「あの子は貴族」 対立・分断 格差社会 あなたはどう考える?
日本は階級社会ではない
それが一般的な考えだ
本当にそうなのだろうか
日本は今、分断されつつある
お金持ちと貧乏
東京と地方
残念ながらそれは本当だ
日本がまだ未熟だった時代は、
中央集権、
強烈なリーダーシップを発揮した
人たちが日本を
強い国にした
しかし、時代は国際的、
多様的になったのにも関わらず、
中央集権を続けてしまった
その結果、どうなったか
富みが東京に集中してしまった
東京が富むのはもちろんいいのだが、
東京のみ、富むようにしてしまった
首都機能を東京から分散させれば
地方と呼ばれる地域も富んでいく
しかし、ときの権力者はそうはしない
どうしてなのか
自分たちが所属する仲良しグループを
優先したからだ
自民党
財務省
三田会
仲間を大切にすることは悪いことではない
しかし、日本全体を考えると彼らの
してきたことは大きなマイナスだ
映画の背景はこんな東京だ
地方から慶応大学に猛勉強して
入学した時岡さんは
内部生に誘われてお茶をして価格に驚く
5000円
地方ではお茶だけにそんな高額を払う人はいない
同じ大学に通っていても使えるお金が違う
内部生は東京在住のお金持ち
もう一人の主人公、榛原さんは
東京でお金持ちの家庭に育つ
同じお金持ち、同じ階層の人と
結婚することに疑問をいだかなかった
結婚相手に選んだ青木さんは、
榛原さんよりさらに名門の家の子ども
頭脳明晰ではあるが、
自分の人生を自分で考えるのでは、
家を守ることを第一に考えている
そこに窮屈さは感じているが、
反抗することはない
その特権を失いたくはないのだ
青木さんと時岡さんは
慶応大学の同級生
卒業後に知り合い、
ときどき会う男女の関係になっていく
榛原さんは結婚するにあたり、
時岡さんに青木さんと
分かれるようにそれとなく伝える
時岡さんは自分の故郷に興味もない
青木さんとの関係に限界を感じており、
あっさりと別れる
ここで終わらないのが、この映画の面白いところ
榛原さんは自分に興味のない青木さん、
孫ができることにしか興味のない義母に、
心が大きく離れていく
離婚することを決め、
青木さんの両親と自分の両親の前で、
義母に頬を打たれる榛原さん
演じた門脇麦さんの
希望を失った表情が
鑑賞者に気持ちを伝える
一方、時岡さんは同郷の平田さんの
誘いに乗り、地方で起業する
東京でのイベントを成功させ、
とびっきりの笑顔を見せる時岡さん
榛原さんとの表情の違いがはっきりする
榛原さんは同級生だったバイオリニスト
設楽さんのマネージャーになる
地方のコンサートに行くと
議員となった青木さんと
再開する
自分自身のやりたいことが
見つかった榛原さんは
青木さんにたじろくことなく
自信をもった笑顔でたたずんでいた
人はどうしたら幸せを感じることができるのだろうか
はたから見たら青木さんはすべてを持っている
お金、家柄、容姿・・・
しかし、とても幸せそうに見えない
時岡さんは不幸の続いた人生だった
猛勉強して慶応大学まで入ったが、
父の仕事の失敗で大学中退
水商売で生き抜き、やっと定職を得る
結婚を決めた榛原さんと会った時は
まさに負け組という扱い
しかし、離婚した榛原さんと
街で出会い自分の部屋に招いたときは
やり返すチャンスであったが
榛原さんの様子を想いやり、アドバイスをする
「その日にあったことを話せるパートナーか友だちがいるといいよ。」
決して押し付けがましくはないその話し方
その後、バイオリニストの設楽さんの
マネージャーになったのは時岡さんの
一言が心に響いたのではないだろうか
同じ日本に住んでいても
違う価値観で生活する
階級社会になっている
しかし、上の階級に生活するのが幸せなのかを
この映画は鑑賞者に問いてくる
自分の人生を自分で決めることの方が幸せなのではないか
深く胸に響いてくる