08 ウラジオストックで思う
便所の落書きなのだから時系列など気にせずに書こうと思っていたのに、記憶をたどっていくうちに旅をなぞっていたので、チョット方向転換。
今だからこそ、あまりご近所と思われていない極近の街、ウラジオストックについて日記を読み返して書こうと思う。
映画ロッキーシリーズで冷徹な敵役、確かドラゴと言う名前だったと思うが、あり得ない程非人間的に描かれたソ連のボクサーがいた。
確か後の作品では人間性を持って描かれていた様に記憶しているが、それも冷戦終結の社会の風潮が反映したのではないかと思う。
この国へ来て、まず感じた事の一つは、アメリカのプロパガンダなのか、妄想が無意識に刷り込まれてたんだという事。
あの頃、私も含め多くの日本人は同盟国でもあったアメリカの側に盲目的に立っていたように思う。
この国の人を漠然と敵と認識していたなんて呆れてしまう。
分かり切った、当たり前の事だけれど、幼い頃から刷り込まれてたプロパガンダの欠片が、自分の中の片隅に残されていた事に、この国に来て気付いた。
この国の人が、そんなにフレンドリーと言うわけでも無いけれど。
繁華街の路面店には、アメリカ映画のキャラクターの大型フィギュアがディスプレイされ、映画館には【JOKER】のポスターが公開を知らせている。
ハングルの看板が溢れ、KFCは混雑している。
当たり前だが、街には家族や友人、新婚のカップル、普通の人々の暮らしがあって、笑顔を向けてくれる人も、小さな親切に触れることもあった。
今こそ忘れずにいたい。
国籍や政治体制で括るだけでは本質を見失う。
少なくとも、街で暮らす彼らは単純に「敵」という訳ではない。
ウラジオストックのスポーツ湾は、今でも結構お気に入りの場所だ。