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「褒める」「認める」「価値付ける」

年々、「褒める」ことを躊躇するようになってきました。
「自分の価値観を押し付けていないか。」
「過度にコントロールしようとしていないか。」

褒める前に自問自答し、結局伝えないという選択肢を取ることも多くなってきたように思います。

それによって、自分の中で違いが分かっていない「認める」「価値づける」も同時に減ってしまったように思います。

このままだと、子どもの行動に対して、適切なフィードバックができないと思い、今回は「褒める」「認める」「価値付ける」について整理していきたいと思います。


「褒める」「認める」「価値付ける」って?

「褒める」
人のしたこと・行いをすぐれていると評価して、そのことを言う。たたえる。

「認める」
・目にとめる。存在を知覚する。気づく。
・見て、また考えて確かにそうだと判断する。
・能力があると判断する。

「価値付ける」
物事の値うちを定める。評価する。

goo国語辞書

「ほめる」とは、相手の良い点や上げた成果(好ましい事実)を取り上げ、相手を肯定的に評価し、それを伝えることです。それに対して、「承認(認める)」は、事実・存在をそのまま伝えることであり、肯定・否定に関わらず、評価を含みません。

https://coaching-labo.co.jp/部下を承認するコツ

この2つの引用を見て、「褒める」と「認める」の違いについては、なんとなくわかってきました。

まず、自分はやっぱり「認める」を大事にしたいんだろうと思います。

・目にとめる。存在を知覚する。気づく。
・見て、また考えて確かにそうだと判断する。

子どもたちのしていることにいかに気づけるか。
その気づいた行動に対して、その子の思いや願いを探り、「なるほど!」「そういう考えもあるよね」と自分の中に受容できるか。

その子を大事にしたいと思ったときに、「認める」ことは欠かせないと思いました。


「褒める」ことの本質

ここでは、「褒める」本質について整理していきます。

ほめることの本質は「いいね」「すごいね」といった字面にあるのではない。「真価を認め、それを本人に伝えること」なのである。

鹿毛(2022),p.278

この言葉に「価値付ける」も近い気がしました。
「褒める」も「価値付ける」も、その行動や考えなどに対する価値を自分で自覚している場合と自覚していない場合があると思います。

自覚できている場合が、その子の深まり
自覚できていない場合が、その子の広がりにつながるのではないかと考えています。
どちらも大事にしていきたいです。


「褒める」危うさ

「褒める」デメリットについて、少し長いですが、引用させていただきます。

相手に対してほめ言葉に依存するメンタリティをつくりだしてしまう可能性があるため、自尊心を高めることだけを自己目的化するようなほめ方はむしろ有害なのである。

鹿毛(2022),p.283

 もう一点は、ほめる側の意図の問題である。前述した新聞記事のアンケートで、ほめ言葉が「価値観の押しつけ」になるという意見があった。たとえば、勉強している姿を親に過剰にほめられた子どもが、勉強することの価値を押しつけられた気持ちになって、一気にやる気が失せてしまうということもありうる。
 人はほめ言葉の背後にある意図を敏感に察知する。ほめられた当人はほめ言葉の裏を読み、「この人は自分にこれをやらせたいのだ」と推測してしまうわけである。このように、ほめ言葉に「あなたに〇〇をさせたい」という隠れたメッセージが含まれていると、暗黙の圧力となり、当人のやる気は冷めてしまう。かえって逆効果なのだ。
 巷で喧伝される「ほめてやる気にさせる」というハウ・ツーは、ほめ言葉を「させる方法」として位置づけているようにみえてあやうい。モチベーションを高めるための道具として、ほめ言葉を安易に使ってはならないのである。

鹿毛(2022),p.283

やはり、コントロールするための「褒める」については考え、他の選択肢を考え、極力減らしていきたいです。


息子が教えてくれた「褒める」

「褒める」について考えていたとき、もうすぐ一歳の息子とお風呂に入っていました。お風呂の水面に、ガーゼを浮かばせ、真ん中から浮かせることで空気を入れます。すると、息子は、それを少しずつ指でつついて、ぶくぶく空気が出るのを楽しんでいました。

慣れてくるとつつき方が変わってきて、より多くの空気がぶくぶくぶくと出るようになりました。それを見た私は、
「すご!」
と褒めていました。

「こうなってほしい」という願望でもなく、コントロールしたいというわけでもなく、ただただその小さな成長に自然と驚いて出た言葉でした。

全く真価は伝えられていないかもしれません。
ですが、こういった心から感じたことを伝えるための「褒める」は、大事にしていきたいなと思いました。


これからどうする?

大事にしたいことがいくつも出てきましたが、やることはシンプルな気がしています。

まずは「認める」。その子を目にとめ、気付くこと。そして、その子の思いや考え、その背景も含めて受け止めていきたいなと思います。

ここがないと、その子の小さな変化に気づきにくくなります。

その上で、価値づけたり、自分が心から感じたことを伝えていったりしたいです。

そして、その結果として一人ひとりが愉しめる空間を子だちたちと一緒に創っていきたいです✨


【引用・参考文献】
鹿毛雅治(2022)『モチベーションの心理学』,中公新書

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