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神津島 天上山の魅力を徹底解明
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天上山について
神津島を象徴する火山で標高572m。
山頂は広大で多様な風景を楽しめる山であり、白砂の砂漠、ハート型の池には不動尊が祀られ、高処山特有にある岩山の風景、トトロ(アニメ)に出てくるような草木のトンネル、四季の草花など、
バリエーション豊富な風景を四季を通じて楽しめるのが魅力です。
高処山の風景に大海が一望でき、自然環境の厳しい島ならではの植生や火山の成り立ちが作り上げたアートをいつでも楽しむことができます。
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天上山の歴史
神津島は、38,000年前には黒曜石を採取しに旧石器時代の人々が渡ってきておりました。平安時代の承和5年7月5日(838年7月29日)、大規模な噴火がおこり、海に達するような大規模な火砕流の発生と天上山溶岩ドームが形成されました。噴火時の火山灰は各所で白く小石の地層となり確認できます。
その昔、修験者によって祀られたと考えられる不動池の中心に築石の小島があり、灌木が繁るその中にクリカラ剣と竜王が祀られており1,000年以上は経ていると言われています。
中は覗くべからずとあり、興味本位に見ると目が壊れると言い伝えられています。
古来より修験道(山岳信仰)の場として、不動池・櫛が峰など修験者に信仰されてきたと考えられます。
*山と書いて、『さん』または『やま』と呼ぶ違いは山岳信仰があるかによるとの一説があります。伊豆諸島では唯一神津島のみ天上山(てんじょう『さん』)となります。
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天上山の地形と伝説
流紋岩の特徴にみられる石英を多く含み、白いのが特徴です。 自然環境が厳しい島の風雨にて、長い年月をかけ砂漠や不動池などの地形を形成し、植物の生命力にて独特の風景を創り出しています。
伊豆諸島創世を伝える『三宅記』は(鎌倉時代末期に完成?)によると、
第一の島をば初の島(初島)と名付け給う。
第二の島をば島々の中程に焼き出し、それに神達集り給いて詮議有りし島なれば神集島(神津島)と名付け給えり。
第三の島をば大なる故大島(伊豆大島)と名付け、
第四の島は塩の泡を集めてわかせ給えば島白き故に新島と名付け、 第五の島は家三つ双びたるに似たりとて三宅島と名付け、
第六の島は明神の御倉とおっしゃって御蔵島と名付け、
第七の島ははるかの沖に有りとて沖の島(八丈島)と名付け、
第八の島は小島(八丈小島)と名付け、
第九の島はウの花(※)に似たりとてヲウゴ島(青ヶ島)、
第十の島をば十島(利島)と名付け給う。
神々の会議が神津島の天上山、『不入ガ沢』で行われました。会議の議題は生活に一番大切な『水』の確保であり会議は紛糾したようです。現在でも『不入ガ沢』は神聖な場所として人の立ち入りを禁じています。
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天上山の恵み
流紋岩質の特徴により天上山地下は空洞を多く含み、雨水が蓄えやすい性質の山となっており、そのお陰様で神津島は伊豆七島一の湧水を有します。多幸湾湧水・つづき堂湧水・みずかしり湧水など、他所にて湧き水があります。
水の豊富さ美味しさが、食事と地酒の美味しさにも繋がります。
神津島には集落が一ヶ所のみです。
元来、流紋岩質は断崖絶壁の島を形成しますが長い年月をかけ、波の浸食や風雨、天上山からの砂流入により白砂のビーチと傾斜地を形成し人々が住める平地が形成されました。
神津島唯一の信号機近くに『神津沢』があります。川ではなく天上山からの土砂流出時の被害を防ぐための沢です。天上山麓には砂防ダム、中腹には先人の方々が築いた砂防ブロックが確認できます。
流失した砂の恵みにより、住民の生活地区が成りたち、平地は少なく坂が多く、民家が密集している神津島ならではの集落を創り出しています。
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天上山の恵みにて島民の生活が成り立ち、共生をしています。
神津島を象徴する山です。
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