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台風に命を救われた社長#27:84歳社長が死んだら終わる会社

就職先は地方の家族経営の町工場。84歳社長が全てを取り仕切っている。
社長が死んだらどうなるか、誰にも分からない。


ノロノロと日本列島に沿って進み続けた台風10号。

激しく雨が降った時間も有ったが、工場に被害はなかった。

しかし、海の近くで元々田んぼだったところに建っているので、道路よりも低い位置にある。
なので、大雨が降ると駐車場は一面水たまりになる。
僕が就職してから一番ひどく、15~20cmくらい水没していたと思う。あと10cm水位が上がれば、工場内まで水が来ていたかもしれない。

トップの画像が普段駐車場として使っている場所。


僕が入社する何年か前に台風が来て、工場が数十センチ浸水したことが有った。
元々低い土地なので、大きなポンプで海に排水するような場所なのだが、当時はポンプが一部稼働しなくて浸水被害が出たらしい。

多くの設備は無事だったが、板を曲げるベンダーは大きな穴が掘って有り、床面より低い場所にオイルのタンクだったり、シリンダーだったり、色々あるので、業者に頼んで清掃と修繕が終わるまでかなりの長い間使えなかった。


それでも、その台風のおかげで社長は命を救われている。

朝、工場に向かっていると、途中で浸水していて、工場までたどり着けなかった。
この機会に病院に行って検査をしてもらうと、即入院し手術。

奥さんも悲しんでいるよりも、社長が死んだら会社をどうするかで、色々回っていた。

結果的に死ななかったので今が有るけど、台風が来て、工場が浸水していなければ、病院に行って検査を受けるのも遅れていたはず。
そうなれば、取り返しのつかないことになっていた可能性が高い。


台風が来ると、社長はそんな話をする。



84歳社長が死んだら終わる会社シリーズ ↓

”僕”の自己紹介 ↓


登場人物

登場人物 会社の人たち

僕:この物語を実況している人。入社3年目のアラフォーおじさん。

社長:50年以上前に創業した町工場の社長:84歳
奥さん:社長の奥さん。お金周りを担当:70代後半
専務:創業時からいる社長の弟。最近間違いが多い:80代
孫くん:社長の孫。最近会社に来ていない:20代前半
娘さん:社長の娘。月に1週間くらい来て事務をする:50代
ベテラン職人:何でもできるがこだわりも強い。社長の義理の弟:70代半ば
取付職人:現場の取り付け担当。最初だけ丁寧:70代半ば
営業:いつも適当な図面を描いてくる:60代後半

中堅職人:新卒で就職したが独立、従業員ではないが、手伝ってくれている:50代

登場人物 社外の人たち
兄ちゃん:取引先で出会った「何者」かになりたい田舎の工場で高卒で働く兄ちゃん。商品の販売をお願いした。


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