が最低1mmは短くなる”です。


通常のピボットは、支点より後方にローラーが配置される為に、前や横からの力に対して、力点と作用点が近いのもあって、後方へ簡単に力が逃げます。

なるべく簡単に説明すると、コレらがロックピボットと通常のピボットとの力の作用の違いです。

ロックピボットにも、ゴムや丸バネの伸縮、私が作った金属棒の弾性変形(引き戻し)を利用するもの等色々な方法があり、設置方法や場所でその力加減も変わりますし、減衰の有無や使い方も様々あり、使い方次第でまだ色々可能性があります。

ちなみに、私が作成した「ちーやんさん命名”SPATバンパー”」は、モーター内の磁石を固定しているクリップをバネとしたロックピボットをATバンパーにしています。
穴に細い針金様なものをフックさせて作成する為に自由度が高く、本数や配置方法で強弱加減が可能で、バネのような厚みや物理的配置の悩み、穴掘り作業の手間がなく、ゴムのように引く(押さえる)向きや配置に悩む事が減るのがメリットです。
デメリットを上げるとしたら、バネよりは使用するクリップの、バネとしての耐久性は若干劣る(本来用途と違うから当たり前と言えば当たり前だが、永く使えば金属疲労で曲がったり伸びたりはある)くらいです。

フロント用

リア用

実際に装備したS2の稼働実験の様子は[リンク]からツリーを確認して下さい。
自宅内の短距離であるために車速が常設よりはゆっくりですが、普通のコーナーは固定で、デジタルでは稼働する状況が確認出来ます(各々スローですが、止めながら見ると分かりやすいです)。

以前はスラダンの、今回はピボットの力の作用や役割について軽く触れてきました。
ミニ四駆にはあらゆる所やギミックに、テコの原理を始めとしたこれらの様な力の作用が働いて(使われて)います。
簡単なようで難しい面がありますが、考えていくと非常に面白く、新しい発見も生まれることでしょう。

思ったように動く様は、すごく楽しいよ🎵ヾ(●´∇`●)ノ

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