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Tinderで知り合った人を自宅に招いたら、本棚が人となりを映す鏡であると気づいた小話。


私はどちらかというと、そんなに多くの本を読んではいない。


たまに書店で目に留まった小説やビジネス本を購入しては、隙間時間で食い入るように読むことはある。


でも本当にその程度で。

自宅の本棚もジャンルが固定されていたり、綺麗に陳列されていたり、なんてことはなく、
とりあえず読んできた本を必要最低限残しているくらいだった。


なので、本棚に最初に視線を向けられた時はかなり盲点だった。



事の背景をお話しよう。



先日、ひとりの男性とTinderで知り合い、夜中に急遽会うことになった。

それも、彼がこちらの自宅に泊まりにくるという事態に。


(よくもまぁOKするなぁと指摘が入りそうなので言い訳をしておくと、彼はもう私のタイプど真ん中のビジュアルで、なんとしてても会っておきたい人だった。)


深夜2:30すぎ。

こんな時間に招き入れたあとの展開は、容易に予測はできるだろうが、
彼が私の自宅の居室に入ってまず視線を向けたのは本棚だった。


『ちょ、そこらへんあんまり片付けられてないからマジマジ見ないで。笑』

「いや綺麗だよ。笑」


彼は本棚に向かってしゃがんで、じっくり見ているようだった。

嗚呼、本棚も埃とか綺麗にしておくべきだったな、と掃除漏れを内心憂いていた私に対し、
彼の放った次の一言がとても心に響くものだった。

「俺の読んでるジャンルと被ってなくて良いね。」


何気ない一言だったが、彼のこの言葉には、彼自身の価値観や人となりが反映されていると思った。



自分とは異なるものに興味を持てること、
相手と趣向が同じではなくても、その違いに好奇心と共感をもてること、そしてそれを肯定できること。


きっと、彼はそんな価値観をもった人なんだろう。

後に会話した際も、彼は、異性同性問わず、自分が全く知らない領域でも好き嫌いせず興味を持てる人が良いと語っていたので、
その価値観があの発言に現れ出ていたのだろうと納得がいった



これまで、アプリを使用していれば、自宅に男を招き入れることなんて何度もあったが、本棚に興味を持って色々と質問をしてくれる人は初めてだった。


「雑誌も読むの?」
「あ、これ俺も読んだよ。良い話だよね。」


本棚は正直あんまり意識したことはなかったが、よくよく考えるとその人のかなりパーソナリティが垣間見えるものだ。


ビジネス本、恋愛小説、サスペンス…。


相手が普段どんな環境で、どんな仕事をして、どんな過ごし方をしているのか。

相手のことがあまり読めないときは、本棚を偵察するのもアリだな…なんて、いまさら当たり前のことに28歳にして気づいたのだった。



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