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【Reapra Book連載シリーズ】社会と共創する熟達への道~社員編 山田さんの自己変容~
昨年、Reapraで研究と実践の過程や得られた知識をまとめるためのプロジェクトが始まりました。それが"Reapra Book - リープラブック"。
Reapra Book連載シリーズも第7回目となりました。過去の記事はこちらからご覧いただけますので、ぜひご覧ください。
今回は社会と共創する熟達を歩んでいるReapra社員のケースを紹介します。成人発達理論の章で紹介されているため、理論が伝わりやすいようにドキュメンタリー調で執筆されています。昨年Reapra Book ver.1の公開に合わせてインタビューしたものです。具体的にReapraがどのように研究と実践を行っているのか知っていただければ幸いです。お楽しみください!
以下からはReapra Bookの文章です。
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プロフィール
2002年にセールスとして厳しい環境と言われる株式会社キーエンスに入社し3年半法人営業を経験。その後、2007年には株式会社エス・エム・エスにてセールスマネジャーや買収した事業のPMI、事業開発を経験。そして、2015年には独立し事業開発・セールスのコンサルを行い、現在はReapraにて「建設的合意」の研究実践をしながら概念構築中。
Twitter:山田 晃義@REAPRA / 建設的合意の研究実践
note:山田晃義@建設的合意の研究実践 / REAPRA
自我発達に基づいた人間の変容が、実際に仕事での葛藤の中でどのように起きるのかを、ケースを持って見ていきます。今回取り上げるのは、Reapraでも古参の山田です。Reapraにおける、創業以来のコンセプトの創出や業務の複雑性の増大に向き合いながら自己変容してきたプロセスを見ていきましょう。
1.Reapraに入社するまで
山田は2015年7月にエス・エム・エスから独立して法人を設立し、業務委託やコンサルによって生計を立てていました。当時の心境を以下のように振り返っています。
「それは居心地が良くて、自分のペースでできるし、誰か上司とかいる訳じゃないので、自分で全て意思決定できるし、まあ言ったら楽なんですね。楽にサラリーマンより稼げるなって、これはいいなって思っていた。」
しかし、そんな山田に転機が訪れた。ある日、友人と平日の昼間からバーベキューをして、お酒を飲んでいたら、ふと山田が尊敬している祖父の言葉が脳裏をよぎったのです。
「昼間から酒を飲むようじゃ駄目だ。」
すると、山田は「今みたいな楽な生活はずっとは続かないのではないか」という不安な気持ちに襲われました。楽にお金を稼げていたため、山田にとってチャレンジングな環境ではなく、が故に自身が成長できていないことに気がついたのです。
そこで、山田は自分にプレッシャーをかけるために、自分で事業を創り出して、事業を回すことを決意しました。
山田は友人も巻き込みながら事業を回し始めた時期に、Reapraに出会いました。2016年末のことです。Reapraから投資先の営業コンサルの業務を任されたわけなのですが、この時の山田には成長したいという動機があったわけではなく、家族を養わなければならないので、お金を稼ぎたいという動機が強かったそうです。
そうして2016年末からReapraと関わり始めました。そこから数ヶ月で山田は様々な学びを得られたと感じており、山田はReapraと関わり続けることに前向きな気持ちでした。
そんな中、CEOである諸藤からReapraへの入社のオファーを受けて、2017年6月に入社を決意しました。なぜ山田が入社を決意したのかというと、Reapraに入社して様々なことを学ぶことでお金を稼ぐ手段を身につけられると思っていたからだそうです。当時の山田には自己変容という概念がなく、が故に自己変容への動機はなかったとも述べています。
2. 自己主導型への目覚め
2017年9月にReapraへ入社し、経営陣との対話を重ねた結果、山田は過去の経験も活かせるセールスに軸を定めることを決意しました。これは入社前までジェネラリストであった山田にとって大きな決断であり、ここに山田の自己主導型の片鱗を見受けることができます。
しかし、直後に山田は自身が自己主導型ではなく、フォロワーであることを思い知らされる出来事がありました。
山田は業務を開始するにあたって、諸藤に「Reapraが求めているセールスサポートってなんですか?」ということを聞いたそうなのだが、諸藤から返ってきた答えは
「それを設計するところも含めて役割を担ってください」
だったのです。山田はサラリーマンとして当然の質問をしたつもりだったので、かなり驚きました。それにより山田は自分はフォロワーであることを自覚したのです。
