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忖度の何がダメなのか 泉房穂著 「さらば!忖度社会」読後感想

キーワード
①「志」
②「本人の幸せは本人にしか決められないし、本人が決めるべきものである」
③「制度を変えるより人を替えろ」

政治家なんてうさんくさい
明石市の市長として活躍していたのは知っていた
しかしそれほど興味をもっていたわけではない
以下の記事に出会う前までは

弟が障害をもっていたこと
大好きな母に「あんたが弟の分まで(能力を)取ったんだ。あんたが弟の分まで全部取ってしまった。」と言われてとてつもない悲しい気持ちになったこと
小学校までに家族ぐるみで弟を歩けるようにしたのに、小学校に最初、拒否されたこと
遠足でおぼれた弟をだれも助けなく、「こんな地球、爆破したろうか」と思い詰めたこと
父も母も高校に行けない家庭に育ったこと
この記事を読み、そんな背景からなぜ政治家になったのか興味をもった

失われた30年になぜ日本が陥ってしまったのか
消費税をゼロにすれば国民は喜び、いいことばかりなのになぜ財務省はやらないのか
特に政治に興味がある訳ではなかったが、ここ数年の日本の落ちぶれ方を見ているとこの2つの疑問が常に頭の中にあった

この本には、その分かりやすい答えがあった

東大出身で弁護士資格までもつ、泉さんはエリートと思っていた
もちろん今までのわたしの考えではそう捉えられるが、間違いであった
裕福でない家庭で育ち、障害をもった弟がいた
大学受験で参考書すら買えず、本屋さんで勉強して東大に合格した
そんな苦労をした泉さんは、東大を始めとする本当の日本のエリート
お金にいっさい苦労することなく、懸命に学習したではあろうが、学習ができない人は努力不足と思うエリートが、今の日本を作ってしまっていることを改めて読者に知らせている
そのエリートが集まる、政治家、官僚、新聞社などのマスコミなどの職業
エリート意識の塊のような人たちに牛耳られている
その人たちが困っている日本人のことを本気で考えるのか
自分たち仲間、組織に「忖度」する
利益供与
キックバック
優遇
いばれる
なるほど、人ってそんな考え方になっていくんだ

泉さんは「志」が違った
「たった一人も見捨てることのない政治をしたい」
この「志」をもち続けたことが明石市長時代に実を結んだ
市議会、市役所、兵庫県庁、マスコミに叩かれて四面楚歌になってもくじけなかったのは「志」があったから
市民のことを真剣に考えたら、それぞれの組織の「忖度」と闘わなくてはならない
「忖度」がある組織は居心地がいい
仲間意識が働き、仲間を守ることに意識がいく
全体のことが考えられなくなり、身内の組織の理屈で動くようになる
人は弱い
自分にもそんな「忖度」があるのかもしれない
ないと思いたい
しかしないとは言い切れない自分がいる
この「忖度」と闘わない限り、日本に未来はない
泉さんはそう突き付けてくる

キーワード「本人の幸せは本人にしか決められないし、本人が決めるべきものである」

弟が小学校2年生のときに徒競走に出たいと言い出した
泉さんはやめるように説得するが、弟は譲らない
先生にお願いして出場できることに
スタートしてもみんなに置いていかれる弟
言わんこっちゃないと思う泉さんは衝撃を受ける
弟はそのとき、生まれて初めて見せる満面の笑みだった
泉さんは泣き崩れ、「本人の幸せは本人にしか決められないし、本人が決めるべきものである」ことに気づく

このエピソードは恥ずかしい
弟の気持ちが分からなかった兄ということが分かってしまうから
しかし、この失敗を自分の政治信条に変えることはすごい
自分の失敗をみんなに開示する勇気をわたしはもてない
失敗を本当の失敗にしない
そんな本当の意味で泉さんの頭の良さを感じる

キーワード「制度を変えるより人を替えろ」

泉さんが明石市で証明したことは、未来は変えられるということ
日本も今、変わらなくてはいけない
先の2つのわたしの疑問に答えるのは、「制度を変えるより人を替えろ」であった
わたしたちに替えられるのは政治家
泉さんのように本当に市民、国民のことを考え実行することができる政治家に替えていくこと
もちろん、「忖度社会」の住人は簡単に自分たちの利益を渡したりはしない
官僚を替えることはできない
しかし政治家を替えれば官僚も変わらずを得ない
本文中に出てきたが、人口が増加していた時代の政治システムでは「忖度社会」が続いてしまう
昔はうまくいっていても、今うまくいっていないのだったら替えるしかない
人口減の時代の新しい政治システムを構築にするには、残念ながら今いる政治家には退いてもらう
本当に市民、国民のために命を懸けて働く人に替えていく
わたしたち投票権をもつ大人が子どもたちのために新しい政治システムに変えなくてはいけないのではないのだろうか

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