
プロジェクト終わりそう#29:84歳社長が死んだら終わる会社
就職先は地方の家族経営の町工場。84歳社長が全てを取り仕切っている。
社長が死んだらどうなるか、誰にも分からない。
数日前に立ち上がったプロジェクト。
学生の取材企画で、取材してきた学生をインターンに巻き込んでみた。
一人抜け、二人抜け、三人抜け、もう終わりそう。
やっぱり、無理やりエネルギーをぶち込んで、人を巻き込んでも、うまくいかない。
単純に、僕のマネジメント能力がない。
今度からは、インターンとかたくさん受け入れている友達に相談しよう。
失敗の記録を残す。
・失敗の原因
僕が成功をイメージできないのに、欲に負けて、見切り発車をしたこと。
それから、学生側の核となる人と先に協力体制を築けなかったこと。
・経緯
取材の前段階で、偶然、1人すごく優秀そうな学生を見つけた(Aさんとする)。Aさんが取材のメンバーにいると聞いて、Aさんに向けて本気でプレゼンしようと思っていた。
しかし、当日、Aさんはいなくて、こっちも高い熱量を持っていたので、アクセルは緩めたけど、ちょっとやりすぎた。取材自体は良い感じで進んでいた。
インターンの提案は最後の最後まで迷っていた。
みんな良い子で、すごく盛り上がっていたけど、主体となる人はいなかった。成功するイメージがわかなくて、本当ならそこでブレーキを踏むべきだった。
それなのに余計な欲を出してしまって、最後の10分でインターン(100万円の作品を売ったら40万円渡す)の提案をした。予想通り、食いつきは良く、プロジェクトが始動する。
勝ち筋としては、すぐにAさんに連絡して、少しでもいいから関わってもらいたかった。
僕と学生たちはもう、感覚が違いすぎる。Aさんも学生だけど、Aさんとは話ができると感じていた。だから、間に入ってほしかった。
そして、Aさんは想像以上の神プレーをしてくれる。
偶然も重なり、会社の近くまで来るというので、1週間以内に直接会う機会を作ってくれた。
(Aさんの目的は別のプロジェクトの事だけど、たぶんインターンにも興味を持ってくれたと思う)
会ったところで、Aさんが引き受けてくれるかどうかは、分からない。
僕が勝手に電話で数分話しただけのAさんに期待しすぎているだけかもしれない。
それでも1週間、みんなの熱量を維持して、続けられれば、希望は見える。
そんな事簡単だと思うかもしれないけど、元々就活にも迷っているような学生に無理やりエネルギーを送り込んで、テンションが上がりすぎた状態になっている。
不安定なプラズマ状態。本当にちょっとしたきっかけで崩壊するのは分かっている。
そして、案の定、すぐに崩壊する。
参加してくれた学生たち、取材企画をやってくれた団体にも迷惑をかけたと思う。そんなこともあり、Aさんと会う機会も失った。
・今後
反省はしているけど、後悔はしていない。
やってみてわかることもある。
やっぱり、子どもや若者が本気で好きなことに挑戦できる社会を作りたい。
今回、取材企画をした団体も似たような事を目標にしている。
一緒に何かできるかなと思っていたけど、根本的な所が違っていた。
僕がやりたいのは、大人が設定した安全圏での挑戦ではない。
本気で挑戦してもほとんど失敗する。
喧嘩別れや、途中で飛ぶ人もいたりして、プロジェクトが解散するのも当たり前。傷ついたり、悲しんだりする人もたくさん出る。
それでも、不確定な現実の世界の中でやりたいことをやってみる。
保育園ですら、テンションが上がりすぎないように大人に管理されている。
10代の若者が将来に不安を感じている。
たまに会う大学生がみんな就活で悩んでいる。
若者が周りの目を気にして、我慢して、窮屈そうに働いている。
もう、そんな社会は嫌。
自由な学校を作ってみた。
本当に子どもたちが生き生きしていた。
夏休みが欲しい大人と、夏休みなんていらない子どもが、本気で駆け引きしていた。
子どもに勉強もさせないで、毎日ゲームをしててもいい。
それに比べれば、高校生や大学生が自由に挑戦できる環境を作っても誰にも文句言われないだろう。
84歳社長が死んだら終わる会社シリーズ ↓
”僕”の自己紹介 ↓
登場人物
登場人物 会社の人たち
僕:この物語を実況している人。入社3年目のアラフォーおじさん。
社長:50年以上前に創業した町工場の社長:84歳
奥さん:社長の奥さん。お金周りを担当:70代後半
専務:創業時からいる社長の弟。最近間違いが多い:80代
孫くん:社長の孫。最近会社に来ていない:20代前半
娘さん:社長の娘。月に1週間くらい来て事務をする:50代
ベテラン職人:何でもできるがこだわりも強い。社長の義理の弟:70代半ば
取付職人:現場の取り付け担当。最初だけ丁寧:70代半ば
営業:いつも適当な図面を描いてくる:60代後半
中堅職人:新卒で就職したが独立、従業員ではないが、手伝ってくれている:50代
登場人物 社外の人たち
兄ちゃん:取引先で出会った「何者」かになりたい田舎の工場で高卒で働く兄ちゃん。商品の販売をお願いした。
インターン生たち:商品の販売をお願いした、就活に悩む学生たち。