FCフローニンゲンの前半戦を終えて

今回はフローニンゲンの18-19シーズンの前半戦を振り返ってつぶやきたいと思います。この半期で自分が思ったことも含めてとりあえず書いてみたので、もし興味がありましたら、読んでいただけると嬉しいです。


1. 不調の原因

(Twitter @eredivisieより)

現在フローニンゲンは15位と残留圏ギリギリのところに位置している。開幕戦1-5の敗戦を皮切りに開幕から10試合を終えた時点で1勝1分8負とスタートダッシュに失敗。例年エールディヴィジ中位圏内をキープしているクラブとして今シーズンは低迷していると言えるだろう。ここからは僕の見解になるが、不調の要因は大きくわけて2つあると考える。

1つめは定まらないスタメン起用だ。バイス監督は試合ごとにわりとスタメンをいじっていた。ただ、そのスタメン起用があまりにもコロコロ変わりすぎていて選手達からすると毎試合戦術面での変化に戸惑いを隠せないようだった。堂安もADO戦でFW起用として先発されていたが、なかなか1トップでは思ったようなプレーはできず、前線で孤立気味だった。ただその時期にはマヒとカシエラというフォワード陣のコンディション不良によりフォワードの駒が足りなかったという事態だったということを加味するとこうした試行錯誤は目を瞑るべきなのかも。

2つめは実際の試合で感じたことなのだが、ロングボール主体すぎてボールを奪取したCBからロングボールでFWへボールを繋げるという所謂縦ポンサッカーであった。これはもしかしたらチームの方針なのかどうかはわからないがフローニンゲンの前線の選手は決して高さに自信がある選手はいないし、むしろ相手側のCBのほうが平均身長は高めなのである。事実ロングボールを送っても競り負けて再び相手にボールを支配されてしまうというケースが多かった。

しかし、この2点の要因を払拭するかのような試合も見られている。

2.復調への兆し

(FC Groningen公式より)

今シーズン前半戦ベストゲームと思われる第12節に行われたダービー。フローニンゲンは序盤から前線が活発に連動。フォワードには復調したマヒとカシエラが置かれ堂安とともに攻撃陣を牽引した。今シーズンからとくにマヒと堂安の連携コンビがあがっていて、この試合ではとても顕著にでていた。さらに第9節よりメミセヴィッチがボランチにコンバートされたことにより中盤から前線へつなぐ役割を果たすようになった。もともとCBの選手なので守備的ボランチとしてもチームを守った。そして何よりも連携がかなりよくなっていて、90分を通してゲームを支配して2-0で見事完封勝利を収めた。

3.後半戦への展望

1月から始まる後半戦。現在15位ということで、なんとかここからもう少し安全な位置まで持っていきたい。そこで後半戦への展望をさきほどは不調の要因といったマイナス要素を述べたので、今度はポジティブ要素を重視に述べていく。

いま、フローニンゲンの攻撃陣の中心となっているのは間違いなく堂安とマヒである。マヒは現在5得点を挙げている。堂安も2節から10節までゴールから遠ざかっていたがここ1,2ヵ月で3得点を積み重ね徐々に本調子を見せている。さらにCBのメミセヴィッチをボランチにコンバートしたことにより中盤から攻撃にエンジンをかけようと試みた結果、これまでは平均得点0.37点だったのが、1.47点までに引き上げた。

個人的には後半戦は彼ら3人とレイスを加えた4人がとても重要となってくる。レイスもボランチの選手で、まだ18歳と非常に若い選手。プレースタイルは一言でいえば、元ガンバの井手口とほぼ一緒である。危機察知能力が高く、あらゆるところに顔を出しボールを奪取して前線へつなぐ。つまり読みの鋭さにとても長けている。(フローニンゲンは決して守備のクオリティーが高くないのでこれがとてもありがたい笑)

後半戦のフォーメーションについては先ほど述べたようなヘーレンフェーン戦時のスタメンが理想だが、今シーズンはカシエラのコンディション不良が顕著に出ているので、もしカシエラ不在の場合はこのスタメンを勧めたい。

カシエラ不在時にはブレイやフルスティッチが代わりにFWに入り、マヒと2トップを組んでいたが、当然彼ら2人は本職ではないので、なかなか機能しなかった。なので、いっそのことマヒの1トップにして1.5列目に3人を置く。アントゥナは右サイドをガンガン仕掛けてくれるのでサイドハーフとしてスタメンに抜擢したい。そして堂安をトップ下に置くことにより攻撃のパターンが圧倒的に増える。それを証明した試合が第14節のNACブレダ戦である。

(FC Groningen TVより)

堂安がここでボールを持っている。右サイド気味にいるが、大外には右SBにゼーファイクが上がっている。堂安がここで相手2人を引きつけて〇のマヒにパスを出す。堂安はパス&ゴーの意識が常にあるのでバスを出した直後にゴール前に向かってスピードを上げる。この時点で△に少しスペースが生まれている。

(FC Groningen TVより)

その後、ゼーファイクが△のスペースをつき、マヒがゼーファイクにパス。〇の堂安はしっかりとゴール前にいる。

(FC Groningen TVより)

実はその後、なぜかゼーファイクはもう1人中にいるフリーじゃないフルスティッチにクロスしてしまったが(笑)うまくもつれて最終的には堂安がフィニッシュ。

全てが完璧なゴールとはいえないが、ゴールに至るまでの過程では非常によかった。堂安とマヒがいつもの横関係ではなく、縦関係になっていて、それによりサイドに少しスペースができ、SBの選手が上がりやすくなる。そして、堂安がゴール前にしっかりいたことによって、ボールのこぼれ球に反応することができた。連携が徐々に深まりつつあることを象徴するかのようなゴールだったので、個人的には前半戦のベストゴールだと思う。

堂安は試合中よく動いてくれるし、さらに今シーズンは結構研究され始めて常に厳しいマークを受けているので相手を引きつけることができる。そうすることでスペースができ、誰かが走ることによりチャンスが生まれやすくなる。ゆえに、より自由度の高いトップ下の起用でも場合によってはうまく試合運びができるのではないかと思われる。

4.まとめ(追記も含む)

11月のダービーのようなパフォーマンスを常にすることができればもっと勝ち星を積めそう。ロングボール主体ではなくボランチからパスを回し、マヒや堂安が仕掛けてチャンスメイク。それがいまのフローニンゲンの理想のサッカーではないかなと考えている。

それとPSVやアヤックスとの試合の時に無理に5バックにする必要はまったくないと思う。引いて守るためにその戦術を取るのは理解できるが、結局ズルズル引いてしまい余計に押し込まれ、そして耐えきれず失点というような試合展開につながってしまった。そもそも引いて守る戦法はカウンターができるというメリットもあるが、アヤックス戦ではそれすらままならなかった。フローニンゲンは攻撃力はあるので4バックのままにしてシステムを変えずに臨んだほうがいいんじゃないかと思う。昨シーズンのPSV戦のような打ち合いの末引き分けみたいにうまく持っていけるかもしれない。

同じく下位に沈むNACブレダもアヤックス戦の際同じシステムを採用したがうまく機能せず0-3で敗れてしまった。5バックというのはそんな付け焼き刃ではなかなかうまくいくものではないのかなと感じた。

後半戦フローニンゲンがどのような戦い方をするのか非常に楽しみです。ただ、堂安個人としてはアジアカップのパフォーマンスによってはもしかするともうフローニンゲンでプレーすることはない可能性もありえます。本人の意向やクラブの方針から考えると慰留に努めることはおそらくないと思われるので、クラブとしては少し頭を悩ませているかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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