ひさびさの第九

今月末、「第九」を弾く機会に恵まれた。
今回はブライトコップ旧版。こっちで弾くのは8年ぶりらしい。
ちなみにその後、2回くらいベーレンライター版では弾いたが、コロナ禍で特に合唱付きの曲を演奏する機会は激減、去年の「第九シーズン」あたりから「復活」しはじめ、今年は完全にコロナ禍前に戻った感じ。

何度か弾いた経験はあるがいきなり弾くのはキツい曲だし、弦楽器はオケや指揮者によって微妙にボーイングが違うから、送られて来たパート譜を見ながら「復習」開始。
するとこれまで見落としていた点が何点か。

その1つは現代の4弦のコントラバスでは出ない音が書かれていること。
ベートーヴェンの時代くらいだとチェロとコントラバスは同じパート譜を使い、部分的にコントラバスだけ休みになるとういうのが普通だが、「第九」だと部分的にチェロとコントラバスが別の段に書かれて違うことをやってる場所もある。
同じことを弾く場合、コントラバスはチェロよりも1オクターブ下の音を出しているのだが、問題はチェロとコントラバスは最低音が違うこと。
チェロの最低音のCからE♭まではチェロのオクターブ下が出せないコントラバスはオクターブ上げて弾くのが一般的。同じ段に書かれている場合はそれでかまわないし、そういう「不都合」を解消するために5弦のコントラバスや4弦の最低音を拡張する器具も生まれたのだが、問題はベートーヴェンの時代。
楽器がまだ対応していないのに明らかにコントラバスのパートに最低音より低いDの音がいくつも書かれている。僕はチェロだからとりあえず「関係ない」といえば関係ないのだが、何度も楽譜を目にしているのにこれまで気づかないままだった。

ちなみにこの音、当時はコントラバスの調弦が定まっていなかったので楽器によっては出せたらしい。


いいなと思ったら応援しよう!