司法試験の勉強法(短答式)

先日の記事にて、勉強法については書くつもりはあまりないとの記載をいたしましたが、存外にも多くの方にご覧いただいていたようなので、
短答式の勉強法について書いてみようと思います。
趣旨としては、先日のものと変わらず、自分と同じような勉強スタイルの方、またはそうでなくとも短答式試験の勉強法について何かしら悩みをお持ちの方にとって(良い例としても悪い例としても)参考となる経験談の一つとなればというものです。
また、短答式試験に限って書くこととしたのは、論文式試験の結果はまだ出ていないので、自分の勉強方法がどう結果につながったかの分析ができていないからです。
なお、この記事も先日の記事と同様に何かの折に突然削除することもあろうかと思いますが、どうぞご容赦ください。


前提

まず、先に述べておきたいのですが、
個人的には司法試験の勉強法には唯一解がないのはもちろんのこと、各媒体で言われている「正しそうな」勉強方法も、あくまでその方法に則って「その人が」やってみたところ、結果に繋がったということの積み重ねでしかなく、
あらゆる人に当てはまるような勉強方法はないと思っています(最初から最後まで予備校を使って定められた勉強をするという方法なのであれば、もしかすると当てはまるのかもしれません。私は予備校でどのような教育が行われているか不知ですので、ここでは例外となる可能性があることのみを書いておきたいと思います)。
というのも、各人それぞれに勉強の背景があり、積み重ねがあり、
司法試験合格という結果に対して、当該勉強方法とそれ以外での積み重ねがそれぞれどの程度貢献したのか、ということを分析するのはとても難しいものですので、
当該勉強方法を真似たからと言って、司法試験で同じ結果を得られるとは限らないからです。
ですので、以下に記述する方法についても、あくまで一例として(特に、過去問演習の繰り返しに固執しない方法もあるという可能性を示すものとして)捉えていただければと思っております。

また、参考に言及いたしますと、短答式試験の結果は175点中150点程度です。各科目の得点は記載致しませんが、いずれかの科目が特段良い悪いといったことはなく、どの科目も合計点と同程度の得点率でした。

全体的な勉強の方針

私が本格的に短答式試験対策に着手したのは、司法試験を7月に控えた年の3月末です。
予備試験受験経験はありませんが、また司法試験受験の前年度11月頃に実力確認のために一年分の短答式過去問を解いたところ、勘で解いた部分をのぞいて100点程度は得点できていたので、優先順位が低いと判断したからでした(そのくらい論文式試験が不安で仕方ありませんでした)。
したがって、3月中旬までは論文式の対策に注力しました。

民法

対策方法としては、
①過去問を2年分程度解き、どの程度の詳細さの知識をどのように問われるかを把握する
②択一六法を読む
というものです。

②の際に①で把握した知識の深さの程度や問題での問われ方の角度を意識して、
・解釈であれば、条文や制度の趣旨から結論を導出できるようにする
・制度や条文自体の暗記であれば、誰と誰の利益をどのような制度の建て付けにすることによって調節しているのかを整理する
という点を意識しながら暗記をしました。
試験当日までこの形でひたすら択一六法を周回し、暗記をしました。
当然ながらこのときに「◯周する」ことが目的なのではなくて、一回通った知識がきちんと頭に入っているかを何度も確認しながら確実に暗記していくことが目的になりますので、
その日に覚える分+前日に覚えた分+先週覚えた分
を1日でやるなど、工夫をすることもやり方のひとつだと思います。
また、よく似た制度は比較しながら、「制度間の違いはなぜなのか」を理解しつつ進めると頭に入りやすいと個人的には思いました。

刑法

刑法は論文対策でカバーする範囲と重複する部分が多いと感じたため、細かい知識の整理をまとめたものを作成し、これをひたすら暗記しました。

具体的には、
・罪数(論文でも扱う点ですがとにかく苦手でした)
・刑罰論、執行猶予関係
・財産犯などの細かい裁判例判例のうち、当てはめの結論が自分にとって一見して納得しにくいものまたは結論に悩むもの
・マイナー犯罪
をまとめたものになります。
最後まで短パフェの周回等はしませんでした。

もっとも、今年の短答は学説問題が多かったように感じましたので、論文と重複する論点が多かったため、私の点数が大きめに出ただけなのかもしれません。この方法が今後の試験でも妥当するかはわかりません。

憲法

正直なところ、受験をしながら「わからないけど多分こんな感じ!」くらいのテンションでしか解けなかった(そのくらい難しく感じた)試験でしたので、以下の方法が参考になるかわかりません
…。
おそらく、判例がそう書いたと自信を持てない肢を×にする勇気と、暗記した判例の趣旨に正しく一貫するもののうち当該裁判で問題となったことを◯にする冷静さがあると、点数がとれるのかもしれません(とても無責任な発言ですが、正直憲法の短答式試験の趣旨目的自体がよくわかっていませんので、どうぞお許しください)。

対策したことは以下の二つです。
・判例
①判例プラクティスを読み、各判例で何が問題になり、どの争点において憲法判断をしたのか、その内容をもたらした理由は何か、どの点において最高裁は判断をしなかったかを把握する(この作業においては、基本書で判例の意義として述べられている箇所をもとに読んでみたり、大学時代の憲法基本権の授業で教授がこうした観点から各判例に言及してくださっていたもののメモがあったので、これを活用したりもしていました)
→②これを一元化し、ひたすら暗記する
・統治
①統治部分の過去問をざっと概観(解くのではなく、どの分野についてどのように問われるのかの把握と、自分の知識が不足している箇所とその不足の程度の確認)
→②知識の不足部分を中心に、周辺知識について基本書と大学の授業内容をまとめ、ひたすら暗記

仕上げ

以上の方法で勉強し、5月末には覚えると決めた知識のうちあらかたの知識がある程度定着しました(6月以降も繰り返し暗記はしていました)。
最後に以上の対策による仕上がりの確認のため、試験直前期(6月後半〜7月頭)に2年分過去問を本番と同じ形式で解きました。
この時の点数は大体140点弱〜145点程度でした。
この過去問演習を通じてどの部分の知識に弱点がありそうかを再度確認し、これを補うために弱点部分をマーキングし、試験当日までひたすらマーキング部分を周回しました。

まとめ

以上が私の短答式試験の対策方法となります。
巷では過去問集の周回が多くの支持を得ていることももちろん知っていました。その上でこの方法を採用しなかった理由は、
在学中受験のため司法試験直前まで大学院の授業がある中で、論文式試験の対策で培った感覚と能力を維持するための時間を確保すると、
短答式の対策に多くの時間を割くことは難しいだろうと考えたことにあります。
もし、過去問の周回では間に合わない、時間がないと感じる方がいるとすれば、
一つの選択肢としてこういった方法もあると感じていただけましたら大変幸いです。

拙文をお読みいただきまして、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?