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宇和島が好き#6「大番(読んだよ)」

副題:タイトル「大番」とは果たして何←

お待たせいたしました。本読みとしては、読み終えないと続きが書けません。今日日(きょうび)読まなくてもググれば(Googleで検索かければ)用は足りそうなものですが、ググられる方つまり読んだような記事のライターだって、ググってたりするご時世です。ググがググりググられ、、、グルグルお見苦しいことで申し訳ございません。「大番」上下巻は合わせて1000ページあり、読みやすいのですが「てんやわんや」よりは長かったです。主人公は犬〇氏から丑之助氏(ギューちゃん)に代わりますね。丑之助、よりもギューちゃんの方が断然かわいいです。ものはためしですから、語尾に♡(ハートマーク)など付けてみましょう。

ギューちゃん♡

どうでしょう(●´ω`●) 

それでも、前任者のお古を着てる姿でさえ、丑之助には、調和を欠かなかった。何か、ひどく、可愛いのである。年だって、急に、二つぐらい、若く見え、顔のニキビが衰退期に入っているのを、反対に、この頃、やっと吹き出したかのような、初々しい印象を、与えた。赤い芋のような顔と、太い首と、坊主刈りの頭と、いつも、ニコニコ笑っている表情とが、いかにも、純朴で、従順な小僧さんに見えた。

「大番」上  P85

作者・獅子文六氏の愛が伝わってきますよね。大番という単語はですね、

大番(おおばん)、大御番所(おおごばんどころ-しょ)また、御侍衆(おさむらいしゅう)は、江戸幕府に設けられた職制の一つ。五番方(書院番小姓組、大番、小十人新番)に数えられる軍事部門の職制で、旗本たちの常備兵力を組織した。五番方の中で最も歴史が古く、最も規模が大きかった。格式は両番(書院番小姓組)の下に置かれ、馬上資格を持っていた。徳川将軍本陣備である他の四番方が若年寄支配だったのに対し、先手備である大番は老中支配だった。江戸の泰平の世では江戸本城と幕府要地の警護を担当する役目に専念した。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

Wikiによると、お武家の職制の一つを示すとのことですが、ギューちゃんは明治中期以降から大正初期あたりの時代に、鶴島町(モデルは津島町)の農家に生を受けたとの設定で、小説「大番」に苗字帯刀した武家の出番はございません。

アルパカさんの後ろ姿です。(今回出番はありません)

不肖の本読み、上下巻1000ページのどこかにタイトル「大番」を説明した記述など探してみたのですが、真っ赤なお鼻のトナカイさんならぬギューちゃんの諸行(無常)に筆が尽くされていて、「大番」への言及はございませんでした。ネット界隈でも見つかりませんでしたし、手詰まっておりましたが、先日の九島くるりんウォークのために宇和島に滞在したおりに、宇和島市立図書館(パフィオ)で関連資料を探してみたところ、ようやく見つけることができました。

その資料は持ち出し禁止だったので、およその内容を簡潔に申し上げますと

「大番」は、「大判」(あるいは大盤)で、
<バン>に番の漢字を当てた
作者・獅子文六は、大らかで豪放磊落かつ巨体の男性キャラを好んで活写する傾向があり、丑之助も上記の属性による。
その属性あるいは人生を表現した単語が「大番」と考えられる。

とのことでした。出典はコチラ↓
「獅子文六の二つの昭和」牧村健一郎/朝日新聞出版 2009年

宇和島市立図書館では上記資料は持ち出し不可でしたが、最寄りの図書館では通常貸し出し可でした。よし、借りてみよう。元記者さんだけあって、獅子文六・ザメイキングの舞台裏が見えてくるようで面白かったです。

岩松川では先日もオオウナギなる生物が見られたとか

ネタバレになるので、内容について触れることは控えますが、作者・獅子文六のギューちゃんへの眼差しは、実在するモデルを越えていて、とても温かいものです。やさしい慈しみに満ちています。

したがって、東京兜町における大正末期から敗戦後までの怒涛を舞台に株・証券業界を描いたとはいえ新NISA取引の参考にはならないと思います。むしろ南予地方の(津島町に特色が見られるといいます)トッポ話に近い印象を受けました。怒涛の現実を舞台に、トッポ話を展開したあるいは、トッポ話を織り交ぜてみた。現実を描きつつ、なにかしらファンタジーの香ばしさを感じるのは私だけでしょうか。

ギューちゃんへの慈愛は、そのまま津島に向けられているといっても良いのかもしれません。だからこそ、今でも津島町では獅子文六の執筆部屋が残っています。

また筑摩書房から寄贈された本で町の一角に棚がもうけられています。

獅子文六以外も混載されているのが亦た良いのです

画像は、実際の津島町です。九島くるりんウォークの翌日に行ってみました。重要伝統的建築群に指定されてから、まだそれほど時間が経っていないので、まちづくりは今から始まるのだと思います。つい先日、12月1日(日)にシンポジウムがひらかれたそうですね。

機会があれば、次回のシンポジウムにはぜひ参加してみたいです!

ちなみに別件ですが、津島町を舞台にした小説が今ジワジワ来ているそうで、一見したところ江戸言葉がタイトルになっており、なんともいえないマッチングに今ちょうど心をつかまれかけているところでございます。

「おっこちきる」宮永得三 株式会社エス・ビー・シー 2024年5月

では今回もお読みいただき恐縮です。ありがとうございました。