しかし、山田は素直な人間であったため、反発せずに、それをしっかり受け止められたのでした。
そして、丁度その頃にReapraではマスタリーという概念が生まれようとしていました。
マスタリー:マスタリーテーマ、及びライフミッションに向かって前進していくために、自我を変容させながら必要な価値観や能力を獲得していくこと。
山田はマスタリーという概念を理解するために、『達人のサイエンス』という本を読んだのですが、この本との出会いが山田を大きく変えたのでした。
『達人のサイエンス』では、長い道のりでそのプロセス自体に喜びを見いだしながら高い目標にと向かっていける人のことをマスタリーと呼んでおり、読み進むにつれてマスタリーの生き方と自分のこれまでの生き方は真逆で、自分はこのままではマスタリーにはなれないということを思い知らされたのです。その時の心境について山田は以下のように語っています。
「二年三年でこうやること変えていたりとか、何か大きな壁が立ち上がった時は『あ、これ自分のフィールドじゃない』って言ってフィールドを変えてみたりとか。・・・これは達人と真逆の生き方だなと思いましたと。・・・で、自分がこの後の人生考えたら、多分成り行きでいったら、僕は達人になれないって思って。」
そこで、山田はある決断をしました。
「せっかく今、この構造を知ったのに、その構造に抗い続けながら何にもなれないっていう道をこの後の人生で歩むのってめちゃくちゃもったいない。だったら、自分が達人になれるかどうかはわからないけれども、一回その道にチャレンジしてみるのも価値があるはずなので、一旦マスタリーっていうものを試してみよう。」
山田はセールスに軸足を置いていたので、「セールス」をテーマとして、マスタリーの道を歩み始めることにしました。
それから1ヶ月も経たずして、山田はマスタリーの道を歩むことの効用を感じていました。山田は意図的にセールス関連の業務を増やしたのですが、それによって山田は自分の業務とReapraの諸概念が繋がる感覚を味わうことができ、しかも自分の取り組みが周りから感謝されるようになったのです。山田はマスタリーの道を歩むことを今後とも続けていきたいと思いました。
山田はもともとフォロワーであり、フォロワーに重心があったものの、自分でマスタリーの道を歩むことを決めて、実行に移し、一定の効用を得ることができたおかげで、自己主導型に目覚めたのです。
ー考察ー
環境順応型(ステージ3)の特徴として、以下のような点が挙げられます。
・自分独自の視点と他者(家族、コミュニティ、信仰する宗教、企業組織など)の視点を十分に区別できるか?:いいえ。
・(内面化された)他者は自分の感情や思考に影響を与えているか?:強く影響を与えている。
・物理的な他者は自分の視点を支持するために必要な存在であるか?:強く必要な存在である。
・他者の視点と同一化しているか?:はい。他者の視点に同一化することによって自分自身を定義づけている。
・他者の感情や視点に影響を受けるか?:はい。物理的、あるいは内面化された他者と自分を区別することができるか?:いいえ。
・他者の視点を内面化しつつも、生み出される視点が自分自身の中ではなく、他者の中に存在すると感じている、あるいはそのように考えているか?:はい。
・同一視している他者に認められなかった場合、「自己の喪失」を経験するか?:はい。
祖父の言葉を思い出し、不安な気持ちになったり、Reapraの求めるセールスサポートを他者に問うといった部分は環境順応型の特徴を含むエピソードです。他者の視点を常に意識し、良き働き者として認識されるステージ3ではありますが、自分独自の価値観を他者のものと区別することに難しさがありました。家族の視点を自分のものと捉えていたり、会社という組織の中での自身の役割を自身で考えてと言われたときの戸惑いは、環境順応型の山田としての反応と言えるでしょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1639559164423-KOxreq6rtK.png?width=1200)
この後も、Reapra book第3章コラムでは山田の自己変容ストーリーを、ステージ4自己主導型、ステージ4.5多元主義的段階というように成人発達理論のステージに基づき、解説しています。
こちらから全文ご覧いただけます。フィードバックフォームもありますので、ぜひご感想、ご意見をいただけると嬉しいです。
また現在の山田のステージ5自己変容型へのジャーニーは、Twitterやnoteを通じて発信していますので、こちらもご注目いただければ幸いです。
Twitter:山田 晃義@REAPRA / 建設的合意の研究実践
note:山田晃義@建設的合意の研究実践 / REAPRA
note記事:【Meet Reapra】第2回 従来の交渉との違いとは!?建設的合意の学び合いのプラットフォーム(前編)