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前代未聞の「オープンリーチ」作戦  西野智彦の金融取材ファイル#11

みなさん、こんにちは。
異次元緩和の解体プロセスを追う連続企画の最終回です。事前の情報漏れを懸念した日銀執行部は、1カ月前の講演で「手の内」をさらすという奇策に出ました。その効果やいかに…。

前代未聞のオープンリーチ
異次元緩和、ついに終止符

2024年1月。異次元緩和の終結を目指す日銀を悩ませたのが、メディア対策だった。金融政策決定会合が近づくたびに事前報道が過熱し、国会で「意図的にリークしたのではないか」と追及されていた。対応を迫られた日銀副総裁の内田眞一は、次の政策変更の概要を事前に公表するという驚きの手を思いつく。手の内をさらしてしまえばスクープ合戦を止められる、という読みである。

たまたま2月8日に奈良市で講演が予定されていた。通常、正副総裁の講演原稿は、企画局政策企画課が原案を書き、局長や理事のチェックを経て本人に渡されるが、内田は現場に任せず、自ら筆を執ることした。数日後、内田から原稿を見せられた部下は「ここまで話すのか」と驚いたという。

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