オススメ!雪かきデトックス
2022年は大雪に恵まれた年でした。恵まれたという言い方はスキー場感会社にとって。普通に生活する町民にとって除雪に追われた冬でした。
雪かきで体と心が軽くなる!
真っ白な雪の中にいると心がスっとする。この不思議な感覚をどれほどの人が共感してくれるのかわからないけれど、私にとって雪景色は普段のごちゃごちゃを全部白く塗りつぶしてくれる。
キンと冷えた空気に、サラリとした雪がするすると落ちて来る。落ちて来る、落ちて来る、落ちて来て、全てを埋めて行く。
白い雪に心が洗われて、肺に入る空気の冷たさを味わったら、そこからは雪かきだ!
朝はドアを開けた瞬間から雪かきが始まる。防雪室の向こうに膝よりも高い位置に今日の新雪。その雪はドアを開けた瞬間に容赦なく防雪室の中に入り込んで来る。なだれて来た雪には構う余裕もなく、まずはドアの外に雪かきスペースを確保するために雪かきを始めるのだ。さあ、今日もやったるぞ!毎日やらなくてはいけない雪かきだもの、楽しむしかない。
手にはプラスチックのスコップ。除雪道具の豊富さは倶知安町のホーマック(ホームセンター)に行くとまさに圧巻の品ぞろえで雪かき道具が置いてある。町の人々は皆、思い思いの道具を使っていて、私のお気に入りはプラスチックの大型スコップだった。
ニセコスキー場を抱える倶知安町(くっちゃん)は税収が豊富なため、除雪車の頻度も高いし、雪捨て場も豊富にある。2022年の冬は札幌では公道の除雪が間に合わず、しかも雪を捨てる場所もあふれてしまうほど雪によるトラブルが多発していた。そのニュースを圧倒的に雪量の多いこちらの町が、大変だね、と遠い世界のように眺められる程、倶知安町の除雪は完璧だった。それでも除雪車が通った後の私有地とのわずかな隙間、ドアと公道の間の1M、もしくは駐車場の前の2Mを除雪するのに、私たちは日々格闘するのである。
スコップで自分の通り道を作っていく。後で雪かきをしやすいように地形を整える。そして雪の壁の上の方を少し削って高さを調整。後で雪を捨てにくくならないように雪を捨てやすいポイントへのアクセスを確保しておく。雪かきの正解がわからないので、何もかも手探り。
氷点下にスコップ片手で雪と格闘していると、カラダもココロも温まってくる。
雪かきのポイントは、おへその下に力を入れて、肩甲骨の間を狭めるイメージでスコップを持つ。太ももの内側に力を入れて踏ん張る。
そうすると、雪かきの効率が良くなる訳ではなくて、腹筋と背筋と太ももが鍛えられる。これは雪かきの形をしたジムの筋トレと同じだ、と自分に言い聞かせて積極的に雪かきに励んだ。
それも2週間ほどの話で、2週間も経つとお気に入りの除雪アイテムはスコップからもっと大量に雪を運べるスノーダンプへと変わっていった。もうスコップでは追いつかない!朝雪かきをして、スーパーに行く前に雪かきをして、お昼すぎに雪かきをして、夕方家を出る前にも雪かきをして、、とにかく、いつでもどこでも雪かきなのだ。
雪かきがしやすいように整えていた部分など手を回す余裕がなくなっていた。とにかく日々の生活の邪魔にならない事が優先!
そのうち雪は家の2階部分、地面から見ると3階の窓の高さまでやって来た。リビングから見えていた羊蹄山も見えなくなり、カーテンを閉めなくても外からのぞかれることもない、白い世界へと全てが変わっていった。
毎日必死に雪かきをしたので私の体重は減り、毎日雪を眺めて無心に雪かきをしていたら、私の心にたまっていた何かが落ちて行っているのを感じた。
私が東京で身に着けてしまった脂肪以外のいったい何が取れたのかはわからないけれど、余計なものがどこかへ消えているのだ。
あ、私、軽くなった。
子供の経験のために移住しようと思った。でもやっぱりそれだけじゃなかった。
行きたいと思ったところに来た。行きたいと思った理由。それは行けば自分が軽くなるってわかっていたからだ。
そう感じた。
このどうしようもない程の強い自然を相手に生活すると、人間はシンプルになっていくのかもしれない。もしかしたら世界中からニセコに人が来る理由はそんな所にもあるのかもしれない、と思った。
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