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「わざわざ作ってみよう」が愉しい ~紅茶を茶葉から作ってみたくて~ case①
私の今の夢は、10年後、自宅の庭で栽培したお茶とベルガモットオレンジで、紅茶の「アールグレイ」を作って飲むことである。
事の発端は、半月前、家族旅行した事からはじまる。
私達夫婦と子ども達3人の、5人家族での旅行だ。今年小学1年生次男は、産まれてからずっと、コロナ禍まっ最中だったこともあり、電車などの公共交通機関を、未だに一度も乗ったことが無かった。
次男の初の公共交通機関デビューでも、あった。行き先よりも、電車や新幹線、地下鉄など、いろいろな乗り物に、乗せてあげたかった。そして初めてのホテルでの宿泊。
次男だけでなく、3人とも、久しぶりの家族旅行を、存分に謳歌したのであった。
私はといえば、これまたものすごい出会いと言うべきか、気付きと言うべきか、これ以降の人生を大きく変えてしまうような出来事に、遭遇したのだ。
ホテルの宿泊ルームに用意されていた、珈琲と紅茶のティーバッグ。これが、私の人生を、これほど変えてしまうとは。思いもよらなかったのであった。
私は30年以上、珈琲派であった。紅茶は、小学生か中学生の時、ペットボトルで数回飲んだレモンティー、もしくはミルクティーくらいで、以降、好んで自分から飲もうとは、思わなかった。何が美味しいのかさえ、分からなかったのだ。
それがホテルで用意されていた、紅茶のティーバッグ。これを飲んで、こんな紅茶好きになろうとは。
ティーバッグは珈琲と紅茶それぞれ5袋ずつ、用意されていた。珈琲は主人が飲むけれど、紅茶は誰も飲まなかった。
だから私は、乾燥したホテルの部屋で何か飲みたいと思った時、誰も手を付けなかった紅茶のティーバッグに、手を付けたのだった。
水分補給を目的としていただけで、嗜好目的では無かった。
一口飲んだとき、ああ、久しぶりの紅茶だなと、思った。別に何も、感じなかった。そしてその日は、終わった。
次の日の朝。もう一袋、紅茶のティーバッグを空けて、飲んでみた。普通だと思った。好きでも嫌いでも無い。まだまだ珈琲が、好きだった。
最終日。1袋だけ、紅茶のティーバッグが、残った。勿体ないと思い、これは、持ち帰ろうと、トランクに、積んだ。
旅行から帰った翌日、残りの紅茶を、ケーキと一緒に、飲んでみた。
その時だった。紅茶の味と、ケーキのクリームのミルク感がお口の中で合わさって、昔飲んだことのあるミルクティーのような味に、感じられたのだ。
実はミルクティー自体は、あまり好きでは無かった。しかし、この時ケーキと合わせて飲んだ、紅茶に感じられたミルクティー感が、45才にして、はじめて美味しいと感じたのだった。
それ以降である。紅茶にはまり、珈琲を全く、飲まなくなってしまった。