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広告系OLのTinder交友記📝




夜中に突然会おうと言い出す人は、少なかず高確率でヤリモク。


これは、Tinderをかれこれ5年近くゆるりと使ってきた私の統計上、事実である。


しかし、それでも私が完全にそんな人たちを頭ごなしに拒否しないのは、こうした突発型の逢瀬にこそ「刺激的な出会い」があることも、統計でわかっているからだ。

※もちろん、それは好みや運など個人差はあるだろう。









6月下旬。


どこか妖艶な目つきを隠すように、マッシュで少しだけ前髪がかった彼と出会ったのは、日曜、いや、もう日付も超えていたので月曜深夜2時前だ。


自身をLIKEしてくれている人たちをざっとスクロールして眺めていたところ、ふと目に止まった横顔。


はっきりと顔はわからないが、目元と横顔から覗く鼻筋、好みの黒髪ヘアに直感でLIKEを返してマッチした後すぐに彼からメッセージが届いたのがはじまりだった。



「今日これから会えたら嬉しいです」
(※少しリアルとは書き替えています)


第一声である。



別に珍しいことではない。
遊び目的の人はたいがい単刀直入で、むしろこちらもストレートに言われたほうが潔く応戦準備ができるので、タイプではない限り嫌な気はしない。



しかし、時間が時間である。
比較的近所に住んでいるようだったが、電車で3,4駅分はある。
どうやって会おうというのか。



そんな疑問をよそに、こちらが承諾をすれば、彼はスクーターでものの15分足らずで我が家までやってきた。







自宅目の前のコンビニまで迎えに行く。
明るいコンビニが苦手だという彼は、コンビニ傍からそっと出てきた。
(後に、その理由も明かされる)


「ナシだったらナシって言ってください」

会う直前に彼から送られてきたメッセージに安堵しつつ、

『着いたよ』

彼に返事をする。







こういう言い方はよろしくないとは思うが、アプリガチャ大成功というところだろうか。




予想よりもイケメンが到来していた。
しかもわりとタイプの。




服装はゆるめでやってきたがモード寄りで好み。
(事前にゆるめの服装で問題ないか確認してきたあたり配慮はある人だ)



伏目がち且つ遠慮気味に彼が口を開く。


「え、あ、ぼく大丈夫ですか?こんな感じですけど…」
『うん、全然大丈夫だよ笑』
「はぁ良かった…」



私は彼を自宅に招き入れることになんら抵抗感も抱かなかった。







一人暮らしにしては十分な広さの洋室の床に、2人で座って話し始める。


少し明るい室内でよくよく彼を観察していくと、長袖からチラッと覗く胸元のタトゥーや、腕にがっつり和彫りが入っていたりなど、いい意味でただものではなさそうな気配だ。


しかし面白いのは、

「マジで僕ほんと、、大丈夫でした?その、、見た目とかこんなだし。」


ヤンキー感ある強そうな見た目とは裏腹に、控えめで、なかなかに自己肯定感が低そうな言動が多いところだった。


『嫌だったら部屋に入れてないし、本当に心配しないで笑 気遣わなくていいよ』
「はぁ良かった…ありがとうございます」


聞くところによると、彼は私の3つ下で、中華系とのハーフ。10歳までは海外で過ごし、その後は母親の地元石川で育ったという。
そのため、インターナショナルにも通っていたことから英語、中国語も堪能であり、それもあって自身で音楽系の仕事もやっているなど、簡単に教えてくれた。
まぁ、これでも本当にごく一部の個人情報ではあるだろう、まだまだ謎は多い。


とはいえ、言葉や語学ができるという点だけでも、個人的にはとても魅力的に感じるポイントだった。

確かに、彼は性格ももちろんあるだろうが、相手をみながらも言葉をかなり選んでストレートに会話してくれているのが、姿勢としても伝わってきていた。


「まぁその、、僕めちゃくちゃ会うまで緊張してたんです。いや、今も緊張してるけど、きっとすごくお仕事とかバリバリされてる方だろうから、僕みたいなチンピラが会って大丈夫かな、とか。

