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「学者総裁」の悩み深く…現場と隙間風 西野智彦の金融取材ファイル#9

謹賀新年。本年もよろしくお願いします。
年を越しての「異次元緩和解体編」第4回です。

植田新体制の発足時に政府側から求められた「穏やかな船出」は、予想を超える物価の上昇により急旋回を余儀なくされます。最初に動いたのは、金融政策の司令塔である内田眞一副総裁でした。

「学者総裁」が抱えた苦悩
日銀スタッフとの間に隙間風?

2023年7月。日本銀行副総裁の内田眞一が日本経済新聞のインタビューで、イールドカーブ・コントロール(YCC)の修正をほのめかし、政策変更の観測はいやが上にも高まった。

内田は「金融仲介や市場機能に配慮しつつ、いかにうまく金融緩和を継続するかという観点からバランスをとって判断していきたい」と述べた。バランスをとった判断とは、YCCの“副作用”に配慮するという意味であり、YCCの早期修正をにおわせる発言だ。

ただ内田の発言は、総裁の植田和男とは十分な事前のすり合わせが行われなかった可能性が強い。このインタビューが掲載された後、植田はインドでの20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)に出席したが、現地の記者会見ではYCC修正の可能性について、次のように否定的なニュアンスで答えている。
「持続的・安定的な2%達成にはまだ距離があるという認識の下で粘り強く金融緩和を続けてきた。それの前提が変わらない限り、全体のストーリーは不変である」

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