不動産投資は税金地獄?知らないことだらけの不動産×税制度
日頃、不動産投資のコンサルタントをさせていただいている我々ですが、不動産投資のメリットデメリットをお話しする中で、不動産投資に係る税金について解説すると、驚かれることが多いです。よほどお金について詳しくなければ、非常に複雑な分野なのです。
不動産投資には、
購入時
保有時
売却時
相続時
といった4つのタイミングで、異なる種類の税金が課されます。
不動産の購入時
まず、「1.不動産の購入時」にかかる税金についてです。不動産の購入時には、下記の4つの税が課される可能性があります。
印紙税
登録免許税
不動産取得税
消費税
印紙税
経済的な取引に伴って作成される書類には印紙税を支払う必要があります。そのため、取り交わされる書面に印紙を貼付することで納税します。
印紙税の対象となる契約書は3つです。
不動産売買契約書
工事請負契約書(新築戸建の場合)
金銭消費賃借契約書
取引の金額に応じて、以下のような税額が決定します。
登録免許税
登録免許税とは、不動産を取得したことを公示するための登記を行う際に課される税金です。
の式で求めることができ、税率は以下のように定められています。
不動産取得税
不動産取得税は売買・贈与などで不動産を取得したときに課税される地方税であり、相続により取得した場合は課税されません。
土地・建物に対して発生し、その税額は
の式で計算されます。
課税標準額は、基本的に各自治体の固定資産課税台帳に登録された固定資産税評価額に基づきます。つまり、実際の売買価格や工事費とは異なるので、注意しましょう。
消費税
そもそも消費税とは、国内において事業者が対価を得て行う取引に対して課される税金で、不動産取引においても発生するものです。ただし、消費税には消費税がかかる取引(課税取引)と、かからない取引(非課税取引)の2種類があります。
不動産売買においては、建物の購入代金は課税取引であるのに対し、土地の購入代金は非課税取引です。
つまり不動産を購入した場合には、以下のような計算式になります。
不動産の保有時
続いて、晴れて不動産を保有した際にかかる税金について解説します。不動産保有時にかかる税金には以下の種類があります。
固定資産税
都市計画税
所得税
住民税
個人事業税
固定資産税
固定資産を所有している人が市町村などに対して支払う税で、課税額を求める計算式はこちらです。
ただし、賃貸用マンション含む住宅用地には特例措置が設けられています。
土地に関しては、以下の通りです。
建物に関しては、令和2年3月31日までに新築された物件の120㎡までの部分については固定資産税が1/2となります。固定資産税の減額期間は基本的には3年度分、物件が3階建以上の耐火・準耐火建築物である場合は5年度分となります。
都市計画税
市街化区域内の土地や家屋に対して課される税です。課税額は以下の計算式で求めます。
ただし、都市計画税は上限が0.3%と定められている制限税率が用いられており、市町村ごとに税率は異なるため確認が必要です。
また、固定資産税と同様に、賃貸用マンションには特例措置が設けられています。基本的には土地のみに関する特例で、小規模住宅用地については課税標準額が1/3、一般住宅用地については課税標準額が2/3となります。
所得税
不動産投資に関係する税金の中でも特に高額となる可能性が高いのが所得税です。先述の通り、収入から経費を引いた部分が課税所得金額となり、以下の式で計算されます。
総収入金額は、賃貸収入の他に返還を必要としない敷金や保証金、共益費などの名目で受け取る電気代や水道代や掃除代、更新料や頭金などが含まれます。なお、不動産賃貸において発生した一部の事業費用は、必要経費として収入金額から差し引くことが可能です。
支出のうち、固定資産税・都市計画税や損害保険料、設備の減価償却費や修繕費などが必要経費として認められます。
住民税
住民税も所得税同様に所得金額に応じて課税される額が変わります。
住民税は所得割と均等割の二つの区分からなります。所得割は所得に応じた課税であり、所得に対し市町村民税として6%、都道府県民税として4%の合計10%が課税されます。
一方、均等割は全員に等しく課税され、これは自治体ごとに異なりますが、市町村民税と都道府県税を合わせて数千円となるのが一般的です。
個人事業税
不動産賃貸の規模が拡大し、不動産貸付業に認定された場合、事業と認定されて個人事業税が発生する場合があります。
個人事業税は以下の計算式で算出されます。
「事業所得又は不動産所得」とは、事業による所得や、1年間の不動産賃貸によって得られた不動産所得のことで、必要経費等を差し引いた上で計算に含めます。
また、「事業専従者給与額」とは、個人事業主と生計を共にする親族が事業に従事している場合に控除される金額です。
「青色申告特別控除額」は、簡単にいうと確定申告を「青色申告」にしていると適用される控除額です。ただ、個人事業税では青色申告特別控除は適用されないため、所得に加算して(控除した分を割り戻して)計算します。
いかがでしたでしょうか。正直、一般の方には非常に複雑な分野だったかと思います。
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