ましてや歳上で、見た目も正直超タイプでお綺麗だから…。

でも、僕にも優しく話してくれて凄く嬉しいし、アプリでこんな楽しいなと思えてるの初めてです」



きっと、この言葉たちに偽りは一つもない。
何より素直でいい意味でやらしさのない一語一句が、女心をくすぐらないはずがなくて、もっと彼のことが知りたいと私も思うまでにそう時間はかからなかった。






お互いのことを簡単に共有し合って30分ほど経った頃。

3時も近くなってきて、それはそれで良い時間で、意外にも会話が弾んだこともあって、この後の展開はどうするべきか私も様子をみていた。


ぶっちゃけ、家に招き入れている以上、そういう展開になっても私はOKのつもりだ。

しかし、彼はどうだろうか。


「あ、時間とか大丈夫ですか…?」
『うん、私は平気だよ。』
「んーと、そのどうします…?」
『あー、、笑 逆にどうしたい?』

こういう切り返しができるのは歳上の特権だと思う。


「まぁそりゃね、、本音タイプだし、会った時もマジで大人の色気がほんとうに、、やばくて、セクシーだから、ポジティブセックスができたら嬉しいなとは思ってたりもしたんですけど…。
でも実際会ったら本当に良い人だったから、
逆にここでセックスして次会えなくなるのは
嫌だなって思っていて。」



彼はところどころ、ニュアンスを伝えやすい時は英単語が入ったりするのだが、ポジティブセックス(お互いがちゃんと合意の上で楽してること)という表現は初めてで、内心面白いなんて思いながら、この言葉に私はキュンときていた。


ちゃんと、私という1人の人間を大事にしたいという彼の誠意が見えたからだ。


しかし、こんな事を言われてしまったら、逆にもっと彼に触れてみたいと思ってしまうのが女の性というか、私の性である。笑

『そう思ってくれて嬉しい。でも、たぶんセックスしたとしても、私がそれでもう会わない、とはならないと思うよ。
別に容姿もわりと私タイプだったし、こうして会話していてすごく優しい人で魅力的に感じたよ?』


言葉をストレートに伝えてくれる人には、自分も変に取り繕わず伝えるのが1番だ。


「あぁ、それはとても嬉しいです…。

じゃ、その…します??」



ちゃんと相手に了承を得てから行動するところも好きだ。










身体の相性はぶっちゃけ抜群だった。


「大丈夫でした…?」
『うん、すごく良かったよ。個人的には勝手に相性いいなと思った。』
「あぁ、安心した…。僕もです。すごく気持ちよかった。やば、めっちゃ汗かいてる。」

ティッシュで彼の額の汗を軽く拭き取る。


「じゃ、僕帰ります。あの、朝までいたくないとかそういうことじゃなくて、僕、こう見えて心身マジで虚弱なんで、バセドウとかももってるから、決まった薬を飲んだらしないといけなくて。苦笑
ちょっと今日は薬とかも持ってきてないし、急だったんで。」


まだまだ私が知らない事情が彼には色々あるらしい。
まぁそれはきっと追々話してくれるだろうと、この時は深く詮索しないことにした。




『わかった。本当に気をつけて帰ってね?』

「はい。あとその…また会ってくれますか?」
『もちろん。むしろまた会ってくれるの?笑』
「え、当たり前じゃないですか。
むしろこれっきりとかなんて勿体無いというか…いやですそんなのは。」
『ふふ笑 ありがとう。嬉しい。』

「はい、なので…その僕の記憶から〇〇さんの存在が薄れてしまう前に、また近いうちに会ってください。」




これまでに、こんな心から異性からの言葉に惹かれたことはあっただろうか。

きっと、これが音楽や言葉を普段から使う彼とその人柄ならではの良いところなんだろう。



この最後のフレーズで、私は一気に彼に心を鷲掴みにされたのだった。



最後にキスをして、私は彼を見送った。


to be continued…


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<投稿主について>
都内で広告系の職につくOL。
キャリア志向のため結婚願望は当面一切なし。

恋愛は正直あってもなくてもどちらでも良く、
関係性などはあまり拘らないタイプ。

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