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【臨床研究日記 13 】「ロンブン・ハイ」になってきた

大学院で学んだ公衆衛生学・疫学の知見を元に、健康的な社会を作りたい理学療法士のジローです。

これから、臨床研究を始めてみたい!という人がいるかどうかは分かりませんが、誰かの道標になれば良いと思って臨床研究の状況を逐一日記にまとめています。


今は、おおまかな研究のテーマと方向性は決まっているのですが、

先行研究を調べることで、今自分が持っているリサーチクエスチョンを、より明確化している途中の過程です。



↓↓過去記事(論文をただ読むだけでは、得られるものは少ない…。CAしましょう!)

9月の末までに、主要論文100本に目を通す事を目標に頑張っていましたが、

現代の素晴らしいテクノロジーのおかげで、スピードは超速になり、さらに作業効率がアップしてきました。

↓↓論文の読み込みをバーストさせたChrome拡張機能


「この世界には、同じ研究分野で、いろんな事を考えている研究者がいるんだなぁー。」

「こんな昔から、このテーマについて考えていたなんて…。すごい先見性」

「このデータに、なぜこの解析? 斬新!」


読み込んでいるうちに、また余計にハマってしまって、次から次に読んでいます。

論文を読むことを頑張るのではなく、その次のステップに役立てるための論文検索なのに、面白くて止められなくなってきました。


名付けて「ロンブン・ハイ」

とあるテーマを自分で決め、あまり知識がない状態で論文を読み込んでいくと、しんどい事が多いです。

ここまで(ちょっと楽しいレベルまで)来ると、論文検索も、ほぼ趣味の一環のように感じられます。知識が増えると、読み込みも更に楽になりますしね。


今の、ハイの状態をキープしながら、楽しく知識を増やしていきます。


↓↓ ハイだからと言って、論文を闇雲に検索してはいけません(お作法はこちらで)



■   ここ数日で、精読した論文(番号は、100本読みの通し番号。内容は備忘録程度)


9、Therapy-based rehabilitation services for patients living at home more than one year after stroke
DOI: 10.1002/14651858.CD005952.pub2
発症から1年以上過ぎた脳卒中患者へのサービスの充実は、患者の社会復帰と自立を促進するために重要と捉えられているが、決定的な証拠がない(評価が難しい)。まだエビデンスがはっきりしない分野(2008年時点)→利点の実証ができないことは、利点がないという証拠ではない。

10、Effectiveness of Hospital Discharge Support by Medical and Nursing Care Workers in Reducing Readmission Rates of Patients in Long-Term Care Wards: An Observation Study in Japan
DOI: 10.1620/tjem.251.225
退院支援を受けたグループでは、観察期間12ヶ月間の再入院率が大幅に低下した。要介護1〜2でより支援との関連が強いが、要介護3以上ではそもそも施設入所が多く含まれており、選択バイアスがあるため、解釈には注意が必要。

11、Association of household income with home-based rehabilitation and home help service utilization among long-term home care service users
DOI: 10.1186/s12877-020-01704-7
世帯収入で、長期在宅介護サービスの利用状況が異なる。特に低所得者では、ホームヘルプサービスの利用が多く、リハビリ関連サービスの利用が少ない。所得に関係なく、各個人のニーズに合わせてサービスが公平かつ持続的に分配されるべきであるが、そうは行っていない様子。

12、Examining sufficiency and equity in the geographic distribution of physicians in Japan: a longitudinal study
DOI: 10.1136/bmjopen-2016-013922
医師が増加していても、需要調整後の医師供給は、当初医師の供給が少なかった都市部を除く全てで減少していている。医師の可用性と、健康状態には関連があるが、国民が公平に医療を受ける権利の問題を孕んでいる。

13、Association between Care-need Level after Discharge and Long-term Outcomes in 7491 Patients Requiring Rehabilitation for Stroke
DOI: 10.31662/jmaj.2023-0094
脳卒中で退院後のケアニーズが高いほど機能的転機が悪く、死亡率も増加する(良好な臨床転帰を目指すのであれば、要支援を目指す。Kaplan-Meier curvesを参照)

14、Advances and challenges in stroke rehabilitation
DOI: 10.1016/S1474-4422(19)30415-6
運動機能回復を目標としたいくつかの大規模介入試験で、参加者の運動機能は回復しているが、対照群と同程度であった。大規模な試験では、研究の設計、対照群への介入、エンドポイント測定などの多くの課題を反映している可能性がある。

15、Correlation between the Barthel Index and care need levels in the Japanese long-term care insurance system
DOI: 10.1111/ggi.13777
こちらの相関を使用して、行政の介護保険に関するデータベースに記録された、介護度の情報を用いた、ADLの研究が可能。

16、Services in public long-term care insurance in Japan
DOI: 10.37737/ace.24001
論文中で、日本の介護保険について海外の人に説明する必要があれば、こちらの論文を使用する。


↓↓ 過去に論文検索のレクチャー記事を書いています(昔々、当院での勉強会で使った資料を転用して記事を作成…。最近、院内勉強会って、どうしていますか?)


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