起業家は事業創造に熟達していく?
リープラでは、次世代の産業創造に向けた学習様式として「社会と共創する熟達」を重要視しています。ただ、「社会と共創する熟達」自体が、どうしたらより多くの人が実践できる形になるのかという継続した実践結果によって変容し続ける概念であり、多様な角度から説明できる概念なので、シンプルにして伝えることが難しい!
ということで、1つの文章で伝えきることをポジティブに諦めて、多様な角度から伝えていく実験をしようと考えています。
今回は、その第一弾として「熟達」という概念から社会と共創する熟達についてお伝えしたいと思います。
※筆者はアカデミアで熟達研究に携わっていたわけではないので、概念の理解不足がある場合はぜひコメントください。
まず、熟達とは、経験を通じて高いレベルのスキルや知識を獲得することで、実践知に近い概念です。熟達者は、その豊かな実践知から、熟達している領域において環境や状況が変化しても目的に応じた成果が出せると言われています。
これは、野球のイチロー選手や、刀鍛冶を想像するとわかりやすいかもしれません。自分の動きや、相対するものの動き、活用する道具などの変化を細かく観察し修正しコントロールして、目指す成果を出している人たちです。
リープラでは、起業家も同様に事業創造自体を熟達していく存在なのではないかと考えています。ただし、起業家が熟達を目指す環境は、前述の熟達者と異なり、変化の激しい社会を相手にするのでルールも不明瞭でやることにも成功する型があるわけではありません。
では、どうしたら事業創造自体を熟達していけるのか?
ここでリープラが参考にしているのが、心理学の熟達化研究における「適応的熟達」という概念です。これは、熟達していない領域においても、過去の実践から得た構造化・体系化された知識とメタ認知能力を活用して、異なる領域に適応できることを指します。
参考:岡本真彦. 熟達化とメタ認知ー認知発達的観点からー. 日本ファジィ学会誌, 2001, 13(1), pp.2-10. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jfuzzy/13/1/13_KJ00002087195/_pdf
ただし、この適応的熟達も環境を主体的に変化させることを含んでいません。
一方で、起業家が目指している次世代の産業を創造する過程では、必要に応じて多くの他者を巻き込み、時に社会のルール自体を変更したり、多様なアクターと協業したりすることが求められます。
つまり、事業創造自体を起業家をはじめ組織として熟達しつつ、巻き込んでいく社会を広げていくことも熟達することが求められると考えています。これは、特定のビジネスモデルに特化してその事業領域を横展開することで複数事業を作ることとは異なり、もう少しメタな熟達のように捉えています。
少し簡易化しますが、この事業創造と社会との共創範囲を広げていくことの両方を同時に熟達していくこと、これを初期の起業時から意識して熟達していくことを「社会と共創する熟達」と呼んでいます。
「熟達」について理解を深めたいという方向け (参考文献)
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今回は、熟達という観点から「社会と共創する熟達」を説明してみました!
違う観点からもっと知りたい、具体的に何をするのか知りたいという方は、複数の社員の観点で「社会と共創する熟達」を解説したこちらのマガジンをご覧ください
具体的な起業家の領域における熟達事例を知りたい方は、下記のフーディソン社の記事をご覧いただくとイメージがつきやすいかと思います。
※記事では、熟達という言葉ではなく学習という言葉で説明されています。
社会と共創する熟達を株式会社アプローチで実践することに興味があり、一度話してみたいという方はこちらのフォーム経由でご連絡ください!