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決算書がよくない。原因は2つ#35:84歳社長が死んだら終わる会社

就職先は地方の家族経営の町工場。84歳社長が全てを取り仕切っている。
社長が死んだらどうなるか、誰にも分からない。


少し前の話。

決算

前年度の決算書を見る。

前々年度の決算は、まあまあ、こんなものだろうというくらいだったけど、前年度の決算書は良くないなーという感じ。

最終的には黒字だったけど、営業赤字になっていた。
経理についてはそれ程詳しくないので、間違っているかもだけど、「物を作って売る」という根本的な所で赤字が出ていて、家賃収入みたいな副業的なもので何とか最終黒字は確保している感じ。

マジヤバい!っていうほどではない。

小さな町工場と書いているけど、昔は人も多かったので、工場そのものは結構大きく、設備も大型の物が有ったりする。

普通に考えれば、工場の大きさに対して、今の売り上げでは、完全に大赤字になっている。
社長が本当に仕事を絞って、利益率の高いものしか受けておらず、みんな年金生活なので、人件費も安いから何とか成り立っている。


原因①孫くんが働いていない

少人数で経営していて、超高齢化でみんなの動きも鈍ってきているうえに、孫くんが一年間仕事をせずに、給料だけ支払っている状態。

ちょうど孫くんの人件費ほどの赤字が出ていた。

売上の下がり方も、一人分減っている。

物を作る人が10人いる中で1人抜けるのではない。
4人中1人が抜けている。

しかも、1人は70代半ばのお爺ちゃん、1人は独立していて、8割はうちの仕事をしているけど、2割は他所で仕事をしている。
僕も工場内でものを作っているだけでなく、現場に取り付けに行ったりもする。
そんな中、20代の正社員が一人抜ければ、売り上げも利益も下がる。


原因②問題児がいる

今まで、全く登場していないけど、もっと深刻なお金が出ていく問題もある。
人の悪口みたいになるので、先延ばしにしてきたけど、元従業員で、独立して会社をやっている人がいる。
自分で工場を借りてやっていたけど、経営が上手くいかず、社長を頼ってうちの工場の一部を貸している。

厳密には、無料で使わせてあげている。
それが段々厚かましくなり、光熱費は請求しても払わず、設備を勝手に使って壊しても放置、在庫や消耗品も勝手に使う、そんな経営者として最低な人がいる。

経営者として最低でも、人間として良い人ならいいが、昼間から酒を飲み、自分の会社の従業員を怒鳴っている。たまに僕も絡まれる。
絵にかいたような最低な人。

本来なら、圧倒的にこっちが立場が上なんだけど、そんな人間だから、みんな積極的に関わりたくない。自分の所の物や設備でも、その人に遠慮している。


社長も親分肌なので、自分が育てた子分が困っていたら、最後まで世話をしたい人。


もし、社長が死んでも会社が続くことになったら、一番最初の仕事は、この人に出て行ってもらうことになる。
さすがにそれは、社長も了承している。

光熱費を請求しても払わず、それを謝りもしない人。本来なら、居てはいけない人。
金銭面だけでなく、モチベーション面でも、どれだけ損失を出しているか分からない。


そうは言っても、自分の本当の息子はもう別のところでやっていて、後を継ぐ気もない。
社長にとっては、自分が育てた息子みたいなもの。出来の悪い子ほどかわいい。そんな気持ちも分からなくはないが、会社の利益のためには、早くこの問題を片づけたい。

8050問題がこんな所でも起こっている。

家族内なら、勝手にやってくれと思うが、会社でやらないで欲しい。
しかし、100%株主の社長がやる事なので、法律的には問題ない。(理系人間なので、感情よりも論理が優先される)


若い新入社員を入れるのを躊躇していた理由の1つでもある。
昼間から酒飲んで、(たまにでも)怒鳴っているような人間がいる職場で、積極的に働いて欲しいとは言い辛い。


さすがに、令和の時代に許されないよ。。。





84歳社長が死んだら終わる会社シリーズ ↓

”僕”の自己紹介 ↓



登場人物

登場人物 会社の人たち

僕:この物語を実況している人。入社3年目のアラフォーおじさん。

社長:50年以上前に創業した町工場の社長:84歳
奥さん:社長の奥さん。お金周りを担当:70代後半
専務:創業時からいる社長の弟。最近間違いが多い:80代
孫くん:社長の孫。最近会社に来ていない:20代前半
娘さん:社長の娘。月に1週間くらい来て事務をする:50代
ベテラン職人:何でもできるがこだわりも強い。社長の義理の弟:70代半ば
取付職人:現場の取り付け担当。最初だけ丁寧:70代半ば
営業:いつも適当な図面を描いてくる:60代後半

中堅職人:新卒で就職したが独立、従業員ではないが、手伝ってくれている:50代

登場人物 社外の人たち
兄ちゃん:取引先で出会った「何者」かになりたい田舎の工場で高卒で働く兄ちゃん。商品の販売をお願いした。
インターン生たち:商品の販売をお願いした、就活に悩む学生たち。
問題児:元従業員。独立したがうまくいかず、社長に面倒を見てもらっているいい年したおじさん。


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