見出し画像

非オタがオタクに優しい世界

「キラキラした場所には住みたくない」
「華やかな人たちの中に溶け込むとか無理ですわー。自分、壁でいいです」
「輝く人たちがつくる影に住まわせてもらうくらいがちょうどいい」

常にそんなことを思っているワタクシ。
これまで身を置いた職場は、女性が9割占めているところばかりでした。
皆さま、おしゃれでした。
もうこのような表現をしている時点で、ワタクシのダサさが浮かばれることでしょう。
あまり意味が無いかもしれませんが、言葉を変えます。

「雑誌でモデルをやっていそう」
「私生活が充実していそう」
「Instagramの投稿頻度が多そう」
「毎食テーブルクロスを敷いて食事してそう」

勤めていらっしゃったのは、このような雰囲気をまとっている方々でした。
化粧もヘアスタイルも装いのセンスも完璧で、勝手ながら憧れていました。
各会社に入社した時は、毎回「もう終わった。きっと誰もこの芋と会話してくれない」と思ったものです。
(ならば何故そのような職場を選ぶのか。ワタクシは街灯に集まりたがる蛾なのだろうか?)

実際は皆さま気さくで、ツンとしていたり、気難しい人はいませんでした。
いつも癇に障り地獄に落ちて欲しいと思った人は1人くらいで、大変平和でした。

2次元オタクであることが露見してしまった際には、
驚きはしても変に詮索せず、(葛藤はあったかもしれませんが)受け入れてくれました。

そしてオタク的に嬉しかったのは、オススメの聞き方です。
大抵、非オタに聞かれても答えられる大衆的な作品は限られており、
非常に困ります。
そして大好きな作品を伝えて、ドン引きされるのも辛い……。

ですが、彼女たちは「○○みたいな作品ってある? でも、△△のような絵柄は苦手で――」のように、なにかしら具体的に提示してくれたのです。
また、ワタクシがオタクだという噂を聞きつけた一部スタッフが、自分もオタクであると意志表明をすることもありました。
2次元オタクはほとんどおらず、宝塚・旧ジャニーズ・歌手・俳優などでしたが、熱量はこちらが引くくらいの火力がありました。
ワタクシにしてみれば、「3次元なのだから開示しても差しさわりないのでは?」と思うのですが、
彼女たちなりに、なにかしら後ろめたさがあるのでしょうか? 
平面ではなく立体なのだから、堂々としていても良さそうなものですが……。

さて。
ワタクシ、今文章を書いていて思い出したのですが、オタバレしてからはソムリエもどきをしていました。
漫画はもちろんのこと、小説・雑誌の特集・旅行先・ゲームなど、よく尋ねられていました。
彼女たちも聞いて終わりではなく、感想を伝えてくれたり、お土産を少し多めにくれたり、イベントに誘ってくれたり、退勤後にそのまま職場でゲームを一緒にプレイするなどしました。
見返りを求めていたわけではないですが、ワタクシも感情を持つ人間です。
結構、非常に、大いに、極めれて、すこぶる舞い上がるくらい嬉しいことでした。
「影にいないで、こっちの日なたに入っておいでよ!」と招かれているようでした。

もしかしたら彼女たちの世界には、これまでワタクシのような珍獣はおらず、面白かったのかもしれません。
実際、彼女たちが腹の中で何を考えていたか、定かではございません。
ですが、少なくとも面と向かって否定してくる方々にエンカウントしなかっやことは幸いでした。
仮に陰口を言われていたとしても、ワタクシの耳に入らなければ聞いていないのと同じ。
すべてを疑っていられるほど、人生暇ではございません。

彼女たちを見習い、
誰かに「なにかのオタクである」ことを打ち明けられた時は、
その熱き思いを真摯に受け止めようと思う次第でございます。

いいなと思ったら応援しよう!