ユダヤの昔話を自分ごととして考える〜鶏の卵の運び方〜
タルムードってご存知ですか?
ユダヤ人に伝わる昔話のようなもので、
その中には、深い教訓や示唆に富む物語が数多くあります。
今回、日本語訳された本やリベラルアーツ大学の両学長がご説明されている動画を参考にさせていただきました。
わかりやすく、面白いので興味がある方はぜひ。
今回は「鶏の卵の運び方」という話で、リスク分散や計画性の大切さを教えてくれるお話です。
今回はこの物語を自分の生活に置き換えて考えてみたいと思います。
鶏の卵の運び方
ある日、鶏小屋から卵を持ってきてほしいと頼まれた子供がいました。
その子供は、すべての卵を一度に抱えて運んできました。
帰ってきた子どもに大人が問いかけます。
「もし転けてしまったら、どうする?」
この問いに、子供は初めて考えます。
運ぶ途中で転んでしまえば、全ての卵が割れてしまう。
次からは、何回かに分けて慎重に運ぶようになりました。
このエピソードは、ただの子供の失敗談ではなく、リスク分散の重要性を教える深い教訓が含まれています。
初めから答えを渡さず、考えてもらう
この物語の大切なポイントは、子供に「自分で考えさせる」ことです。
大人が「一度に運ぶと危ないよ」と教えてしまえば、子供はただそれを真似するだけで、自分でリスクを想定したり学んだりする機会を失ってしまいます。
私たちも日常生活や仕事で、他人に何かを教えるときにこの教訓を活かせるのではないでしょうか。
たとえば、部下や後輩に仕事を任せる際、すぐに正解を教えるのではなく、彼らに考える時間を与える。
失敗を恐れる気持ちはわかりますが、
リスクを考え、そして行動を変えることで人は成長するのです。
リスク分散の考え方
この話が教えてくれるもう一つの教訓は、リスク分散の大切さです。
卵を一度に運ぶことは効率的に見えますが、失敗すればすべてを失うリスクが伴います。
一方、何回かに分けて運べば、手間は増えるものの、仮に1回転けても被害を抑えられます。
このリスク分散の考え方は、他のケースにも応用できます。たとえば:
10枚の皿を運ぶ
一度に全てを持とうとすれば、落として割る可能性が高まりますが、2~3枚ずつ運べば安全です。仕事やプロジェクト
すべてを一度に進めるのではなく、段階的に進めて、方向性を確認することで失敗のリスクを軽減できます。
何をゴールとするか
卵を無事に届けることがゴールであれば、そのための最適な運び方を考える必要があります。
同様に、私たちの生活でも、「何をゴールとするのか」を明確にすることが重要です。
例えば:
仕事では、成果を出し、出世がゴールと考えがちですが、それと同時に健康や家族との時間が失われるのはリスクです。定時で仕事を終わらせる、というのも一つのゴールかもしれません。
家庭では、家族との絆を深めることがゴールですが、それには自分自身が健やかでいることが必要です。一人の時間の確保や時には距離を置くことも検討の余地があるかもしれません。
ゴールが明確になれば、それに向けてどのようにリスクを分散するか、どのようにバランスを取るかが見えてきます。
終わりに
「鶏の卵の運び方」の物語は、一見シンプルですが、私たちの生活に多くの示唆を与えてくれます。
効率を求めるだけでなく、リスクを分散する。
正解を教えるだけでなく、考える機会を与える。
そして、自分の時間やエネルギーの配分を見直す。
さて、あなたにとっての「卵」とは何でしょうか?
それをどう運び、どこへ持っていき、どのように守っていきたいですか?