![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/172416629/rectangle_large_type_2_fab65a3d2a2c09a6e392191d4b83ac61.png?width=1200)
営業マンの歩合制で、踏みにじられる部下たち
※この記事は、かなり主観で執筆しています。反論もあるかと思います。ご了承ください。
1 不公平感を必ず伴う給与制度
「歩合制」。
これほど、不公平感が伴う言葉はないのではないでしょうか。
この利点はただ一つ。「営業マンだけの強烈なモチベーションになる」ということに尽きます。本当に強烈なモチベーションになるのです。
ですが、歩合制だけで査定評価をするのであれば、制度的な問題のほうがはるかに大きい。補完措置をしないといけない制度だと思っています。
問題点はたくさんあります。
「誰がどの顧客を担当になるのか」
「担当は新築戸建か中古マンションか」
「本当に最後まで単独で担当をしたのか(他の営業マンも手伝うことも多々ある)」
こうした小さな積み重ねが、営業マン同士の人間関係に影響してゆきます。
では、
・そもそもなぜ、歩合制なのか。
・なぜ補完措置をしないのか。
これら一つひとつを、考察してゆき、なぜ導入するのか、その背景を読み解いてゆこうと思います。
2 チームワークを無視した制度
不動産営業で、本当にお客様お一人に「最後まで一人で、集客から契約まですべて」を担当することがあるのでしょうか。
よくあったのが、
・メイン担当だったのに、一部だけ担当した上司に売上をすべて持っていかれた(気の毒にもほどがある)
・上司が売上の大きそうな見込み客を独り占めする(ありえん・・・)
・宅建資格をもってないという理由で、重要事項説明のみを担当した上司にとられた(なんのこっちゃ!)
という、とーっても気の毒すぎる、新人や部下にあたる営業さんたちでした。
その構図は、まるで非情すぎる弱肉強食の世界。経験値や、上下関係が強い部署であれば、弱い者は容赦ない踏み台となるわけです。非情すぎるし、おかしな組織です。
歩合制とは、突き詰めれば、ともに仕事をフォローしあったり、協力体制を構築する前提ではない、会社としてのテイ、組織としてのテイをなさない、給与体系なわけです。
よほどの補完措置がないと、制度の利点をうまく運用できないと思っています。補完措置をしていない会社は、かなりのブラックが進行しているでしょう。
3 弱者救済措置があってこその「歩合制」
歩合制を導入するならば、経験値の少ない新人、業界初心者、そして上下関係が強い部署は「救済措置」が両輪としてなければいけません。
未経験・新卒ならば一定期間の完全固定給、充実した研修制度や、ときには第三者視点での査察、もしくはグループでの均等割りもありではないでしょうか・・・方策はいくつもあるはずです。
なのに、まったくないのは、どうなのでしょうか。すぐさまブラック組織にはやがわり~というのが明らかです。
また、「個々の良心や倫理観に委ねる」のは、間違っています。どんなに聖人でも、長く働いていれば、誰だって麻痺するもの。
制度的に整えるのがもっとも正しい道だと思うのです。
4 「定休日が水曜のみ」は歩合制と矛盾する
さらに、定休日が水曜日の1日しかない会社だったらどうなのでしょうか。
週休2日である営業マンは、営業している休みの1日間を、他の営業マンに引継ぎ、フォローしてもらうしかありません。
フォローする社員には、そのフォロー分の歩合はつかない。協力的な善意の社員ほど、自信の労働時間を無駄にする・損をする仕組みになっているのです。
社長は、この制度的な矛盾を改善しようなど、気づきもしないし、発想すらないのではないでしょうか。
5 改善案は2つ。実現には巨大なハードルが
社内でも何度か問題になり、改善案は2つ出ていました。
案1 担当割合に応じた歩合
案2 部署ごとに均等にわける歩合
ただ。
これも、誰が決めるのか、いくらにするのか、その人は信頼を置ける人なのか・・・という導入のハードルがあります。
しかも、案1を採用するならば、管理業務を増やすことになり、より忙しく、煩雑になること間違いないのです。
結論が出たことはありませんでした。
6 「やる気を出す手段はお金だけ」を妄信する経営者
結論がでない、それもそのはずです。見直しには、最大の導入ハードルがありました。
「社長が、『営業マンがやる気をなくし、営業成績が下がる』と反対する」
からです。
強烈な「お前らは、お金でしかやる気を引き出せない!」信仰にとらわれているのです。本当にそうでしょうか。
どんだけ従業員を見下し、信頼をしてないのか・・・マズローの5段階欲求説は、どこへいった!?
悪い例の組織論の教科書にしたいくらいです。(ほらほら、そこのマーケティングを学ぶ学生!ここに失敗事例があるぞ!!)
7 制度の根底には、「経営者の傲慢な価値観」がある
そもそも、最初に歩合制を導入した背景や、制度見直しできない背景には、人を蔑む経営者の傲慢さがあると思うのです。
社長視点に立てば
「こういうヤツらしか来ないんだよ」
「売上高が減るんだよ」
という言い分もあるかと思います。卵が先か、鶏が先かという話。
ただ、これだけは言えます。
歩合制のない競合企業もそれなりに存続している、という現実。少なくとも社長の言う論理は成り立たない。結局、経営者自身の問題だと思うのです。
人を見下さず、人を信頼すること・・・出発点はそこなんだということに気づかされたのでした。
以上、私が、かつて所属した会社での経験をつづりました。
営業成績を横取りされた方、メインで担当したのに理不尽にも取られてしまった方のためにも、よりよい未来につながればいいな、と思っています。