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営業マンの歩合制で、踏みにじられる部下たち

※この記事は、かなり主観で執筆しています。反論もあるかと思います。ご了承ください。


1 不公平感を必ず伴う給与制度

「歩合制」。

これほど、不公平感が伴う言葉はないのではないでしょうか。
この利点はただ一つ。「営業マンだけの強烈なモチベーションになる」ということに尽きます。本当に強烈なモチベーションになるのです。

ですが、歩合制だけで査定評価をするのであれば、制度的な問題のほうがはるかに大きい補完措置をしないといけない制度だと思っています。

問題点はたくさんあります。
「誰がどの顧客を担当になるのか」
「担当は新築戸建か中古マンションか」
「本当に最後まで単独で担当をしたのか(他の営業マンも手伝うことも多々ある)」
こうした小さな積み重ねが、営業マン同士の人間関係に影響してゆきます。

では、
・そもそもなぜ、歩合制なのか。
・なぜ補完措置をしないのか。

これら一つひとつを、考察してゆき、なぜ導入するのか、その背景を読み解いてゆこうと思います。

2 チームワークを無視した制度

不動産営業で、本当にお客様お一人に「最後まで一人で、集客から契約まですべて」を担当することがあるのでしょうか。

よくあったのが、
・メイン担当だったのに、一部だけ担当した上司に売上をすべて持っていかれた(気の毒にもほどがある)
・上司が売上の大きそうな見込み客を独り占めする(ありえん・・・)
・宅建資格をもってないという理由で、重要事項説明のみを担当した上司にとられた(なんのこっちゃ!)
という、とーっても気の毒すぎる、新人や部下にあたる営業さんたちでした。

その構図は、まるで非情すぎる弱肉強食の世界。経験値や、上下関係が強い部署であれば、弱い者は容赦ない踏み台となるわけです。非情すぎるし、おかしな組織です。

歩合制とは、突き詰めれば、ともに仕事をフォローしあったり、協力体制を構築する前提ではない、会社としてのテイ、組織としてのテイをなさない、給与体系なわけです。

よほどの補完措置がないと、制度の利点をうまく運用できないと思っています。補完措置をしていない会社は、かなりのブラックが進行しているでしょう。

3 弱者救済措置があってこその「歩合制」

歩合制を導入するならば、経験値の少ない新人、業界初心者、そして上下関係が強い部署は「救済措置」が両輪としてなければいけません。

未経験・新卒ならば一定期間の完全固定給、充実した研修制度や、ときには第三者視点での査察、もしくはグループでの均等割りもありではないでしょうか・・・方策はいくつもあるはずです。

なのに、まったくないのは、どうなのでしょうか。すぐさまブラック組織にはやがわり~というのが明らかです。

また、「個々の良心や倫理観に委ねる」のは、間違っています。どんなに聖人でも、長く働いていれば、誰だって麻痺するもの。
制度的に整えるのがもっとも正しい道だと思うのです。

4 「定休日が水曜のみ」は歩合制と矛盾する

さらに、定休日が水曜日の1日しかない会社だったらどうなのでしょうか。
週休2日である営業マンは、営業している休みの1日間を、他の営業マンに引継ぎ、フォローしてもらうしかありません。

フォローする社員には、そのフォロー分の歩合はつかない。協力的な善意の社員ほど、自信の労働時間を無駄にする・損をする仕組みになっているのです。

社長は、この制度的な矛盾を改善しようなど、気づきもしないし、発想すらないのではないでしょうか。

5 改善案は2つ。実現には巨大なハードルが

社内でも何度か問題になり、改善案は2つ出ていました。

案1 担当割合に応じた歩合
案2 部署ごとに均等にわける歩合

ただ。
これも、誰が決めるのか、いくらにするのか、その人は信頼を置ける人なのか・・・という導入のハードルがあります。
しかも、案1を採用するならば、管理業務を増やすことになり、より忙しく、煩雑になること間違いないのです。

結論が出たことはありませんでした。

6 「やる気を出す手段はお金だけ」を妄信する経営者

結論がでない、それもそのはずです。見直しには、最大の導入ハードルがありました。
「社長が、『営業マンがやる気をなくし、営業成績が下がる』と反対する」
からです。

強烈な「お前らは、お金でしかやる気を引き出せない!」信仰にとらわれているのです。本当にそうでしょうか。

どんだけ従業員を見下し、信頼をしてないのか・・・マズローの5段階欲求説は、どこへいった!?
悪い例の組織論の教科書にしたいくらいです。(ほらほら、そこのマーケティングを学ぶ学生!ここに失敗事例があるぞ!!)

7 制度の根底には、「経営者の傲慢な価値観」がある

そもそも、最初に歩合制を導入した背景や、制度見直しできない背景には、人を蔑む経営者の傲慢さがあると思うのです。

社長視点に立てば
「こういうヤツらしか来ないんだよ」
「売上高が減るんだよ」
という言い分もあるかと思います。卵が先か、鶏が先かという話。

ただ、これだけは言えます。
歩合制のない競合企業もそれなりに存続している、という現実。少なくとも社長の言う論理は成り立たない。結局、経営者自身の問題だと思うのです。

人を見下さず、人を信頼すること・・・出発点はそこなんだということに気づかされたのでした。


以上、私が、かつて所属した会社での経験をつづりました。

営業成績を横取りされた方、メインで担当したのに理不尽にも取られてしまった方のためにも、よりよい未来につながればいいな、と思っています。

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