人材紹介契約における紹介手数料に関する条項のチェックポイント(前編)
はじめに
人材紹介契約における紹介手数料に関する条項は、将来のトラブルに繋がりうる危険もはらむような極めて重要な条項です。
まずは上記の条項について比較検討をしてみましょう。
①報酬の計算方法
人材紹介手数料の平均
なお、大手人材紹介契約の紹介手数料率は以下のとおりです。
また、平成25年の厚生労働省の調査では、紹介手数料率・紹介手数料額は以下の通りとなっています。
紹介手数料率
紹介手数料額
紹介手数料の割合に関する不満
令和4年のあるアンケートでは、人材紹介サービスを利用した求人者への調査によると、医療・介護・保育の職種では82%、それ以外では41%の求人者が、有料職業紹介事業者の紹介手数料について「不満」又は「やや不満」と答えています。
なお、職業安定法32条の3第1項、職業安定法施行規則20条1項、別表によると、6か月間の賃金総額の11%(税込)を上回る手数料を受け取る場合、厚生労働大臣への届出が必要であることに注意が必要です。
紹介手数料算定の基礎となる「報酬」「年収」の比較
インターネット上の各契約書のひな型における「報酬」「年収」等の定義を並べてみました。
②手数料の発生条件
紹介手数料が高いと不満に感じる場面
調査でも、医療・介護・保育分野では64.6%、それ以外だと29.4%の求人者が「紹介されて採用した人がすぐにやめてしまった場合」に「紹介手数料が高い」と不満を抱くそうです。
この調査から、紹介手数料がいつの時点で発生するのかによって、もしトラブルが発生した時のその程度が変わってくることがわかります。
紹介手数料発生の条件
主な紹介手数料の発生条件のパターンは以下のとおりです。
Ⅰ採用された場合
Ⅱ入社した場合
Ⅲ候補者の勤労日
おわりに
今回は人材紹介契約における紹介手数料の条項を比較検討してみました。
後編では、それぞれの立場からどのような文言で契約を結ぶのが有利になるのかを考察していきたいと思います。
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