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自衛隊の地対艦ミサイル装備部隊

地対艦ミサイル部隊の編制

地対艦ミサイル部隊は、陸上自衛隊の特科部隊の一つであり、現在5個の地対艦ミサイル連隊が編制されている。令和4年度に発表された防衛力整備計画で、前回の中期防衛力整備計画で示された5地対艦ミサイル連隊から7個の地対艦ミサイル連隊に増強することに加えて、7個地対艦ミサイル部隊(12SSM能力向上型を装備)、島嶼防衛用高速滑空弾大隊、長射程誘導弾部隊を編制する方針が示された。

令和5年度 防衛白書

※第7地対艦ミサイル連隊編制に関しては、令和5年度の防衛省予算 概算要求にも記されており、現時点では、防衛力整備計画の通り実行されている。

令和5年度末までの編制計画

各連隊の編制状況

  • 北部方面隊

    • 第1特科団

      • 第1地対艦ミサイル連隊 (北千歳)

      • 第2地対艦ミサイル連隊 (美唄)

      • 第3地対艦ミサイル連隊 (上富良野)

      • 独立地対艦ミサイル中隊 × 2

  • 東北方面隊

    • 東北方面特科団

      • 第4地対艦ミサイル連隊 (八戸)《再編》

  • 西部方面隊

    • 西部方面特科隊 → 第2特科団

      • 第5地対艦ミサイル連隊 (健軍)

      • 第7地対艦ミサイル連隊(勝連)《2024年新編予定》

      • 第8地対艦ミサイル連隊(湯布院)《時期不明》

地対艦ミサイル連隊の編制

地対艦ミサイル連隊は、主に本部管理中隊と4個の射撃中隊から構成され、各中隊に発射機、弾薬運搬装填車、射撃統制装置、各4両が配置されている。
本部管理中隊に、捜索・評定レーダーと中継装置が12基、指揮統制装置1基が配置される。
1個射撃中隊で24発(=6発×4両)、1個連隊で96発の同時発射数となっている。
全ての連隊がこの限りではなく、八戸の第4連隊は、再編が予定されており、現在は2個射撃中隊のみとなっている。

独立地対艦ミサイル中隊
いくつかの連隊下には独立地対艦ミサイル中隊が存在し、発射機・弾薬運搬装填車4両、射撃指揮装置4両、指揮統制装置1両となおり、一個射撃中隊で攻撃を完結できる編制となっている。
独立地対艦ミサイル中隊は、将来的な戦力増強のためのプールという側面がある。

現有装備

88式地対艦誘導弾

敵の上陸部隊が上陸するまでに、二回攻撃することを想定しかいはつされた。射程150kmで地形追従機能がある。

陸上自衛隊HP

12式地対艦誘導弾/改善型

88式地対艦誘導弾の後継であり、射程やセンサ、飛行経路選択などの性能が向上している。

陸上自衛隊HP
平成22年度 事前事業評価 運用構想より

配備地未定の部隊と装備

参考図〖対艦ミサイルの射程と地形〗

7個地対艦ミサイル部隊

12式地対艦誘導弾能力向上型を配備される部隊。射程1500km級の対艦ミサイルであり、地上発射型だけでなく、海上・空中発射型も開発されている。海上拒否の基盤となる部隊であり、海空自衛隊と連携し作戦レベルで対艦攻撃任務を行うものと考えられる。
各部隊の規模、どこに配備されるかなど編制の内容については不明。

令和4年度 防衛白書
令和2年度 事前事業評価より

島嶼防衛用高速滑空弾大隊

島嶼防衛用高速滑空弾 BlockⅠを運用する部隊である。本ミサイルは射程300~500kmであり、島嶼部に上陸した敵部隊を遠隔地から攻撃することができる。方面隊・任務群レベルで運用される作戦レベルの火力部隊と考えられる。

2022 ATLAシンポジウム
平成30年度 事前事業評価 参考資料より

長射程誘導弾部隊

島嶼防衛用高速滑空弾 Block Ⅱ、極超音速誘導弾、島嶼防衛用新対艦誘導弾(新対艦対地精密誘導弾)を運用する部隊である。これらのミサイルは全て射程3000km級であり、北海道から本州、四国、九州のどこに配備されても、台湾海峡及び中国国内の航空基地などを攻撃することができる。有事には、全国に分散展開し、南西諸島周辺・東シナ海の敵艦艇や、航空基地・港湾施設などを攻撃する戦略ミサイル部隊である思われる。

島嶼防衛用高速滑空弾 BlkⅡ 2022 ATLAシンポジウム
島嶼防衛用高速滑空弾 BlkⅡ 令和4年度 事業評価 運用構想より

まとめ

陸上自衛隊の対艦ミサイル部隊は、主に連隊単位で編制されており、現在は5個地対艦ミサイル連隊が存在する。今後一部の部隊下の地対艦ミサイル中隊を統合し、1個連隊を新たに編制することがわかっている。今後さらにもう1個連隊を加え、7個地対艦ミサイル連隊編制となる。

さらに、長射程の地対艦ミサイルを装備する、長射程誘導弾部隊や高速滑空弾を装備する島嶼防衛用高速滑空弾大隊が編制することが計画されている。

上記の部隊は、それぞれ戦略レベルの反撃能力として、作戦レベルでの海上拒否戦力・島嶼部への火力投射部隊として運用されるものと思われる。

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