【臨床研究日記 02 】リハの研究のアウトカムを整理する
大学院で学んだ公衆衛生学・疫学の知見を元に、健康的な社会を作りたい理学療法士のジローです。
臨床研究を開始して、その状況を逐一日記にまとめています。
暑くてヘロヘロですが、まだ気持ちが前向きで、集中が続くうちに、どんどん前に進めておきたいです。
2日目の課題
手元の文献から、研究のアウトカムについて、現状の問題点について洗い出す
■ アウトカム測定の難しさ
アウトカムとは、研究の結果を表す言葉です。
量的な臨床研究では、量の増減が指標になりますので、アウトカムも数えられる数値に変換する必要があります。
例えば
●●の治療をした患者が↓↓
【アウトカム】
・死亡した
・血液データが変化した
・早期に自宅退院した
・運動機能が改善した
・QOLが良くなった など
①死亡:いつ、どこで亡くなった、本当に亡くなった?が一目瞭然。
②血液データが変化した:血中の◉◉の値が、1/3になった →量で表せるため、数えやすい
③早期に自宅退院した:結果は一目瞭然であるが、自宅退院に関わる要因が様々
④運動機能が改善した:何をもって運動機能が改善したと言えるのか?評価尺度が様々
⑤QOLが良くなった:検査者・被験者ともに主観を含み、評価尺度も様々
①から順に、アウトカムの測定が難しくなるなることがわかります
■ リハビリテーション医療特有ののアウトカム測定の難しさ
リハビリを受けた方が、
→より機能が上がるのか
→リハを中止しても機能が向上(or 維持)されるのか
→(中止すると機能が下がるのか)
分からない状況での評価となる
リハの観察研究の測定値のほとんどが、順序尺度(順序に意味があり、その数値間の間隔は様々)であり、定量化しにくい。
測定に時間がかかるものが多い。
評価に検査者の主観を含むことが多い。
ADL改善がアウトカムとして考えられるパワーが強いので、もしADLが変わらないのであれば、効果が無いと言われがち。
総じてデータが集まりにくく、アウトカムの解釈が難しいものが多い。
→結局、結果がはっきりしない。
↑↑ 改めて調べてみても、これらの問題点は、10年以上変わっていないように思えます。
しかし、これらの点では、今行っているようなビッグデータ解析で、データの量から(大数の法則:ある独立的に起こる事象について、それが大量に観察されればされるほどある事象の発生する確率が一定に近づく)解決できるかもしれない。
交絡因子の調整できる量も多くなるし。
よりリアルな患者の状態を反映しているし。
今までのリハビリテーション医療の研究のアウトカムに対する問題を一段階進められそうな予感。
2日目の研究活動終わり。