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キャバナースと一緒に働いていた話

昔、自分が働いていた職場にキャバナースと裏では呼ばれている看護師がいた。

私が初めて彼女に会った時、
彼女は病院指定のナース服を着ているのにも関わらず、
「ドン・キホーテのナースコスプレかよ?」と心の中で突っ込んだ。
それほど夜職感が凄かったのである。
彼女は実際はキャバクラで働いていないが。

とにかく髪の毛もメイクも、ナースにしては余りにもド派手すぎたのだ。
素顔は薄目だけれど、整っていて、可愛くて綺麗だった。
一時的に芸能事務所に所属していたこともあったらしい。
有名クラブのVIPルームで芸能人と会うこともある話もしてくれた。

実際にナースよりも、キャバクラで働いていた方が
儲りそうな見た目の彼女。
濃すぎて、もはや歌舞伎のようなメイク。
細い身体。金髪近い長い髪の毛をバレッタでとめていたが、
長いサイドの前髪を片方だけ垂らしていた。
そして、サイズ小さめのピチピチのナース服をコスプレの様に着ていた。

最初にコスプレの様な本物のナース服で、カラダをクネクネさせながら、
看護部長に連れられてナースステーションにやってきた時に私は思った。
あぁ人不足か。こんなナースを入れないといけないほど、
ウチの病院は今やばいのね。
部長はどうかしてるわ!と私は思っていた。
普通に都会の総合病院なんだけどね。

しかし私はその、キャバナースのことを嫌いではなかった。
純粋に目立っていて面白かった。
何歳か下で私の妹と同じくらいだったし、
危ういが何故か芯はしっかりとしていた。
キャバナースは、医療や看護の勉強も良くしていた。
向上心もあり、さらに資格を取るなどエネルギーがある女性だった。

その総合病院の医者達は某有名大学病院系列だったが、
まぁ医者たちはその、キャバナースが入ってすごく喜んでいた。

私は実際のキャバクラは行ったことがないから、
見たり聞いた情報で想像だけれど。
ナースステーションなのに、ここはキャバクラかよ!?みたいに
男性医師たちは浮足立ってあからさまに喜んでいた。
実際、私と一緒の夜勤中に「先生に連絡先聞かれたー!困るー!」と
全然困っていない様子で話していたキャバナース。

キャバナースはいつも普通の彼氏が途切れないので、
ドクターと関係はしていなかった。
その連絡先を聞いてきた既婚ドクターは、
別の複数のナースと不倫しまくっているで有名だった。
いつかその有名大学卒の既婚ドクター達が、
ナースと不倫しまくっていた話も書きたい。
断っておくが私はその不倫ナース達の1人ではない。

いつもキャバナースは不眠症だと睡眠薬を常用していて、
ナースステーションで日中たまに寝ていた。これはあり得ないことだ。

私の方が年上だったので、私含め先輩にはいつもぶりっ子対応で丁寧に接してきたが、
自分より年下の気に入らないナースにはドスの効いた声で話し、
たまに泣かせたりしていた。

そしてキャバナースは、彼氏が毎回2週間くらいのサイクルで何人も変わる。
毎回彼氏のことが結婚するくらい大好きになり、
数日ですぐに大嫌いになり別れる。
そして、2〜3日後にはもう新しい男がいるという具合だ。

キャバナースは、夜勤中いつも彼氏と連絡が取れない!と悩んでいてスマホを離さず、まぁ仕事はそれなりにしていたが、
今なら「ちゃんと仕事しろよ!」と言いたい。

私は「朝になったらきっと彼氏から連絡来るよー!今、夜中だよ!?寝ているんだよ」といつも慰めていた覚えがある。
キャバナースが勝手に話してくる恋愛話は面白いから毎回聞いていたが、きっと恋愛依存症に近かったんだと思う。

キャバナースは、スタイルも良かったが、モデル並みにとても痩せていた。
「昨日からお味噌を1杯しか飲んでいない!」といつもいつも言っていた。下剤も使っていたようだ。

何で私は彼女を嫌いではなかったか他の理由として、単純に私に優しかったからだ。
私が恋愛で一番辛い時に夜勤が一緒だったことがある。
キャバナースは休憩ごとに私の話を自然に聞いて感情移入してくれ、まるで自分のことように泣きそうなくらいだった。さらに、一緒に怒ってもくれた。

私の私服をすごく褒めてくれて、自分もこういう感じの服着たいから、憧れると言ってくれたり。

あとはキャバナースと一緒の夜勤中のことである。
当時恋愛で苦しんで死にそうに疲れていた私の生き霊を、
さっき真夜中の病院の廊下で見たと、訳が分からないことをキャバナースが言ってきたことがある。本当に私を心配していて、深夜に大盛りあがりになった。

生き霊話も今度書いていきたいが、 
まぁとにかくキャバナースが面白かったんだ!
笑えるし、こんな人あまりいないし、ナースの中ではかなりのレアキャラだから好きだった。

キャバナースはある日突然、仕事を辞めてしまった。
最後は看護師長に啖呵を切って、怒鳴りつけて師長を泣かせたらしい。
こんなことは前代未聞でかなりめずらしい。
その看護師長のことは、みんなが嫌いで不満に思っていたから、
キャバナースが看護師長を最後に泣かせて去っていったのは、当時伝説になっていた。

突然、キャバナースが辞めてしまってからは、
何だかつまらなくなってしまった。
妙に寂しかったのを覚えている。

いつか有名大学卒既婚ドクター達がナースと不倫しまくっていた話も書きたいです。では。

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