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【理学療法士】心がポッキリ折れない症例報告 🔸CAREガイドライン活用🔸

大学院で学んだ公衆衛生学・疫学の知見を元に健康的な社会を作りたい理学療法士のジローです。

様々な理学療法士が、日々の実践を報告し、共有知が広がると健康的な社会に近づけると考えています。

臨床研究をしてみたいけど、思うようにいかない若手理学療法士のためのサポート記事を書いています。


さて、私は臨床1年目から、全国学会にエントリーし華々しい学会デビューを飾ったことを紹介しました。

結果は、、、なのですが、遥か遠い地でどのような発表をしたかは誰も知りません。

↓↓ 関連記事(新卒1年目で全国学会にエントリー!どうなった??)


一番良かった事は、「症例報告の学会発表までのノウハウをいち早く知れた」事です。
(この時点では、私以外の新人は、誰も体験したことがありません)

①日々の診療で患者さんのデータをとって、

②一通りまとめて、

③上司にチェックしてもらい、

④本人・家族に同意をいただき、

⑤出したい学会の抄録の文字数に書き直し、

⑥また先輩・上司の添削をしていただき、

⑦学会の応募フォームにコピペする

これを見ると、一苦労のような感じがあります。

当時、私が勤務する病院では、新人を中心に症例報告会というものが設定されていました。
多い時には、全体の症例報告会、PT部署内症例報告会が重なって、月に1回ペースで人前に出て、自分自身の症例のプレゼンをすることを課せられていました。


そこで下地の資料を作成しなければならないので、院内の症例報告が終わった時点で

①〜③の工程は終わっていました(爆)

⑤、⑥は指導も兼ねて先輩が手伝ってくれました。

先輩には指導後に夕食の世話もしてもらいました(時代ですなーー。)


⑦は、ホームページを開いて20分ほどの手間ですね。

先輩方の厳しくも厳しいご支援もあり、たくさんの発表機会を得ました。


3年目までは、病院内の症例検討会で症例を出さなければならなかったので、システム的に学会発表までの流れができていました。

院外での発表を繰り返すことで、働いている以外の病院の方からも、広く顔を知ってもらえた事は、今でも良かったと思っています。

割と順調に進み、コンスタントに症例報告を学会で発表していましたが、ある発表で以下のような出来事があり、心が折れました。


‖  心が折れた学会発表での症例報告


発表後の質疑応答にて

「それって、あなたの感想ですよね

回復期なんだから、自然回復して当たり前なんじゃないの

あなたの介入だから良くなったわけではないと思います」


今も昔もこの手の方はおられます。
特に「回復期なんだから、、、」は、一度でなく、言われた事があります。

自然回復と介入による回復の差を分ける事って、普通はできないので
やっていて意味が無いように感じてしまって、
病院での新人症例報告のノルマが無くなった4年目以降に、学会発表をパタリとやめてしまいました。


‖  質疑応答した人が全て悪い?


今、思い返してみると、確かに感想なのかもしれません。

症例報告って何を報告する?

どこに着目して報告する?

一度もフォーマルには教えてもらえなかったので。

(今であれば症例報告のCAREガイドライン等もあるので、どのような症例に対して、何を報告すべきなのかもわかりやすいかも知れません。)

CAREガイドライン ケースレポートのチェックリスト

では、どうしたら回復期(そもそも回復すると仮定される)の患者さんに対して、効果を推定すればいいのか?という、自分の中での大きな旅が始まりました。

ヒントとして、疫学という鍵を手に入れたのは、ここから10年も後になります。


どうすれば、ただの症例発表が、学会発表レベル・論文レベルになるのか、次回以降でtipsを紹介します!


■  まとめ


今回は、3年目まで学会発表を頑張っていた頃の心が折れた話を記事にしました。

今は、個人に対する介入の妥当性を検証するためのシングルケーススタディーという手法や、ケースレポートの妥当性を担保する、CAREガイドラインの存在を知っていますが、3年生では無理でした。

シングルケーススタディー、CAREガイドラインについては、今後、記事にしたいと思います。

この「回復期なんだから、、、」は、私を今でも悩ませる呪いの言葉です。
その中でも妥当性のある効果検証の鍵は、疫学と気づいたのはその10年後でした。

(疫学教室の最初の授業で、当時の准教授が「疫学が気になり出したら30代」と言われていたのが今でも心に残っています。普通は、なかなか疫学というキーワードに出会わないですよね。)


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