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愛された者に残る感情

あまり喋らない
でも決してぶっきらぼうではなく、
地域の人からとても慕われていた父。


数年前に突然亡くなり
それから私は「なにか」言葉にできない
感情を常に持っている。


その「なにか」とは
適切な言葉が見当たらなくて、
悲しいとか寂しいとか愛とか
一言で表せるものではなくて、
その人の存在があったことへの感謝だったり
思い出し笑いをしてみたり
ふと何かを見たり聞いたり食べたり嗅いだりすることで父を思い出して
あー見ててくれてるなと思ったり、
とにかく不思議な「なにか」を感じている。

心がきゅうとなるし、膝から崩れ落ちるような悲しみの後に
穏やかなこの「なにか」の感情が
決して消えることがないぽっかり空いた穴にゆっくり流れていく。
そんなイメージ。

無条件の愛情を注がれ、残された者の心に残る感情なのかもしれない。

父が残してくれたこの適宜な言葉が見つからない「なにか」は、
これからも前を向いて進んでいく勇気を持たせてくれている。

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