「WASABI」映画の備忘録#1

こんにちは、今回は「WASABI」という映画を観たのでレビューします。


この映画は、ジャン・レノ扮するフランスの刑事ユベールと、若き日の広末涼子がユミでその娘という関係ですが、後半までハチャメチャな性格のユミに振り回されるユベールを見ているだけで面白い映画です。


と言うのも、ジャン・レノは寡黙な人や冷静な刑事といったような役が多かった俳優だけに、この作品中でも刑事役ながら、娘には敵わないというコメディチックな部分がこれまでの同俳優のイメージから少し離れているので、ジャン・レノの他の映画を観たことがある人にはそれがとても面白く見えること請け合いです。


ジャン・レノを知らない人にはこの点は面白く映らないかも知れませんが、広末涼子が若い頃にこのような映画に出ていたのだというところも見所です。


それほど演技がうまいという訳でもありませんが、ともかく行動的な役柄を思いっきり演じており、字幕版では舞台が日本なのにも関わらず、全てフランス語で話している点も見所です。


この点には賛否があり、他の日本人の友人まで全てフランス語で話していることからリアリティに欠ける部分があるので、その違和感を楽しいと見るかによって見解が異なるかも知れません。


純粋に話だけを楽しみたい場合には吹き替え版で見ることをおすすめします。



この映画はフランスで公開された映画で、日本では2002年の公開ですが、その当時の海外(フランス)から見た日本が舞台です。


つまり、海外から日本がどのように見られていたかというイメージが先行しており、勘違いしているのではないかといった描写も多く見られます。

特に夜のネオンきらめく街のシーンは、とてもそこが日本だとは思えません。海外に行ったことがない人のアメリカやフランスなどに対するイメージも似たようなものかも知れないので、それを学ばされた気がします。


また、この当時から日本のゲームは海外でも有名で、そこに引っ掛けたのか、当時にしては最新のゲームが多数登場します。


これは日本のその分野における技術力を海外に紹介していると見ることができ、映画の核となるストーリーや配役以外のそのような点が色々と分かるのもこの作品の魅力だと言えるでしょう。


そういった点についても賛否があるようですが、海外から見た日本はこんなイメージなのだと純粋に面白くおかしく捉えておくのが正しい鑑賞の仕方だと思います。



私は宣伝からコメディ映画だと思って観た映画でしたが、意外とストーリーがしっかりしていて、ユベールとユミの親子関係が話が進むに連れて変わっていくところから、子供から見てこの人が親かも知れないと分かっていく心境とはこのようなものかと考えされられました。


ストーリーは、日本に昔の恋人(日本人)の子供が居ることが分かったユベールが、そのユミに会いに来るシーンから始まります。


そのユミは、最初はユベールを父だとは思っていなかったので、かなりの無茶までしてしまいますが、序々にそうではないかと分かっていくに連れて態度が少しずつ変わってきます。


ユベールは最初からユミが自分の娘だと知っている、その娘は親だとは知らないという関係から、片方だけが本当のことを知っている関係を傍から見ている気分にさせられる映画で、色々な考え方を少し大人にさせてくれました。


全体を通してみるとコメディチックなシーンが多い映画ながら、その中に芯となる流れがあり、その部分だけを取り上げると感動的なストーリーだと表現することができるかも知れません。


広末涼子の演技ですが、このような流れは十分に表現できています。幼いうちに生き別れになった親がまさかのフランス人だったという点はさておき、単なるコメディ映画だとは考えず、このようなことを学ばせてくれる作品だと考えて観て欲しい映画です。


この映画で、銃を使ったアクションシーンは、往年のジャン・レノらしく、他のシリアスな映画中のそれと変わらないものがあります。


その点から、アクション映画のファンが観ても楽しめる作品です。


それでいて、コメディをふんだんに散りばめている内容なので、もちろんドタバタ劇が好きな人にも向いています。

特に広末涼子が体当たりの演技でハチャメチャな役を演じている姿は、かつてのアイドル時代を知らない人にはより楽しめることでしょう。


そのような作品ですが、しっかりとした軸となるストーリーがあり、感動できる部分も少なからずあるので、総合的に楽しめる映画になっていると言うことができそうです。


日本に対する各種の表現には違和感があるかも知れませんが、それも楽しんでしまえばいいだけです。


尚、ソフト版では広末涼子が自ら自分のセリフの吹き替えを担当しており(テレビ放送版は異なります)、無理なフランス語を話している字幕版より、そちらで観た方が面白いと思います。


「WASABI」というタイトルの意味の解釈は、単にそれ(わさび)が劇中に登場するだけでなく、親子関係のせつなさを表現しているとも言われており、それについても実際にこの映画を観て考えて欲しい作品です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?