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詐欺グラフの手口!データの歪曲を見破る方法
昨今、統計グラフはあらゆる場面で活用されています。企業の業績報告や政策の効果を示す際には欠かせないツールと言えるでしょう。
しかし、中には意図的にデータを歪めて、都合の良い印象を与えようとするミスリーディングなグラフも存在します。
情報の時代において、データは私たちの意思決定や社会的な議論の基盤となっていますがそのデータが正確で信頼性のあるものでなければ、誤った方向へと導かれてしまう可能性があります。
詐欺グラフとは?
詐欺グラフとは、意図的に歪曲されたデータを視覚的に表現したものであり、誤解を招く可能性が高いものです。
実際にどのような手法が使われているのでしょうか?
目盛りが不自然に設定する
縦軸や横軸の目盛りを等間隔でなく、都合の良い間隔に操作されていることがあります。
縦軸:データの変化を誇張するため、グラフの縦軸の範囲を狭く設定されることがあります。実際のデータ変動は小さくても、大きな変化があるように見せかけることができます。
また、ベースラインが0ではない棒グラフが用いられる場合もあり注意が必要です。
横軸:時系列データでは、横軸を不自然な期間に区切ることで、異常な傾向があるかのように見せかけられます。
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2つのデータを組み合わせる
関係のない2つのデータを1つのグラフにプロットすることで、因果関係があるかのように見せかけます。
部分的にデータを切り取る
グラフ全体ではなく、都合の良いデータ範囲だけを取り出してプロットします。
3D効果
3D表示は一見立体的で分かりやすそうに見えますが、実際のデータ値を正確に判断するのが難しくなります。特に円グラフに3D効果を付けると、前面の値が実際より大きく、奥の値が小さく見えるなど誤解を与えかねません。
また、3D化された棒グラフでは手前が大きく、奥が小さく見えるため誤解を与える可能性があります。
目的に合わない図形グラフ
データの性質に合った適切な図形を選ばないと、誤解を招く可能性があります。例えば構成比を表す際は円グラフ、推移を表す際は折れ線グラフや棒グラフが適しています。
色使いで誤解させる
人間は一般的に暗い色を大きく、明るい色を小さく感じる傾向があります。そのため、大小関係と逆の色使いをすると視覚的に誤解を与えかねません。
単位などの情報を隠す
グラフ自体の情報では不十分な場合、データの出所や単位、期間などの情報が重要になります。これらを意図的に隠すと、データの解釈が難しくなり、誤解を招きかねません。
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なぜ詐欺グラフが使われる?
ミスリーディングなグラフが使われる理由は様々です。自社の業績を良く見せたり、政策の成果をアピールしたりするため、データを誇張して有利な解釈を導く例が多々あります。
センセーショナルな印象を与えることで、話題の的にしたり、注目を集めたりすることも目的のひとつです。
さらには、不完全なデータから解釈を誘導したり、詐欺的な行為に結びつけたりする可能性さえあるのです。
つまり、ミスリーディングなグラフは、情報を提供する目的ではなく、何らかの目的で都合の良い解釈を視覚的に誘導するための手段として使われるのです。
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詐欺グラフを見分けるポイント
消費者がミスリーディングなグラフに惑わされないよう、以下の点に気をつけるとよいでしょう。
データの範囲と目盛りを確認
縦軸や横軸の範囲が適切か、目盛りが等間隔になっているかを確認します。範囲が狭すぎたり、目盛りが不自然だとミスリードにつながります。
データソースを確認
グラフのデータソースが信頼できるものか確認します。データの出所が不明だったり、利害関係者からのデータの場合は注意が必要です。
時系列データの期間を確認
時系列データの場合、グラフに表示されている期間が適切か、意図的に一部を切り取られていないかを確かめます。
組み合わされているデータに注意
2つ以上のデータが1つのグラフにプロットされている場合、それらに関連性があるかどうかを吟味します。
グラフの種類は適切か
使用されているグラフの種類(棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフなど)が、データの性質に合っているかを確認します。
数値データも参照
グラフだけでなく、グラフから読み取れるデータの実数値も参照し、全体像を把握するようにします。
複数のグラフを比較
同じデータで異なる観点から描かれたグラフがあれば、それらを比較して客観的に判断します。
このように、グラフだけでなく、様々な観点からデータを吟味することが大切です。慎重にチェックすれば、ミスリーディングな意図に惑わされずにすむはずです。
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まとめ
統計グラフは視覚的にわかりやすいため、誤解を招きやすい面もあります。しかし、冷静に様々な観点からデータを吟味すれば、ミスリーディングな意図に惑わされずに済むでしょう。
グラフを鵜呑みにするのではなく、批判的な目を持つことが重要なのです。
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