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ホイール軸のオフセットについて考える

ミニ四駆が走るには絶対必要なパーツの1つ、ホイール。
キット毎に様々なホイールが入っていて、デザイン等含め好みが色々分かれるパーツでもあり、コアな方はホイール目的でキットを買い漁るほどの状況も見受けられます。

ミニ四駆のホイールは、基本的には全て軸穴の規格は同じで、穴は約1.85mm、深さは約7.5mmです。
組み付けた時に傍目に軸の長さが違うのは、ホイールのオフセット量が異なるからとなります。

ホイールのオフセット量には、ホイールの内側の面を0基点として、約-2mmから約+5mmまで存在します。皆さんは、ホイールのオフセット量が何故こんなに色々サイズがあるか理由を考えた事はありますか?

通常、無加工のタイヤの場合、タイヤの接地面は概ねセンター(オフセットトレッドタイヤを除く)であり、タイヤトレッドとホイールトレッドは異なります(ホイールトレッドより外側になる)。
なので、ホイールのオフセット量は、ミニ四駆の場合、タイヤが無加工であれば(オフセットトレッドタイヤを除く)そのままタイヤトレッドの差にもなります。

一般的には、狭い場合をナロートレッド、広い場合はワイドトレッドと表現します。

勿論、ミニ四駆としての全体的なデザインを優先して採用する場合もあるとは思いますし、このオフセット量の差には色々な概念や要因が含まれるのですが、ここで主にするのは、ローラーベース等に関連するコーナリング等への関係性について取り上げます。

ミニ四駆を科学する。~ローラーベースとホイールベース、トレッドの関係性~」の記事でも取り上げてますが、ミニ四駆にも黄金比が存在し、シャーシ毎にホイールベースの関係で黄金比から割り出されるタイヤトレッド値は変わります。
ローラーベースやローラー幅の関係性と合わせて、黄金比から理想値に合わせていくのですが、その時の基本的位置というのは通常”前後同一幅”が基準となります。

何故タイヤトレッドを”前後同一幅が基準”と話したのかは、シャーシトレッドがミニ四駆の場合、原則的に前後同一だからです。

しかし、あくまで基準であって、
〇何らかの理由でローラーベースやローラー幅が理想値から外れる場合
〇シャーシの捻れ剛性などによりタイヤトレッドの基準値がそぐわない場合
〇敢えて全体的な理想値より直進性または回頭性に変更を加えたい場合
等の理由から、前後タイヤトレッドまたは片側のタイヤトレッドを変更する事があります。

特殊な例はVZ。
VZは非常にシャーシが柔らかく、ノーマル構成だとフロントローラーが低く設定されているので、調べた限りではコーナーでフロントをアウトリフトさせてシャーシをロールしながら曲がる特性になっています。
VQS等はフロントよりリアのホイールトレッドが広く設定されているので、ロール時にリアが踏ん張ることで、180度コーナー出口を比較的外側をまっすぐ出てきます。
しかし、ヤリスのような前後ナロートレッドの場合、リアワイドトレッドより踏ん張りが少ないので、所謂アウトインアウトの軌跡を取りやすく、切り込む形でコーナーを抜けていきます。

VZの場合は”曲がりやすい捻れるシャーシ”であるため、リアワイドトレッドを標準と考えても旋回性は良いと判断出来ますが、その他普通のシャーシでは、リアワイドトレッドはシャーシの直進性を上げるため、そのままだとトレッド同一の場合と比較すると、少々旋回性は落ちます。

通常の場合、80mmホイールベースのシャーシについては、前後タイヤトレッドが理想値50mmから約6mm広がると、ローラー幅が前後同一の時にローラーベースの理想値は125mmから1mmちょっと短くなります。これはトータルバランスにより弾き出される数値ですが、ローラーベース125mmの時、フロントだけワイドトレッドにすると1mm延長しても旋回性は保持され、逆にリアワイドトレッドにすると、ローラーベース1mm短縮しても直進性が保持され、各々安定性を増します。

それ故に、マシン構成を意識する時、タイヤの接地面位置を考慮して、ホイールのオフセットは考えなければなりません。
ただホイールのオフセットを増減すれば良い訳では無いのです。

例えば、「ARはいいぞ」でも書きましたが、写真のマシンはARのローラーベースの黄金比からローラー幅をSTDから変えずに旋回性の理想値へ寄せる為に、ホイールトレッドは同一でありながら、フロントタイヤトレッドをリアより広げたセッティングを、ペラタイヤ接地面位置を変える事で行っていますが、これをオフセットトレッドタイヤやハーフタイヤ、ホイールのオフセット量で変えても良い訳です。

こちらはXXシャーシですが、同様の理由でホイールをマイナスオフセットし、タイヤをオフセットトレッドに作り、前を外側、後ろを内側に向けて履かせる事でローラーベースやローラー幅の関係性を補い、理想値の旋回性を保持しています。

コーナーのRが違う5レーンは、3レーンとトレッド幅含めローラーベース等も変わります(一般的に広く長くなる)から、先に書いた数値は参考値程度(私の計算基準は基本3レーンです。)に考えて下さい。
Rの緩い5レーンの方が、3レーン車より直進性を上げた方が安定するのは自明の理です。その1つの手法がトレッド(オフセット)変更です。

つまり、同じシャーシ、ローラーベース等の位置関係が同一であっても、タイヤトレッドまたはホイールトレッド(オフセット量)でマシンの性格は大きく変わるという事です。
なのでタイヤの作り方、ホイールとの組み合わせ方、走るコースによっては、オフセット量がプラスに多いホイールも上手に使えます。
使い方によっては、実車系などはデザイン的にホイールがボディより引っ込んでしまうのも防げますね😉

ホイール軸のオフセットが色々あるのは何故か?
簡単に考えるなら、
設定すると物理的変更が難しいバンパー周りの微調整をタイヤ/ホイールの組み合わせによるオフセット値(タイヤトレッド)により、コースやマシン特性に合わせて変更出来る。
逆から考えれば、トレッドの関係性が解るとローラーベースやローラー幅の設定に若干の自由度を作ることが出来る。
とも言えます。

そう考えると解りやすいでしょう。

ホイールのオフセットは、こうした自由度を手軽に実現するためにTAMIYAが考えて作ってくれたデフォルトのセッティングパーツなんですね(´ω`*)

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