漆器どんぶり生活 1日目
1 マイ丼
ラーメンが好きだ。うどんが好きだ。蕎麦が好きだ。素麺が好きだ。スパゲティが好きだ。
それくらい麺好きなので、わたしはちょっと前まで陶器の小さめ丼(サラダボウルにもできる)を使って色々楽しんでいた。
しかし、あつあつのものを入れると器自体が熱くて持ち上げられず、運ぶのもひと手間要る。
そして、片手では致命的に重い。
持って食べたいのだよね。
そこで、わたしは器を時間をかけてじっくり探していた。軽くてなんにでも使えておしゃれだけどシンプルで、飽きが来ず、長く使えそうな丼。
ありとあらゆる所で探した。雑貨店、古物屋、百貨店、贈答品コーナー、見かければ手に持ってみた。
そして、2年が過ぎた頃である。
わたしの心を一瞬で奪った丼が現れた。
それが、これである。
黒の漆器丼。
写真では分からないが、人の目には光の加減で少し緑がかって見える。
木目が美しく、手触りもぴたりと馴染んで心地よい。拭き漆という塗り方らしい。
軽い。落としても割れない。
何より、どシンプルなのに深い。
漆器なので、これから育ててゆく楽しみすらあり、
かと言ってすごく慎重に丁寧に扱わなくても丈夫でいてくれる。
見た目が品良く、機能性にすぐれ、漆の殺菌力もさることながら、少し雑に扱っても平気で、温かも冷たいも対応可能、和洋中どんなものでも合うオールマイティさも魅力のひとつ。
これは、好みの男子と全く同じだ。
そう、まさにパートナーとして申し分ない。
このような優しくすてきな丼を求めていたのだ。
これからのマイ丼との日々が楽しみである。