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スラダンの構造と役割を考える

スライドダンパーとは、コーナリングなどでコースフェンスにふれた時のショックをローラーが左右にスライドして吸収、マシンの走行安定性を高めてコースアウトを防ぐGPUで、現在は特にデジタルコーナーや連続ウェーブ等のあるコースで皆さんよく使われています。
スラダンを自作する人もいて、結構見掛けるのでは無いでしょうか?

基本的には常時稼働するものであり、「付けると遅くなる」と言う人もいます。
意外と速い方でもスラダンの構造を理解していない人も多く、理解した人は純正の構造の素晴らしさに感嘆の声をもらします。
確かに、ある程度の知識が無いと、その動きをコントロールするのも難しい部分はありますし、稼働部品故にガタツキを抑えるにも苦労する一面もあります。
今回は、そんなスラダンについて紐解いていきます。

先ずはスラダンステーの写真を見てみます。

今写真は、上を進行方向に例え、実際に取り付ける向きにしてあります。
何かお気付きになりましたか?

ココ大事です😉
ステー自体が逆弓形でスライド穴が「逆八の字」です。
何故こんな形してるか考えた事ありますか?
実はコレ、あまり触れる人は多くありませんが、凄く重要な事なのです。

この逆八の字になっているスライド穴は、左右壁に対して直角にマシンが接地した時、約5度進行方向側に外側が向くように作られています。

公式サイトにはこう書いてあります。
フェンスにぶつかった時のショックをスムーズに吸収します。
意味分かりますか?
何処にもデジタルコーナー云々もギャップも出てきません。
それらは、スラダンの役割としての構造が、結果的に一部用を兼ねるに過ぎない、副産物的な話なのです。

ミニ四駆の3レーンコースは、コーナーの湾曲率が約5度で出来ています。
つまり、ストレートを走行してる時はスライド穴が壁に対して斜めにバンパーが当たってますが、コーナーに進入するとぶつかる壁に対してスライド穴はほぼ直角になります。
だから”ショックをスムーズに吸収する”なのです。
逆弓形なのは、その斜めから入る力をスムーズに受け流しながら耐える為にこの形になっているのです。
また、スライド穴が逆八の字であるため、力の作用の関係で、走行中の真横からの入力には稼働しにくくなっています。

少し話が逸れますが、「ロックピボット」と言われる、前方または斜め前方の力には稼働し、真横からの力には稼働しないピボットバンパーがあります。
理屈的には似たようなものです。
ピボットという稼働域の幅広さを持つ構造の為に、デジタルコーナーをスムーズに速く抜けられるのです。

話戻って、一般的な真横にバネが入る自作スラダンや前に後ろのスラダンを付けると、特にコーナー進入時の衝撃吸収という概念で言えば、その性能は本来より低減しており、ダメージを強度の低い稼働部周辺に蓄え、ストレートでは両者動きは違うものの、稼働すると壁に向かって進行し、破損や減速する要因を作り出します。
純正で正しく取り付けても、デジタルコーナーに対しては、進入時の衝撃吸収力等で言えば同様です(後述します)。

「付けると遅くなる」というのも、この辺の話が含まれる他、その使い方にもかなり左右されます。

細かな部分はコース状況でセッティングが変わるので一概に言えませんが、一般的な公開されている話としては、「前は柔らかく、稼働域を減らして、減衰でゆっくり戻す。」「後ろはバネだけ。」等と言われます。

ココからイメージして下さい。
フロントの稼働域が半分程度でバネ柔らかく、減衰がよく効いた、リアはバネだけの純正スラダンマシンがあります。

マシンがストレートを抜け、180度左コーナーに突入します。


マシンは右前ローラーが壁に接触、マシンのパワーに一旦めいっぱい沈み込み、リジッドバンパーより奥深い位置から鋭角に旋回を始め、コーナーを曲がりながら出口に向かい徐々に回復していきます。


後ろは、フロントが奥で旋回を開始した分、リジッドバンパー時より奥で接触して沈み込み、減衰が無いことからそのままバネの力で車体はすぐさま押し戻されてきて、車体は旋回体勢から直進体勢に振り戻されます。


すると、前後ローラー幅が同じ時、コーナー後半は車体が出口外側(右寄り)方向に頭が向く形(ローラー幅がリア狭なら、上記より左に切れ込む形)になり、出口付近では前のバンパーが元に戻りきって(頭が押し戻される)、アウト側に寄って(リア狭なら真ん中から左向きに)進行します。



最初のストレートの手前のセクションでマシンがどちらに寄ってるか等で若干変わりますが、イメージ的にはそんな感じです。(書いててパニックになってくるんだが、合ってるのか?🤔)

前に減衰無くめいっぱい動いたなら、例えるならギクシャクとコーナーを多角形に曲がります。だから減速して遅くなるのです。

リジッドでもスラダンでも、コーナーの速いマシンは、一例ですがLC無しのオーバルコースを”楕円軌道”に近い形(卵形とも言える)で走ります。
つまり、円外周を走るより最短ルートを通っているとも言えます。

セッティングがちゃんと出た純正スラダンマシンは、立体コースにおいてリジッドより速く走る事も出来ます。
何故ならば、リジッドだと立体コースの性格上少なからずセクションクリアのために犠牲にする直進性や回頭性の部分を、稼働による自由度により補い、理想的なラインに導いていく事も出来るからです。

ちなみに、スラダンで3レーンデジタルコーナーを同じ理屈で最大限の衝撃吸収と効果を得ようとする為には、逆八の字の角度は約22度となり、ミニ四駆のバンパー幅や全長等を考えると、作成するのは構造上難しいでしょう。

(5レーンは角度こそ違いますが同じ)
そう言った意味では、ピボットの方が最適解であると判断します。

スラダンを始めとして、パーツやギミックはちゃんと意味があってその形で存在します。夢パーツもそうですが、時期や使い方によって本来の想定より多様な使い道のものもありますし、人によっては敢えて違う付け方をする意図等の理由もあるので、個性的な使い方も否定しませんが、本来の意味を知った上でやっていくことは自分を、マシンを伸ばしてくれます。

スラダン、速いよ~(´ω`*)

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